136.いつも視聴している某映画紹介系You Tubeチャンネルに出演するグラビアアイドルが、生涯ベストの映画として本作を挙げた。
おお、やっぱりこの子は“映画好き”として信頼できるなと思った。
僕自身、公開当時に1度観たきりだったが、“どんでん返し”系サスペンス映画としては、間違いなく屈指の作品だったと鮮烈に記憶に残り続けていた。
ただし、掘り出し物感の強い面白い映画だったという記憶は確実にあるものの、20年の月日は、本作のストーリーテリングとその顛末を忘却の彼方へ押しやっていた。
つまるところ、“幸運”にもどんでん返しのオチをほぼ忘れてしまっていた。
それならばと、早速サブスクを漁って本作を見つけ出し、20年ぶりの再鑑賞に至った。
主演はジョン・トラボルタ。「パルプ・フィクション」をきっかけに90年代後半に再ブレイクを果たして乗りに乗っていたこの大スターの出演作品を、当時中高生だった僕は映画館で何作観ただろうか。
本作が製作された2003年時点では、その勢いもやや下降気味だったとはいえ、この映画のジョン・トラボルタは、主人公として文字通りにストーリーテリングを支配している。
そしてその主人公が捜査官として真相究明する事件の中心に存在するのが、特殊部隊の鬼軍曹を演じるサミュエル・L・ジャクソン。そう言うまでもなく「パルプ・フィクション」でコンビを組んだ二人の再共演であり、そのキャスティングの構図だけでも今なお高揚するというもの。
肝心のストーリー展開は、まさに“藪の中”ならぬ“森の中”の様相で、生き残った兵士たちの食い違う証言によって、二転三転、いや最終的には四転五転と、真相がひっくり返り続ける。
ストーリーを追うにつれ、段々とどんな映画だったかは思い出していったけれど、結局最後の最後の大オチで、ああそうか!と記憶がよみがえり、しっかりと本作の最大の娯楽性を堪能できた。
ラストカットは、ジョン・トラボルタが劇中何度が見せる口を鳴らしてウィンクする表情で締める。小気味よくて最高。
もちろん、“どんでん返し”のストーリー展開が贔屓目に見ても強引であり、主人公が言う“つじつま”は合っているようで合っていないんだけれど、そのB級的な娯楽感が堪らないのだ。
淀川長治の日曜洋画劇場が健在な時代なら、きっと何度も再放送されて、良い映画体験をもたらしてくれただろうなと想像してしまう快作。