52.《ネタバレ》 こういった冒険物は好きなジャンルなので、楽しく観賞する事が出来ました。
なんといってもマスコット……いやさヒロインとさえ呼べそうなエイミーの存在が魅力的でしたね。
手話をするゴリラというだけでなく、特殊な機械の音声によって、人間の言葉を話せるようになっているという設定が、可愛さに拍車を掛けています。
飼い主の男性に甘えて、抱っこされたり、くすぐったりされるのが好きな性格。
そして、彼に人間の女性が近付いたら、すぐにヤキモチを妬いちゃうような辺りも、何とも愛らしい。
人間の言葉を憶えてしまったがゆえに、同じゴリラからは忌避されてしまった際に浮かべる表情なども、切なさを感じられて良かったです。
欠点としては、そんなエイミーとの別れのシーンが、やや唐突に思えてしまった事。
そして、敵となる「番人」達が小柄なゆえか、恐怖感や緊迫感が伝わってこなかった事が挙げられそう。
また、本作は「エイミーを故郷のコンゴに帰してあげる」のを目的とした男性の他にも「現地で遭難した元恋人の男性を救出する事」を目的とした女性主人公も存在しているのですが、そちらには感情移入出来なかった点も残念。
何せ彼女の上司が、絵に描いたように嫌な奴であり、実の息子の安否よりも「レーザー兵器の材料となる特殊なダイヤモンド」の入手を優先する性格だったりするもんだから、作中で彼女のモチベーションが上がらないのと同じように、観ているこちらとしても、応援する気持ちが薄れちゃうんですよね。
本来の目的である「元恋人の救出」に関しても、冒頭の映像で死んだ事が示唆されており、案の定、終盤にて死体を発見する展開なので「あぁ、やっぱり……」としか思えない。
それらの要素は「最後の最後で、上司の命令を無視する爽快感を与える為」「実は死んでいたという落胆を与えない為」なのでしょうけど、やはりスッキリしないものが残りました。
飛行機からパラシュートを付けてダイブしたり、急流の河をボートで下ったり、キャンプしてテントで眠ったり、登山したりと「冒険旅行」のツボを押さえた作りであった事は、素直に嬉しかったですね。
月夜にボートを漕ぐシーンなんかも、幻想的な美しさを味わえて、お気に入り。
命の危機が感じられない作りである事に関しても、裏を返せば「安心して、驚いたり緊張したりせずに楽しめる」という長所に成り得るんじゃないか、とも思えてくる。
そんな憎めない一品でありました。