335.《ネタバレ》 “Full Metal Jacket”『完全 被甲 弾』と訳されています。通常、ライフルの銃弾の先っちょって、柔らかめで砕けやすい鉛で出来てるんですが、そこを真鍮など硬い金属で覆って、装弾のジャム(弾詰まり)を減らし、貫通力を増した、軍用の銃弾の事だそうです。アメリカのどこにでも居る青年たちを、あの訓練所で殺人に特化した海兵隊員に、機械的に造り上げる工程を、軍用の銃弾に例えたタイトルだと思われます。 '80年代後半はベトナム戦争映画ラッシュで、中でもプラトーンと並んで社会的影響の大きかったのが本作です。“ファミコンウォーズのCM”で有名な、あの行進曲(ミリタリーケイデンス)を世間に広めた作品です。そしてもう一つ、漫画とかいろんな作品に影響を与えた“ハートマン軍曹のマシンガントーク”が観られる映画としても有名だと思います。この映画もテレビのロードショーで放送される予定でした。あのハートマン軍曹の卑猥なセリフをどう訳すのか?とても期待していたんですが…突然の番組差し替えでお蔵入りした記憶があります。以降、深夜枠含めて、この作品は民放では放送されてないんじゃないかなぁ? 前半の訓練パートがあまりに秀逸なので、後半のベトナムパートを重点的に観てみましょう。 ベトナム戦争と言えばジャングルとヘリのイメージなんですが、珍しい市街戦を扱っています。廃工場を半壊させてヤシの木を植えて創り上げた市街地の戦場が、独特な雰囲気を醸し出します。またいろんな映画で観慣れた軍用ヘリ、UH-1イロコイでなく、マイナーなHUS-1チョクトーを使っているのも目新しかったです。意味もなく民間人を撃つヘリガンナーも、ネットで有名ですね。 前半は軍隊マーチとジョーカーの心理面を表現した不気味なSEで、人間を内面から変えていく過酷で閉鎖的な訓練パート。パイル二等兵の凄惨な事件から、いきなりナンシー・シナトラのヒット曲『にくい貴方』が掛かり、ベトナム人娼婦がプリプリお尻を振って歩く開放的な画に代わります。戦線の後方の、ダラダラした空気が伝わります。訓練所で殺人の訓練を受けて、人格を造り替えて、行った先が、これです。 最前線では『敵の潜むエリアを目的地まで移動する』という、イマイチ必要性の分からない任務を行っています。安全圏の確保が目的でしょうけど、敵味方の区別がつきにくいベトナム戦争では、どこまで有効だったか解りません。更に行進中、敵の罠にはまり、撃たれてから撃ち返す受け身の戦術なので、味方もどんどん減っていきます。3人の命を奪ったスナイパーの正体は… 本作ではベトナム人娼婦が2回ほど出てきます。アメリカ兵に体を売って生活する娼婦。一方で躊躇なく冷酷にアメリカ兵を撃ち殺すスナイパーの少女。殺人の訓練を受けて、ベトナムまで来て、女を抱いて、女を殺す。この生産性のない活動に何の意味があるのか。 『ミッキーマウス・マーチ』彼らのやっていることは、ミッキーマウスのドタバタアニメと同じくらい、意味の無い事に思えます。 前半も後半も、人の命を奪う一発の銃弾で終わります。前半はパイルことレナードが自らの命を奪う銃弾。後半はスナイパーの少女の命を奪う銃弾です。ジョーカーがレナードの病気除隊を強く進言していたら、あの惨事は起きなかったでしょう。スナイパーのとどめを刺したのはジョーカーですが、ラフターマンの銃撃で、放っておいても彼女は死んだでしょう。どちらもジョーカーが人の命に係わる場面だったけど、どちらも彼が責任を感じる必要はないこと。戦場で自分がまだ生きていることを実感するジョーカー。『Paint It Black』戦場で彼の感覚が塗り潰されていく。 【K&K】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2025-01-13 22:17:02) |
334.前半と比べると後半のエピソードが弱く中途半端に終わって物足りない、前半部分だけで1本の映画にするか、後半部分の尺は倍にして3時間ぐらいが理想かな 【映画大好きっ子】さん [インターネット(字幕)] 7点(2022-03-16 21:45:06) |
333.《ネタバレ》 現代の秀逸な戦争映画に比べると見劣りするが、年代を考えればこれはこれで新しかったのでは。 ところで、サウスパークのカートマンは、この映画のベトナム娼婦のパロディをやったのだろうか。 【チェブ大王】さん [インターネット(字幕)] 5点(2022-03-09 00:40:24) |
