乱のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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[ラン]
Ran
1985年上映時間:163分
平均点:6.68 / 10(Review 102人) (点数分布表示)
アクションドラマ時代劇戯曲(舞台劇)の映画化
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2022-07-20)【イニシャルK】さん
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監督黒澤明
助監督小泉堯史
米田興弘
演出本多猪四郎(演出補佐)
久世竜(殺陣)
キャスト仲代達矢(男優)一文字秀虎
寺尾聰(男優)一文字太郎孝虎
根津甚八(男優)一文字次郎正虎
隆大介(男優)一文字三郎直虎
ピーター(男優)狂阿彌
野村萬斎(男優)鶴丸(クレジット「野村武司」)
原田美枝子(女優)楓の方
井川比佐志(男優)鉄修理
宮崎美子(女優)末の方
加藤武(男優)畠山小彌太
田崎潤(男優)綾部政治
植木等(男優)藤巻信弘
油井昌由樹(男優)平山丹後
南條玲子(女優)秀虎の側室
東郷晴子(女優)楓の老女
頭師佳孝(男優)
頭師孝雄(男優)
音羽久米子(女優)秀虎の側室の老女
児玉謙次(男優)白根左門
渡辺哲(男優)
加藤和夫【俳優】(男優)生駒勘解由
伊藤敏八(男優)長山主水
天田益男(男優)
山田明郷(男優)
藤原稔三(男優)
加藤精三畠山小彌太(ノンクレジット)
原作ウィリアム・シェイクスピア「リア王」(ノンクレジット)
脚本黒澤明
井手雅人
小国英雄
音楽武満徹
撮影斎藤孝雄
上田正治
中井朝一(撮影協力)
関口芳則(撮影助手)
製作アスミック・エース
プロデューサー原正人
配給東宝
日本ヘラルド
作画黒澤明(絵コンテ【ノンクレジット】)
美術村木与四郎
村木忍
衣装ワダエミ(衣装デザイナー)
編集黒澤明
南とめ(ネガ編集)
録音矢野口文雄
吉田庄太郎
照明佐野武治
その他黒澤久雄(プロダクション・コーディネーター)
野上照代(プロダクション・マネージャー)
原田大三郎(スチール)
IMAGICA
東宝録音センター
あらすじ
戦国の世を生き抜いて年老いた武将、一文字秀虎は三人の息子に領土を分割するに当たって「一本の矢はたやすく折れるが三本束ねた矢を折るのは難しい。」と息子達に互いの協力を促すが三男の三郎は束ねた矢をへし折って父の陳腐な訓戒を批判する。怒った秀虎は領土を長男と次男にだけに分け与え三郎を追放する。だが、秀虎をひそかに憎む妻に懇願されるままに長男は秀虎を冷遇し、そして次男も・・・。シェークスピアの「リア王」に黒澤独自のエピソードを加え、日本の戦国時代を舞台に大規模な合戦シーンを交えて展開する悲劇。
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102.初めて見た黒澤明監督のカラー時代劇。白黒時代の「用心棒」や「椿三十郎」、「七人の侍」を既に見ていて、娯楽作を当然のように思い浮かべてたら、なんか重苦しいだけの退屈な作品でさっきあげた三本と同じ人が監督だとはちょっと信じられない作品だった。しかし、合戦シーンは黒澤映画らしいダイナミックな迫力で見ごたえがあるし、楓の方を演じる原田美枝子の激しい演技が強烈に印象に残る。でも、やっぱり黒澤監督の時代劇としてはそんなに好きな作品ではない。本当は4点ぐらいでもいいのだが、さっきも書いたように原田美枝子の演技があまりにすごいので、彼女に2点ほどプラスしておくが、前作の「影武者」のほうが個人的にはこの映画より好きだな。
イニシャルKさん [地上波(邦画)] 6点(2024-11-20 22:28:33)《更新》
101.《ネタバレ》 それこそ、30年くらい前に初めて観て(僭越ながら)こんなの今まで観たコト無いな…と思った記憶がありますね。それは特に「時代劇としては」という意味だったのですが、今だに強烈に印象に残ってるのは(中で)とにかく「血の表現」だったと思います⇒最高レベルってのはココまでやるのか…と。でも、今今に観直すとコレって、別に全然「リアルな血」ではないよな…とも思うのですね⇒あんなに河みたいにドロドロ流れないだろ…と。で、そもそもこの映画、よく観ると何処も彼処も全然「リアル」ではないとも思うのですよ。狂い果てた幽鬼の如き仲代達矢の有様(or メイク)と言い、諸々の地形もチャンと観るとなんか変なトコばっかですし、異様に煌びやかな衣装や具足・それも含めて全体的にも隅々まで「画が綺麗すぎる」とだって思ったりします(単にリアルな時代劇だってなら尚更に)。

