117.《ネタバレ》 本作「コクリコ坂から」は「風立ちぬ」以上に意地悪な作品でした。一見さんお断り、分からない人は理解しなくてよいと明確に突き放した作風になっていて、それが悪い意味でちょっと鼻につくほどです。時代背景や地域特有の物や風景に精通していないと楽しめない作りになっていて、おそらく現在70-80代の人でしたら最大限に楽しめると思われますが、すでに老人である彼らが率先してアニメ作品を見たがるかどうか。(私の両親が空と同年代ですが、、生ぬるい恋愛要素を含んだアニメ映画を見たがるとは到底思えない) とにかく説明が少なすぎるせいで世代以外の人では半分も楽しめないかもしれません。タランティーノ監督もそういった作風ですが、あちらの場合は分からない人でもそれなりに解った風に感じられてニンマリさせられますが、本作は分からない人は完全スルー、不勉強な人だとセリフの意味すら理解できない箇所もあったりして非常に不親切だと感じました。 しかし裏を返せばこの作品の裏に描かれている事実、事情、心情までも深く知り得ることができれば非常に楽しめる作品になっているのもまた事実。これほど描写やセリフにこだわった作品も珍しく、まさに唯一無二、評価が二分しているのもまあそれなりに納得できます。 私個人としては宮崎駿にはない優しい作風には心底感心しました。宮崎駿の強引な押し付けより、本作のようなやんわり曖昧な表現のほうが好きです。ただし繰り返しになりますが、作品を完全に理解するには鑑賞後の掘り下げ&再鑑賞が必須で、正直、娯楽作品としてはちょっと敷居が高くて難しい作品だといわざるを得ません。(雰囲気は決して嫌いじゃない) 最後に、恋愛状況がキモイという意見もみられますが、私としてはメルが好きな先輩と大きな障害もなく付き合えそうなラストでホットしました。二人には好感が持てるしお似合いのカップルだと思います。 【アラジン2014】さん [地上波(邦画)] 7点(2024-08-11 14:43:43) |
116.《ネタバレ》 ジブリ作品はファンタジーの世界を失って しまった自分にはもう理解できないだろうと敬遠していたのですが 地上波で放映されるとのことで観てみました。 みなさんがここに書き込まれていることの意味が分かる気がしました。 舞台となった戦後10年から20年にかけての時代を理解できる人はそれ ほど多くはなく、主人公たちに感情移入するのが難しいと思いました。 他の人が言っていましたが、この物語の主人公はメルと俊ではなく、 船乗り3人の友情物語なのだろうというのに同感です。 ただそれにしては全てが中途半端で従って感動も今一湧いてきません。 また、広小路のおばあさんの素性や母親がなぜ娘たちを置いて米国に 行っていたのか、留学する歳ではないはずなのに何か留学したような 口ぶりでしたが、その辺の説明がなく仔細にこだわる人にとっては もやもやが残ります。 メルという呼び名は、恐らく海=フランス語のMerから来ているのかと 想像はしますが、なぜフランス語なのかは不明です。 【キムリン】さん [地上波(邦画)] 5点(2023-07-16 22:33:10) |
115.学生時代にこんなに一生懸命になれるってなんて素敵なこと。 【TERU】さん [地上波(邦画)] 10点(2023-02-04 22:04:39) |
114.《ネタバレ》 『風立ちぬ』の2年前に制作されていますが、時代設定でいえば『コクリコ坂』のほうが四半世紀ほど後の物語です。この2つの作品には、強い連続性が感じられます。実際、戦前の「航空マニア」の多くは、戦後の「船舶マニア」でもあったはずです。 物語の中心的なテーマは「親世代の過ち」です。主人公の少年と少女は「父の過ち」を疑うのですが、これはメタファーにすぎません。少年の父親は太平洋戦争で、少女の父親は朝鮮戦争で死んでいます。LSTによる朝鮮戦争への参加という歴史も、太平洋戦争という「過ち」の負債であるに違いありません。 しかし、主人公たちは、少年の出生の秘密を知ったときに、父(=太平洋戦争の戦友たち)の行為が「過ち」ではなかったと納得します。