1.未見のアントニオーニ作品なんかもう観れないと思っていた。
それが叶ったのだから、ワクワクを超えてドキドキもんである。
アントニオーニの短編は二番目だった。
しかし、私にとっては不満足な作品だった。
得てして「期待過剰」だとこんなもんだ。
仕方ない。
意気消沈しながらも、残りの4作品を観ていった。
そこで、衝撃の作品に出会った。
4番目の短編だった。
作品名は『結婚相談所』。
それは、かのフェデリコ・フェリーニの作品だった。
彼の名前がクレジットされていたのは知っていたが、何しろアントニオーニの名前にばかり気を取られていて、ノーマークだったのだ。
フェリーニの作品群の中で、一番好きな作品と言えば『崖(1955)』であり、それ以外で好きなフェリーニ作品を挙げれば、『寄席の脚光(1950)』や『青春群像(1953)』や『甘い生活(1959)』である。
これらは全て“1950年代”の作品だ。
自分が大好きなフェリーニ作品は、絶対的に1950年代の作品なのである。
そこでこの『街の恋』が作られた年をチェックしてみたら・・・
見事なまでに1950年代の作品であった。
どうりでストライクなはずだ。
1950年代のフェリーニ作品における“必殺技”である、「純粋な少女(女性)」がまたしても登場。
完全にノックアウトされてしまった。
「感動に打ちひしがれた」
まさにそんな感じ。
3時間を越える大作にも負けない素晴らしき一編であった。
晩年に“悪ノリ”しまくるフェリーニであるが、初期の初期にこういう短編を作っているのだから驚きだ。
フェリーニ作品は、短編を含めて全て観たが、最後の最後でこの名作に出会えたことを嬉しく思う。