何より、今回観たらコレ、時代劇は疎かドラマにだって皆目成ってないな…て思っちゃったとゆーか、登場人物も総じて全然リアルな人間には描かれてないのですよね⇒前述の仲代達矢や狂阿彌は勿論、息子三人だって一人として血の通ったキャラには全く見えて来ない。ある種、私原田美枝子さんって大好きなんですケド、今作にのみ関して言うなら寧ろ彼女ダケがひとり「間違えている」という風にすら見えます⇒「人間」過ぎる・「人間」としての感情をリアルに+ハッキリと表し過ぎている…と。結局、私が思うトコロの一番に来るコトとしては、見た目の印象やごく重々しい・重苦しい特大の見応えとは全く裏腹に、実に抽象的な表現で抽象的なモノを描こうとしている映画だ、と⇒だからやっぱり(私が他に観たコトあるモノの中では)何より「能」に一番近い…と思わずには居られないと言いますかね(ココまで表現が「ある意味で」抽象的だと、コジツケぽく思われるのは(私も)重々承知ですがモ~致し方無いかな…と)。

とは言え、そりゃ映画なんだから当然、本来の能よりは全然(全っ然)分かり易いとは思うのですよ。でも、逆にコレくらいはしてあげないと現代人には(最早)伝わらないんだよ!てコトにだって思えたりするのですよね⇒ソレはもう、現代人が「想像力」を致命的なまでに喪失してしまって居るからだ…と。今作で言えば、鶴丸が笛を唯々奏でる(というテイで笛の音が唯々流れる)中盤とオーラスの2シーンとゆーのが、私にとってはその「抽象的なモノを抽象的に伝える」シーンとして極致に到っていた…と感じられたのですね。小林正樹監督の『怪談』で、平家琵琶のシーンを観た時にもその様に感じられたコトではありますが、重ねて、嘗ての人々にとっては音曲・舞踊ダケでも伝わっていたソレとゆーのが、今や即物的に為り過ぎ&心の瞳を失い&退化し切った現代人にはこの程度の映画(映像)表現でアシストしてやらないと伝わらないのだろう…と(率直に)思われるのです。そして、今作もまたその意味では、そーいう古のテーマを古の技法に(部分的にも)則って垣間見るコトが出来るという点で、実に日本的で、そして優れた映画だったと思うのですね。傑作だと思います。
Yuki2Invyさん [ブルーレイ(邦画)] 9点(2024-01-14 13:04:47)
100.《ネタバレ》 この映画ね、公開当時はええと渋谷かな?そこでまず見た。まあ”世界のクロサワ”の映画だぁ 見なきゃ!
の時代でだったな。ルーカスとかが撮影を見に来たりしてたしね。

で、この年末(2023年12月)にBSでやってた。それを録画して見る。

ん?こんなだった?セリフ聞こえにくい。兄弟や敵は”色が変わる”のでわかりやすいけど、馬が走る、人が走る。その”絵ずら”を見せたがっているように何回もそう言うシーンが出てくる。