明治時代から横浜に残る"コクリコ荘"や"カルチェラタン"といった建築物の価値を肯定するのと同様に、親世代の歴史の意味を肯定していく物語なのです。オリンピックの狂乱を契機に変貌しようとする高度成長期の東京を横目に、あらためて「戦前」の価値を見つめ直そうとする若者たち。そこには、安直な方法で建て替えをはかろうとしていた「戦後」の日本への批判も見え隠れします。 この作品を、たんに「昭和30年代の日本を懐かしむ映画」だと理解するのは間違いであって、むしろ登場人物たちは、「戦後」の日本社会を批判しつつ、失われていく「戦前」の価値を守り抜こうとしている。これこそが『風立ちぬ』のテーマにも通じる、宮崎駿のもっとも危険かつ美しい思想ではないでしょうか。自分の子供に「陸・海・空」と名づける親の発想もだいぶ危険な気がしますが(笑)、宮崎駿自身も、こうした価値観を息子に託しているように見えます。 メタファーをどう読み解くかは観客に委ねられていると思いますが、『千と千尋』や『もののけ姫』のメタファーを読み解くことに積極的な人たちが、『コクリコ坂』や『風立ちぬ』に対して何らのメタファーも見て取ろうとしないのはおかしな話だと思うし、わたし自身は、それらの作品のメタファーがたがいに共通のテーマで結ばれていると思わずにはいられません。 なお、『風立ちぬ』がユーミンの「ひこうき雲」の世界だったとすれば、『コクリコ坂』はさしずめ「海を見ていた午後」の世界です。冒頭で手嶌葵が歌っていた曲は、ほとんど「チャイニーズスープ」のようです。武部聡志と谷山浩子は、たんに「昭和の横浜の音楽」を作っただけでなく、まるで次作のテーマ曲が「ひこうき雲」になることも見越していたように感じます。 宮崎父子の危険な思想の是非はともかく、作品そのものは申し分なく美しいと思ったので、その点を最大限に評価します。 【まいか】さん [地上波(邦画)] 9点(2022-06-09 00:39:33) |
113.《ネタバレ》 長澤まさみの声が暗い。こういうのは現代アニメより古い日活の実写版で見た方がいいような。 <追記>7年ぶりに再見。どうも原作漫画は80年代の少女漫画のようで、そういう世界観(好きになった人が実は兄弟)を無理やり団塊世代の青春物語に改変し、その親世代が戦争関連でいろいろあったというある種の反戦作品にしてしまったため、両者の組み合わせが悪く中途半端な作品になってしまった印象。 その親世代である男3人組も軍人ではなく商船の乗組員(ここが紛らわしい)なので、戦死ではなくあくまでも事故死(俊の父は引き上げ船の乗務中の事故死)。とはいえ、本作で最も訴えたいのは海の父の朝鮮戦争への加担(LST)だろう。昨年にNスペでそういう史実(沈没により22名死亡。ただし輸送員は戦争という意識はなかったと証言)があった事を知ったのだが、世間ではまだまだ知られていないので本作で少しは広まったなら製作者としては本望なのかもしれない。ただし、自分自身も本作初見では気にも止めていなかったので細かく見ない人にはわからないのかもしれない。 あとカルチェラタンについては明治時代にできた建物とはいえ当時としては50~60年前の建物であり、現代に換算するとちょうど昭和の東京五輪の頃にできた老朽化した建物を再開発で壊すのと同じ感覚だろう。いみじくも2011年に起きた災害によって耐震性が問題となり、その後に決まった令和の東京五輪に向けて昭和の貴重な建物が保存運動もなく破壊されまくる事になるのは皮肉な話である。この点においては本作のメッセージ性は全く無力であったと言わざるをえない。 |
112.《ネタバレ》 優等生のふたりがくっつく王道ものかと思いきや、なんの説明もなく進んでいくストーリーに何とかついていく。 なぜ主人公の名前が「メル」なのか、意味深なおばあちゃんは何者なのか? その背景が描かれないから、最後までスッキリしない。 東京オリンピックのころが舞台というけど、どんな世代をターゲットにしているのかまったく不明。 主人公のふたりは良いとして、下宿屋のメンバーが底が浅いのが問題。ジブリ枠で何とか収めましたって感じ。 総合的にみて点数は高めにしたけど、一度観たからもう二度と見ない。そんな映画。 【mhiro】さん [地上波(邦画)] 5点(2020-08-22 19:26:04) |