332.《ネタバレ》 前半と後半で雰囲気がだいぶ違う。 どっちも楽しめた。 やはり前半のハートマン軍曹は強烈。 役者の人が実際に海兵隊でベトナム戦にも参加経験があるそうなので 本当の訓練もこんな感じなんだろう。 ただ教官が殺されるような事件って実際にあったんだろうか。 なんか急に不自然さを感じてちょっと醒めてしまったんだが... 【Dry-man】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-05-03 03:23:41) |
331.何度観てもおもしろいです。海兵隊の訓練はここまで厳しかったんですね。。。登場人物たちも1シーンしか出てこない人たちも含めて、みな印象深い人たちばかりです。ただし、強いて言えば、後半ベトナムに行ってからかかる曲は全て生理的に受け付けませんでした、聴いていると気分が悪くなります。。。 【みるちゃん】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2020-11-27 09:26:31) |
330.《ネタバレ》 他レビューと同様、前半はまぁ良し、後半??? 宇宙描写はリアルなくせに、戦争描写は下手。 それは置いといて、キューブリックってのは本当、品の無い輩だな。これだから最後、因果で殺されるんだよ! |
329.《ネタバレ》 名作だから観ろと言われると、ハードルが上がってしまい評価は下がる傾向・・ 自分はキューブリックという監督とは相性が良くないのかも。 戦争の全線でメンタルを保つには、あのくらい鍛えないと駄目なのかもしれないと、前半は興味深い。 執拗なパワハラやいじめに会い、精神がねじれていくおデブさんのエピソードには、唸ってしまった。 後半の戦場のストーリーは、イマイチですね。どうもリアルが足りない。ベトナムぽくもないし。 地雷にやられた仲間の元に走って集まるとか、不注意過ぎるし、放置された敵の死体全然映らないし、 狙撃手の居場所がわからないのに、当てもなくバズーカ撃ちまくってるくせに、居場所が判ったら 小銃だけで接近を図るとか、意味不明・・。救出作戦じゃあないんだからブッ飛ばすだけで良いはず。 更に、最後の狙撃手との撃ち合いで、弾切れして拳銃に持ち替えるジョーカーの右胸には、手りゅう弾が 2発もぶら下がっている。20メートル先の相手に何故投げないのか・・・? そして、まだ生きている敵が女だからなのか、集まって覗き込むアホな面々。自爆されたら終わりだよ。 だいたい、その女もマシンガンで10発近く食らって死んでないとか有り得ないし・・ この茶番戦闘の後で、ミッキーマウスマーチ歌いながら歩くの見せられて、感動しろとでも言うのだろうか? 自分には無理です、評価できない。 【グルコサミンS】さん [DVD(字幕)] 3点(2020-03-22 00:48:39) |
328.《ネタバレ》 何処を見ても負とか闇とかって感じです、個人的に前半のインパクトが強くて後半とのバランスがやや悪い気がします。米兵が派遣先でバカな事件を起こしたりしますが、なんとなく通じるものを感じます。 追記20190312:意味わからんけど、なんか割と真面目にレビューしてたコレw。。。追記した理由は、ハートマン軍曹ことリーアーメイさんが1年前に亡くなられたと知った為で、(情報遅いんですけどね)ご冥福をお祈りします。映画の役名は、主役やタイトルにでもなっていない限りほぼ忘れますが、ハートマン軍曹&口撃と共に忘れられない強烈なキャラでしたよね。ついでにレビュー追加します、軍曹のしごきに耐えて立派な軍人?になったのに、派遣前に軍曹を射殺して自殺した微笑みデブですけども、実際狂ったわけですけど、意外とまともな人だったのではないかと思えるようになりました。微笑みデブで調べたら本当は、とある作品のゴマー・パイルという名のキャラらしいですね、日本人にとってはゴマーだとインパクトが薄いですので、名意訳なのかもですw 【ないとれいん】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-03-12 16:33:18) |
327.《ネタバレ》 前半傑作。後半凡作。前半部は、時計じかけのオレンジを思い出させる人間の狂気を育てる怖さ一杯。後半は!残念。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 6点(2019-01-30 22:47:46) |