まあ、確かにそう言うシーンを取るのは難しい。だけどそれって、今も昔もそれ担当の監督がいるんでしょ?
結果、”黒沢組”の働きなんでしょうけど。

「馬のシーンが印象的ですごい!」てのは、底しか褒めるところが無かった? そうとも思えんけどなぁ

見ていて興味が出るのは原田美枝子さんの楓。他は誰かわからん。スター性を無視するのは日本の映画会社への反抗だけでもないよな。

まだ、「影武者」はああ、あの人がやってるな。と分かるけど(まあ、どう見ても勝さんで設定した役だよね)

この映画では、あれだけわからんなら、演技者は誰でもええんやないか? そうとも考えてしまうな。

色変わりは脳トレクイズ。気合の入りすぎのメイクは、この人は誰でしょうクイズ。聞こえにくいセリフ、今は何を言っているのでしょうか?補聴器調整クイズ

面白くないというより、面白がる場所がもう今や少ない。さすがのクロサワももう期限過ぎたかも。

カラー/白黒という問題ではなく、この人の表現方法が度が過ぎちゃったんだと思うなぁ。
亜輪蔵さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2024-01-06 22:01:59)
99.《ネタバレ》 わざわざ元日にこんな重たくて暗い映画をTV放送する意味がどれくらいあったのか大いに疑問ですが、なんだか落ち着いてシッカリ鑑賞することができました。黒澤明だからという特別な気持ちは一切持っていませんが、なぜか黒澤映画は心に残るシーンが多い。本作に関してもやたらと印象に残る独特なシーンがあって妙に引き込まれました。
内容的にはよくあるシェークスピアをなぞっただけというありきたりな流れですが、元々リア王が手を加える部分が無いド定番の流れなので、やはりどこの世界でもいつの時代でも長男次男は愚かなものだと痛感させられます。

皆様同様、楓の方(原田美枝子)が素晴らしい。これと双璧をなすハズだった末の方(宮崎美子)の顔がアップにならないのは解せませんでした。しかも秀虎(仲代達矢)とのシーンでは表情に言及するのでなおさら見たくなりました。また、狂阿彌(ピーター)がかなり役不足で残念でした。いえいえもちろん頑張ってはいますが、明らかにスペックが足りておらず準主役といえなくもない大役を任されるにしてはかなり物足りない演技力だったと感じます。

良かった点は太郎次郎三郎で旗の色が異なる点は判り易くて良かったです。また血の色が妙に鮮やかな点も素晴らしかったです。まるでこの世の地獄がきちんと描けていました。これらはカラーならではの利点でした。随所に間延びする部分もちらほらありましたので少し厳しめの点数にしてありますが、個人的には傑作とは言い難いもののかなりの良作でした。
アラジン2014さん [地上波(邦画)] 7点(2024-01-04 14:43:21)
98.《ネタバレ》 『影武者』と本作を立て続けに見たが、この二作品とも私にとっては退屈で、最後まで見るのに難儀した。
本作の方はそれに加えてピーターの動きと喋りがとにかく嫌で嫌で、イラついてムカついて仕方なかった。
老けメイクの仲代達矢と、迫真の演技の原田美枝子のご両人は素晴らしかったが。
にじばぶさん [インターネット(邦画)] 4点(2023-04-30 18:52:00)
97.《ネタバレ》 黒澤のカラー映画ってぶっちゃけどうなんだろう?、あまり良い評判聞かないけどなぁと思い、長年手を付けてなかったが、この機に本作「乱」に挑んでみた。

鑑賞してみると、いやいや、前評判を十分吹き飛ばすくらいに、力のこもった大作だった。

カラーになったとはいえ、これぞ黒澤と言わんばかりの、壮大なセットを背景に群衆や天候を縦横無尽に活用した、ダイナミックで躍動感あふれる画づくりは健在。本作ではさらに、ヴィヴィッドな色彩も重要な要素になっている。それぞれが身にまとう衣装の色の違いで各陣営・各登場人物を明確にさせる、あるいはショッキングな演出の肝となるなど、カラー映画だからこその工夫も抜かりない。クライマックスで、楓の方を処断するシーンの演出には痺れた。まさに構図で語り、構図で魅せる。さすが巨匠黒澤。