111.《ネタバレ》 表面上は、「松崎海と風間俊は、兄妹だった!と思ったら違った!めでたしめでたし」といった雰囲気ではある。 しかし、途中にいくつか「もしかすると風間俊は澤村雄一郎の隠し子ではないか」と思わせる伏線があり、さわやかな中にもちょっとドロドロしたミステリーを隠しているところが面白かった。 もちろん関係者は死亡しており真実は闇の中だが、いずれにしてもそういった事を超越した愛情を描きたかったのではないか。 【チェブ大王】さん [レーザーディスク(邦画)] 7点(2019-05-12 22:31:55) |
110.《ネタバレ》 ↓の元祖さんと全く同じく、僕も二人の親友の子供たちと再会出きた船長が主役のように感じましたね。ストーリーですが、途中までは引き込まれたものの、この物語のメイン部分となるメルと風間君の恋の障害がただの勘違いでした、になってからはただの優等生作品になってしまい、考えさせられることもなく全く面白味が無くなりましたね。そのまま血の繋がった設定で悲恋として押し通してくれたら深い作品になったかなと思います(世間に認められるかは別として笑)。まあゲド戦記の酷さからしたらかなり上手に作った作品だと思いますし、ジブリというイメージをあまり持たず見れば十分楽しめる作品となっていると思います。主題化を歌う手嶌葵は今回も透明感があって素敵でいいです 【映画大好きっ子】さん [DVD(邦画)] 6点(2017-12-28 19:00:14) |
【へまち】さん [DVD(邦画)] 7点(2017-11-05 23:55:07) |
108.《ネタバレ》 このアニメ映画、映像は好きだが面白くない。 主人公がメルと呼ばれる説明がないことも、大勢から不評のようだ。 話はシンプル。 主人公の女子高生が異性と付き合い始めるが、異母兄妹と知って悩む。 だがラストで、その疑いが消えるというもの。 宮崎駿監督は、実子が監督になったことを大反対していたが承認したのだろう。 その証拠に、この映画で脚本を担当している(丹羽圭子と共同)。 そして、その脚本が良いものには思えないのである。 アニメだけができるイメージの飛翔がない。 宮崎駿は、原作の漫画(1980年ころ)に惚れこみ、長年アニメ化を考えていたらしい(30年くらい?)。 しかし名前や設定などの変更が多いし、さらに監督を実子に任せた。 可愛い子には旅をさせろ、その逆がこの『コクリコ坂から』だろう。 (宮崎父子以外の)スタッフの仕事は評価したいので6点。 【激辛カレーライス】さん [地上波(邦画)] 6点(2017-03-11 04:01:45) |
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107.《ネタバレ》 主人公はカルチェラタンでもメルでも風間でもなく、船乗りの盟友に思えた。 松崎、立花の息子、娘に会えたという、 会えた二人が立派に成長していたという、 そのためだけにカルチェラタンを綺麗にして、理事長を説得し、そしてエスケープしたのだ。 育つ過程を示す大半の映像の重みを終盤の再開に注いだと思えば、 まぁまぁ感動できる。 【元祖】さん [地上波(邦画)] 5点(2017-02-03 21:36:36) (良:1票) |
106.公開前に大規模試写会で観ました。 さて、漫画「美味しんぼ」のエピソードに、名人と呼ばれた先代と比べられて苦労している天ぷら店の2代目のエピソードがあります。 2代目は決してそれほど劣った天ぷらを揚げているわけではないが、同等の物を作っていても、名人と呼ばれ食べる人のイメージの中で神格化されている先代にはいつまでも勝てず昔からの常連に「まだまだだ」と言われ続けてしまう、というものです。 宮崎吾朗にもそれと全く同じことが言えると思っていて、この「コクリコ坂から」は仮に宮崎駿が作ったものであれば、また別の評価を受けたのではないでしょうか? 優れた職業アニメーターだった昔と違い、世間から持ち上げられてからの宮崎駿作品をあまりよく思ってない僕からすれば、「ハウル」や「ぽにょ」などのよくわからない作品より、むしろこの「コクリコ坂から」の方がよほどオーソドックスで面白いように思います。 