326.《ネタバレ》 しごきのシーンは噂通り激しいです。ただ何となく現実感が無いというか、この監督の作品は無機質なイメージがあるので強く迫ってくるものは特に無かったです。裏目に出ている様に思います。後半は普通の戦争映画。足元を移動するカメラワークはカッコよかった。エンディングもカッコいい。ただ悲惨だと思わないし、戦争映画として考えさせるものを提示するわけでなく、インパクトは薄いと思います。 |
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325.《ネタバレ》 最近になって急に、1988年の「ファミコンウォーズ」CMを思い出して あっ、CMは知っているのに肝心な「フルメタル・ジャケット」観てない。と思い CMシーンが観たくて鑑賞しました。思ったよりも内容も良く楽しく映画鑑賞しました。 がぁー、 やはり私は、あの想い出のCMシーンが最高でした。「♪かぁーちゃん達には、内緒だぞぉー!♪」 【昭和の代表】さん [DVD(字幕)] 7点(2017-12-07 22:38:42) |
324.《ネタバレ》 微笑みデブは銃を女性のように愛しすぎてしまったため、恍惚の表情を浮かべながら肌身離さず寝ることさえ惜しんでみんなから離れて銃を守っていた。そこに軍曹が現れそれを奪おうとしたので軍曹を殺した。しかし軍曹は銃を女性の名前で呼べと日頃から命令していたので、結果的にはそれを一番忠実に体現していた微笑みデブに殺されるという皮肉とその異常性を感じました。殺しを頭に乗せ胸には平和をつけるジョーカーは中途半端な存在でどちらにもなりきれなかった。しかし最後に安楽死という自分を正当化できやすい状況でベトナム兵を殺すことでやっと、はっきりとした存在=殺人機械になれた。他にも、民間人を虐殺する兵士や死体で遊ぶ兵士。誰も彼もが戦争の中で徐々に精神に異常をきたしていてそれは特別な事ではなく必然的ともいえるような気もしました。最後にみんで歌っていたミッキーマウスもアメリカで生まれて多くの人に愛されているネズミ、そんなネズミ=ベトナム兵を殺す兵士達。結局、アメリカは戦争によって自分自身で首を絞め殺して、そんな象徴を自ら汚しているという事なのでしょうか。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 6点(2017-10-23 18:51:48) |
323.良くも悪くもこの映画はストーリーではないですね。 もう雰囲気勝負で好き嫌いが別れる映画ではないかと思います。 これがキューブリック初体験の映画でしたが、入門としては良かったのだろうか。 前半のテンポは良かったんですけど、 後半何か展開が起きないかな、と思ってたらいつの間にか終わってました。 前半6~7点、後半2点。そんな感じでしょうか。 【非映画人】さん [DVD(字幕)] 4点(2017-01-13 17:18:47) |
322.《ネタバレ》 「突撃」に並ぶキューブリックによる戦争映画の傑作。 初見には重い戦争映画、二度目は「博士の異常な愛情」に通じるブラック・ユーモア。ハートマン軍曹とのやり取りは面白いし、戦場の報道部にはスヌーピーだわPT&ミッキーマウスでマーチ(行進)だわ。 彼らにとって訓練から既に戦争が始まる。 海兵隊訓練所における狂気、戦場での狂気。 冒頭は軍隊に入る兵士達が頭を刈る“儀式”から始まる。みんな憂鬱そうな表情で自分の髪とさようなら。 そこからハートマン軍曹による愛ある?薫陶(罵詈雑言)。「親のファ●クでシーツに残ったシミが貴様ら」だなんて言われたらヘコむ。このシーンで爆笑できるようになった人は立派なキューブリックファンです。俺も2回目見た時は爆笑し通しだったわ。あそこまで言われたらもう笑うしかねえww 「マスターピース」を暴言に出来るのはハートマン軍曹だけだと思う。 微笑みデブ(アーニーパイル)も黙りこむ。ジョーカーだけが彼を本名のレナードで呼ぶ良心。ハートマン軍曹は厳しくも彼を見捨てなかったが、ソレが他の訓練兵に憎悪を抱かせレナードに向けられ、微笑みデブは徐々にキリング・マシーンへと変わっていく。 後半のヴェトナムの戦場。「プラトーン」は密林、この作品は市街戦。 上司が次々に死にまくり、異教徒を殺すように機銃を撃つ輸送ヘリのドア・ガンナー、死体にパーティー、見えざる敵と戦う市街戦という名のコンクリート・ジャングル。そんな地獄で戦う彼らにインタビューする報道者たちは何を思うのか。 クライマックスを飾る狙撃者との息詰まる攻防。狙撃者の視点から語られる孤独な戦い、ジョーカーたちも倒れた仲間のために敵の根城に突っ込み“お礼参り”。ビルの中には他に誰かいるかも知れない・・・その緊張が最後まで持続するから凄い。 闇夜のミッキーマウスマーチ。彼らにとっては終わりが迫る喜びの歌、だが原作小説では彼らの戦い、いや地獄はまだ続く。まったく戦争は地獄だぜ。 その後にローリング・ストーンズの「黒くぬれ(Paint It, Black)」を聞くともの凄く切なくなるんです。 昔のキューブリックだったら腰振りのマネだけじゃなく本当に狙撃兵に死姦をかますとかヤッてたかもね。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-11-01 19:09:31) (良:1票)(笑:1票) |