その他の見せ場でいえば、中盤の城攻めのシーンがまさに出色。蜘蛛之巣城でやったホラー的演出をさらに進化させたような場面であり、次々に斃れていく兵士たちの凄惨さ、刺し違えて自刃する女たちの痛ましさなど、このシーンだけ切り取ったとしても、日本の戦国ならではの凄惨極まる戦の表現に成功しているといっていい。

ちなみに作品の欠点としては、映画というよりはむしろ舞台劇になっていることだろう。特に狂阿弥と丹後の台詞はもはや舞台劇のそれといっていい。役者の演技はともかくとして、映画としてはかなり不自然でくどく感じてしまった。全編を通して、映画というよりは、もはやビッグスクリーンで壮大な舞台劇をやり切った感が強い。人によって好き嫌いが出るのはこのためではなかろうか。私も若干違和感を拭えなかったので、満点評価とはしていない。

なにはともあれ、世間にあまたあるシェイクスピアのリア王の翻案としては、最も成功した作品と呼んでもいいだろう。
nakashiさん [DVD(邦画)] 8点(2022-08-14 19:25:36)
96.《ネタバレ》 見事な作品。「死ぬまでに観たい映画」トップ10に入るほどの評価も納得できる。
「乱」とはご乱心の乱であった。老けメイクをした仲代達矢の怪演も素晴らしいが、なんといっても印象的なのは原田美枝子だ。この人の印象がすっかり変わってしまった。城の廊下を擦り足で歩く姿や、迫真の迫る演技などは忘れがたい。
ダイナミックな演出と併せて、最近の低予算お気楽大河ドラマとは雲泥の差がある。一方でセリフが聞き取りにくく(字幕付きで良かった)、やや長尺なのはマイナス点であろう。
とはいえ壮大なスケールの戦国人間ドラマの傑作としておすすめできる。8点に近い7点献上。
mhiroさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-05-13 20:11:31)
95.《ネタバレ》 戦国時代と江戸時代の明確な区別も付いてない子供の頃に、初めてこの映画を観た時、武士が殺される様子が生々しすぎて、めちゃくちゃ怖かったな。お茶の間でよく流れてる“時代劇(斬られたら踊りながら倒れる。服切れてない、血出ない)”の、ちょっとお金の掛かった作品かな?くらいに思っていたので、血が飛び散り、死体が転がる世界観に衝撃を受けた。血まみれの城内、密集して走る騎馬、空を埋め尽くす火矢、燃え落ちる城。
音楽もオドロオドロシイし、全然私の知っている時代劇の範疇じゃない、むしろコレ戦争映画だ。
この作品の他に戦国時代の映画で、ここまでお金の掛かった、観てて怖い映像って、他にあるのかな?思い付かないな。
子供の私にも話の大筋が分かり易く、親兄弟が家督が原因で争う顛末は、どこかおとぎ話の教訓のよう。

久しぶりに観たけど、映像の美しさは際立っている。ザワザワと波打つ草原、ムクムク増える入道雲、砂地に流れる雲の影、だいだい色に染め上がった夕焼け。この自然を撮るためにどれだけの時間を要したことか。黄、赤、青、登場する色鮮やかな武士たちの布陣の美しいこと。
『リア王』を基盤にしているそうで、映画の中で舞台劇らしさを表現したんだろうか。
面白い事にこの映画には、町人や農民といった、劇の内容と無関係な群衆が一切出てこない。三郎のお城も、普通なら城下町があるだろうに、寂しい砂地の辺鄙な所にあるのも、“余計な情報を描かない舞台劇”だと考えると納得が出来なくもない。

