116.《ネタバレ》 結論から言うと・・・
驚くことに駿監督じゃない作品で、一番、駿テイストを感じてしまった。
ジブリを引き継ぐのは、アリエッティの監督じゃなく、ゴローちゃんだろう。
巷の評価を見ると、賛否両論。
なぜか、わかった。
駿の脚本がまず、一切説明らしき説明なしに進んでいく。
なぜヒロインがメルと呼ばれるのか、コクリコ坂という名称すら出てこなかったと思う。
更に吾郎ちゃんの演出がまた淡泊。浪花節、勧進帳が嫌いみたい。
もうちょっとタメや見得を切るところがあってもいいと思うが。
とにかく台詞による説明を極力排除し、ちょっとした仕草、表情で表現してるため、
ぼーっと見てると、なにがなんだかわからず、ストーリーが通り過ぎていって、
説明不足だと思うはず。
ただ、ハリウッドじゃない地味な映画もたくさん見てる・・あるいは展覧会に行って、
この一枚の絵画がなにを語りかけようとしてるのだろう?と、しばらく立ち尽くすような、
感受性が強い人が見ると、すごいと思う。
一緒に行った妻の言葉。
「その説明不足が非常に心地良い。自由にこっちの想像が羽ばたく」
そんな妻はもう横でボロ泣き。
大げさな描写がなくとも、
あの単純な目の表情だけで、あ!ここで本格的に、海ちゃんが恋に落ちた!とわかるのである。
(例の演説シーン。海ちゃんの表情にこっちまでゾクッときました。)
音楽の使い方の素晴らしさにもびっくり。庵野と違ってリズム感がわかってる。
作画は、アリエッティを超える安定度。
背景も素晴らしく、特にカルチェラタンの造型には、こんな想い出はなかったはずなのに、
懐かしい、ああ・・過ぎ去った青春だと思わせるパワーがある。
ラストも賛否両論だが、私は良かったと思ってる。
親達はものすげえ嬉しいはずだ。障害が取り除かれ、二人が好き合うようになって。
自分たちの恋や友情~人生が子供に受け継がれたんだもんね。
あのカルチェラタンのように。
P.S 海ちゃんを見てて、私はどうしても拓郎の「元気です!」の名詩を思い出してしまいます。
YOUTUBEなどにあると思うので聴いてみてください。