作品の舞台がかなりノスタルジックな日本に感じますが、何しろ原作の高橋千鶴、私が小学生の頃、プルルンコーヒーゼリーでなかよしでデビューした漫画家ですから(妹が当時なかよしを買っていたので、当時の高橋千鶴はリアルタイムで読んでいたのですが)、時代背景はしょうがないところでしょう。 というかそれ以前にこのアニメ、高橋千鶴の原作とはあまりにもいろいろ違いすぎて、そもそもオリジナルで作ってもよかったんじゃないか…と思うんですが、そこはどうなんでしょうね? 【あばれて万歳】さん [試写会(邦画)] 6点(2016-11-19 19:52:35) (良:1票) |
105.2回目の鑑賞。 なんでこんなに低い点なんだろう。 めちゃくちゃいいじゃん! ここに出てくる人、全員好きだわ。 曲もいいし、DVD買おう。 |
104.宮崎吾朗が監督した前作「ゲド戦記」で見せたキャラクターの時折見せる気持ち悪い作画が無くなり、その点は好感できます。 一方で、悪くはないんだけれど、なぜか乗り切れない自分がいる。全共闘とかあの辺りに共感できないからでしょうね、たぶん。 そもそも、アニメである必要性が感じられなかったです。 【はりねずみ】さん [地上波(邦画)] 4点(2016-08-14 12:51:46) |
103.この映画は観る人を選ぶんじゃないだろうか。 どことなく感動する人もいれば退屈に感じる人もいるだろう。正直なところ今回は何とも言えなかった。 【simple】さん [地上波(邦画)] 5点(2016-08-13 14:31:36) |
102. 年を取ったせいか、こういう設定だと自然と”感動モード”に入ってしまいます。アニメだからこそこういう題材もできるんでしょうね。 【海牛大夫】さん [地上波(邦画)] 6点(2015-10-31 10:12:39) |
101.冒頭のシーンが好きです、坂があって、洋館がみえてくる。これからどんな物語がここで始まるのかなと期待してしまいます。冒頭。。。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 5点(2015-07-06 17:26:50) |
100.《ネタバレ》 高校生の男女が互いを意識し始めて部室棟解体騒動、血筋の問題などを経てくっつく話。 部室棟の雰囲気が文科系で良い。 刺激が弱く今の感覚だと物足りない感じ。 【Dry-man】さん [DVD(邦画)] 4点(2015-02-14 02:29:09) |
99.『ゲド戦記』という父殺しの作品を作った宮崎吾朗監督が、今回は父を想う作品を作ってきた。と思いきや、脚本にかかわっているのが当の父親本人だもんで、額面通り受け取ってよいのやら。主人公のウミちゃんが、母から事の真相を聞いて涙する場面。一見、「愛する俊くんと実のきょうだいではなかったことを知り、安堵の涙」とも受け取れるけれど、そうではないのかも知れない。彼女がその前に涙を流したのは、夢で父親と再会した場面であったから。亡き父へ送っていた旗の信号を受け取っていたのが、実は俊くんであったから(そして、彼女も「旗が父の代わりに俊くんを呼んだ」と思っている、あるいは思おうとしている)。そして、この場面の彼女の涙は、母親の「お父さんと彼は似ているのか」という質問にうなずいた直後のものであったから(実際、俊くんの育ての父に言わせても似ているらしい)。そんな訳で、高校生の恋愛という題材を借りてはいるけれど、実際は、セクシャルなものではない、近しい者に対する普遍的で無条件の愛が、ここでは描かれているんだろう、なーんて思うと、実はコレ、『ポニョ』の変奏曲みたいな作品なのかもしれませぬ。 【鱗歌】さん [地上波(邦画)] 9点(2015-01-23 00:04:54) |
98.《ネタバレ》 ファンタジーなジブリは何処へ…。映像は相変わらずのジブリ節でよく書き込まれている感じがあり、食事もとても美味しそう。おこちゃまは置いてけぼりになるでしょう。 【とむ】さん [DVD(邦画)] 3点(2014-09-24 00:14:58) |