321.《ネタバレ》 組織や環境が人を変える。これがキューブリックの不動のテーマ、若者を兵士に変える、自然豊かなのどかな国を凄惨な命のやり取りの場に変える。恐ろしい現実を突きつけられる映画ですが、幾分フェアでない、新兵訓練を描く前半ですが主軸のある同僚の変貌は軍隊の機構ではなく、いじめによってもたらせられる。もちろんこうした事は現実にもおこっているのでしょうが、組織として彼を漆黒の復讐者に変えたのではなく、いろいろあってこうなったという見方もできるのではないか、足手まといであることを突きつける現状(いじめの発端)も実態はそのまま戦地に送ることはできない、という見方からすれば責めがたい規則ではないだろうか。どうしても主張に振り回されたのではなかろうかという思いがあり、映像表現力の圧倒性をこそ評価するにとどまる。7点。 【病気の犬】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-06-29 15:29:12) |
320.《ネタバレ》 この映画はベトナム戦争という歴史的事実に対しての言及というより、「卒業したてのどこにでもいるような学生が訓練・実戦をとおして殺戮マシーンへと変貌するさまから、戦争が人間から人間性を奪ってしまう恐ろしさ」を描き、戦争への痛烈な皮肉を表現した作品だと思います。レナードが自らに放った「Full Metal Jacket(完全被甲弾)」は人間性の死滅の象徴だと思います。 キューブリック作品としては、一番分かり易い作品で、普遍的なテーマを描いた傑作だと思います。 【fujicccoo】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-02-20 14:42:43) |
319.まさしくベトナム戦争映画の代表作。キューブリックが戦争の無意味さを冷笑。お決まりの役者が狂気になるシーンも炸裂。さすがだね。 ラストのミッキーマウス切な過ぎ。仲間がいる安堵感からくる歌なんでしょうけどね。 |
318.《ネタバレ》 キューブリックの中で1番好きな映画、全編ロケだとの事。ロケで無いとこの迫力(内面の切迫感という意味で)は出ないだろう。好きな所はヴィンセント・ドノフリオ(のデブ男)編が終わって、明るいベトナムのハノイの風景に切り替わる所、ナンシー・シナトラの歌でやっと前編が終わり、後半突入感が満載のシーンだ。その後半の後半はスナイパーとの銃撃戦からが素晴らしい(というか、恐ろしいのだが)。「戦争がココまで人間を変えるのだ」というキューブリックのメッセージでコレは反戦映画だと思っている。 【アマデウスga好き】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2015-10-19 23:35:50) |
317.前半は一心不乱に見入ってしまう魔力がありますが、後半は普通の戦争映画になってしまいます。同時期に公開されたプラトーンが素晴らしすぎるのか、、それともフルメタルジャケットが難解すぎるのか。。この映画が何を訴えたかったのかがちっともわかりませんでした。前半素晴らしくて後半はあまりぱっとしないので、、間を取って5点です。 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 5点(2015-09-29 23:55:06) |
316.《ネタバレ》 他の方が仰る通り、前半10点、後半6点の映画。言いたいことは全て語られているため、とにかく洗脳にも似た"製造過程"は凄いとしか言いようがない。戦場に参加するアメリカ兵のほとんどが貧困層であり、将来の格差の拡大・固定化で日本でも軍に志願せざるを得ない状況が作られる可能性があるだけに、ほほえみデブのような末路を迎えたくないよね。貧乏人は国家によって戦場で使い捨てにされる"消耗品"か? |