劇中、アップで映るのは一文字の一族、楓、鉄(クロガネ)、狂阿弥くらいか?それ以外の役者の顔アップは殆ど無い。末の方が秀虎にどんな表情をしていたのか、それどころか末の方が宮崎美子であることも解らないくらい、寄らない画造り。この辺りの撮り方も、自由に寄ったり出来ない舞台劇を意識してのことかと思われる。劇場の大画面で観ていたら、表情の違いも観えたのかな。
ほぼ素っぴんメイクの役者陣に対し、城が襲われたときからの仲代達矢だけは、狂気の形相を白粉やドーランで表現している。眼の前で繰り広げられる地獄絵図と同時に、主人公秀虎の精神も地獄に落ちたという表現だろうか。対象的に悶え苦しむ武士たちは地獄に落ちた餓鬼のよう。
原田美枝子演じる楓の方の、凄みのある抜刀と怒声。高笑いから一転して脅迫、色仕掛けに入る絶妙な間。そして最後の泣き落とし。井川比佐志演じる鉄のすっとぼけた態度と痛快な台詞回し。この二人の、殿である次郎の頭越しに繰り広げられる闘いが見事。
借り物であるリア王リメイクの主役は秀虎だけど、純粋なクロサワ映画の主役はこの二人ではないだろうか。
黒澤監督が鉄役を高倉健にしたかった理由も解る。
K&Kさん [地上波(邦画)] 8点(2022-04-03 14:15:18)
94.《ネタバレ》 10年ぶりに、ちょっとだけオープニングを見ようと思って、全部見てしまった。映像が圧倒的なパワーを持っていて、どのシーンであっても目をそらすことができない。20年前に初めて見たときは、まったく良さがわからなかった。だれかリメイクで、スピーディーな娯楽活劇に仕立ててくんないかしら。
センブリーヌさん [DVD(字幕)] 8点(2020-08-25 12:58:14)
93.《ネタバレ》 BS4Kで放映されたので鑑賞。今から35年前の作品だけど4Kで綺麗になってその美しさにまず感動。字幕をオンしにてみるのが最近の私の鑑賞の仕方なのですが、本作にも字幕が付いてセリフが聞き取りにくくても分かり易かったです。さて本作の内容ですが、戦国時代を無慈悲に生きた主人公が側近に次々裏切られ、没落し狂っていく悲劇を描いています。CGのない時代にこの迫力、いやむしろCGでは無いからこその画面の迫力は凄いです。俳優陣の熱演も鬼気迫るものがあります。どうしようもない人間の性を描いた名作だと思いますし、エンターテイメントとしても優秀な作品だと思います。
ぽじっこさん [CS・衛星(邦画)] 9点(2020-06-01 06:04:31)
92.公開当時映画館で鑑賞。当時私も若かったせいもあり、あまり面白く感じなかった。それから約30年。長い時を経て二度目の鑑賞。おお!凄い凄い!圧巻!圧巻!所々の記憶はあるものの、やはり酸いも甘いも幾多の人生経験をしてきたオッサンともなると、この作品から発せられる強烈なメッセージは、沁みる沁みる。こんなにも痛烈な作品だったとは・・・。やっぱり映画って時間が経ってからでも、観直してみるのって良いもんですね。

映画っていうよりも舞台劇。あれだけ荒野を彷徨い野宿を繰り返しても、着ている衣類が新品さながらなのは監督の意図なのか。町や町民農民といった生活感のあるものを一切排除し、まるで無機質な空間はさながら、舞台装置や小道具類を使用しない斬新な舞台劇のようだ。またアップショットもほとんどなく、引き絵を多用しているのも舞台的効果を狙ってるようだ。表現方法の豊富な映像という芸術ジャンルを嘲笑うかのようなその演出は、逆に映像芸術の可能性を追求しているようにも見えるし、小説のような行間を読むという受け取り側の自由な感受性を刺激しているようでもある。だからこそ愚かで滑稽な人間像が赤裸々に、かつ強烈に浮かび上がってくる。全くもってとんでもないエンターテイメントですよ。

狂った今の世で気が狂うなら、気は確かだ!

見えてる者たちは崖から転げ落ち、見えない者は落ずに済んだ。
Dream kerokeroさん [インターネット(邦画)] 9点(2019-05-21 09:07:32)
91.《ネタバレ》 意外と好き。3原色の騎馬軍団が、スタイリッシュで面白い。そして、植木等の飄々とした演技が抜群。
にけさん [映画館(邦画)] 8点(2019-01-18 07:35:22)
90.黒澤監督の最期の時代劇映画となった本作。
身内で泥沼の権力争いを描き非常に滑稽な物語ながら大金をかけたであろうスケールの大きさと映像美は圧巻。
一方で城下町の人間や時代背景の様子が映らず家族大喧嘩にフォーカスし過ぎてリアルさに欠けてしまったように思う。
それでも七人の侍とは違った立ち位置で娯楽の存在感はあります。これが黒澤が描いたシャイクスピアなんだ。
mighty guardさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-07-28 23:29:45)
89.良い評価も悪い評価も与えられる作品であり、鑑賞の度に評価が変動しそうで点数をつけづらいのですが、今のところはどっちつかずの6点とさせていただきます。
古典を原作としていることの弱みがドバっと出た作品であり、現在の目で見ると突飛な展開、薄っぺらな人物描写が気になりました。特に次郎の動きは理解や共感が困難であり、兄嫁に簡単に篭絡させられ、その操り人形となって今の妻を殺そうとする展開などはもう少し説明が欲しいと感じました。そもそも『リア王』を知っていて物語を脳内保管することが可能であり、「うまく換骨奪胎したものだ」という目で見ることができる客層からしか支持されない内容であり、シェイクスピアに馴染みのある欧米で高評価を受け、逆に日本では不評だったという現象にも納得がいきます。
なお、映像の迫力や美しさには素晴らしいものがあり、芸術作品としてはハイレベルです。色分けされた軍勢が織りなすマスゲームの美しさ、本物志向で建てられたオープンセットの説得力、そしてそのオープンセットを豪快に燃やしてしまうという気前の良さなど、画面で起こることすべてに見ごたえがありました。ハリウッドならば中規模作品に分類される予算でここまでの映画を撮りあげた黒澤明の手腕には圧倒的なものがあり、うまくお金を使うことも映画監督の才能のひとつなのだということがよく分かります。
ザ・チャンバラさん [インターネット(字幕)] 6点(2016-11-09 13:11:20)
88.リア王を下敷きにした戦国絵巻だが、全体の印象として仲代達矢主演の舞台劇を観ているようだ。息子たちに裏切られ苦悩する秀虎の姿に黒澤の自画像をみる思いで、三船ら身近な人間に去られた監督の内面と二重写しにみえる。
戦国の“乱”、心の乱れの“乱”、栄華が朽ちていく“乱”・・・。雲や光の映像美とともに、衣装は豪華で色彩豊か。さらに、合戦シーン(特に弓矢)、楓の方の惨殺シーン及び炎上する城が印象深い。これらの迫力はいかにも黒澤らしい。
終盤、映画の主題を説明するかのごときセリフに対して違和感が残った。狂阿弥の狂言回しはあまり効果的でなかったと思うし、ラストにモニュメント・バレーを想起させる場面が現れるのはさもありなん。
風小僧さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-07-31 21:26:17)
87.《ネタバレ》 中学生の頃、黒澤明の先入観なしに初めてテレビ放送で観た感想は「難しそうな映画かと思ったが意外とわかりやすくて面白かった」。
これが黒澤初体験であった自分は、それ以前の黒澤名作群の面白さをビデオや名画座で知ることになるのだが、
全盛期とは作風が違うといった評価は自分にはない。「乱」は比類なき「乱」であると、最近の4Kブルーレイを観て改めて思った。
今、映像の仕事をしていると見るたびにカメラワーク、絵作り、編集のバイブルのように思う。
稽古を重ねて凝縮された名優たちの演技も素晴らしいし、だからこそ誤魔化しの無駄なカット割りも無い。
自分にとって編集は見るたびに参考になり、今見ると無駄なカメラワークを感じさせないために、実はリハーサルを重ねて大変難しいカメラの動きを大勢のスタッフでやっているのが理解できる。
極力カメラや編集の技巧を感じさせないために実は大変な労力を費やしている仕事は美しいと思う。
今の映画の作り方はいかにカメラワークや編集で驚かせるかという真逆の方向が主流と思うが、それを自分は否定しないし、その面白さもあるのだが、この作品のスタッフワークの素晴らしさは公開後30年経った今もいささかも自分の中で風化しない。
「歴史に残る」とはこういう作品なのだと改めて思う。
若いころはセリフが説教臭いと思った部分もあるのだが、「人間は愚かなことを繰り返している」というこの作品が訴えるものは、今の世の中を見ても明白である。
ぜひ、若い人に観てほしいと思う。実際に燃える城、大人数の合戦など、今後日本映画では決して実現できない映像を見ておくだけでもいいと思う。今のテレビドラマではとうていお目にかかれない凝縮された役者たちの演技を見るのもいい。
映像と音楽が一体となった効果(特に落城シーン)も観てほしい。
世間の評価がどうであれ、自分にとっては教科書であり続ける作品です。
どっぐすさん [ブルーレイ(邦画)] 9点(2016-06-21 23:42:14)
86.色彩がすごく美しい。この頃からから、ある種の様式美に黒澤監督は移行しようとしていたのだろうか。テレビで見たんだけど、それでも画の強さに圧倒された。映画というより、絢爛たる襖絵を次々と見せられてる感じ。黒澤作品中、もっともペシミスティックな映画だろう。それにしても本当に黒澤監督って「姿三四郎」の時から日本では苛められてるんだな・・・・。淀川さんが「黒澤さんはね、磔になったキリストなの」と言ってたのが、よくわかるよ。
それにしても、城が燃えるところ、あの燃え盛る凄まじい炎の美しさ、凄さ、あれがこの映画の命みたいなところでもあるのに、誰もそれを言わないし、誉めないね。あれだけの炎を出せる人はいないと思うけど。
ひろみつさん [DVD(邦画)] 8点(2016-02-06 22:19:54)
85.表現したいことは伝わってくるのですが、さりげなさとリアル感がなく心に響かない映画でした。
ProPaceさん [CS・衛星(邦画)] 4点(2014-09-16 19:37:04)
84.仲代達矢氏の起用は、他に適切な俳優が見当たらなかったという消極的起用だったのではなかろうか。かのような大俳優にむかってきわめて無礼な言い方ですが、そう感じました。思い切ってジャック・ニコルソン氏とか(無理か)。スケールの大きさはさすがとしか言いようがありません。大型劇場で鑑賞したらすごい迫力なんだろうな、とリアルタイムで鑑賞しなかったことを後悔しました。某角川映画にもスケール感をだそうと大金投入した作品がありましたが、「画」が違います。あと、ピーターの役がらは異形の様子がよく出ていましたが、いかんせん描写が長くててちょっとタルみました。
la_spagnaさん [DVD(字幕)] 7点(2014-08-31 09:44:55)
83.個人的な話で恐縮なんですが、私は子供の頃からずっと疑問に感じていたことがありまして、それは「この世に神様がいるなら、どうして人間社会の争いごとがなくならないんだろう。どうして哀れな境遇にいる我々を救ってくれないんだろう」というものでした。そしてその疑問に対して、思いがけない解答を与えてくれたのが、チャップリンと黒澤明さんだったんです。「悲劇を遠くから見ると喜劇になる」これを教えてくれたのはチャップリンです。そして「人間社会のいかなる事象も神には美しく見えている」これを教えてくれたのが黒澤明さんだったんです。いや、もちろんはっきりとそう仰った訳ではありません(チャップリンは言いましたけど)。でもこの作品を初めて観た時、もう頭にズッガ~ンという衝撃が走ったんです。大勢の人間が殺しあう合戦シーン。燃える城。絶望に駆られて自決する女達。傍で見れば目も当てられぬほどに残酷なはずの首無し少女の死体…。不謹慎を承知で言わせて頂きますが、私は正直、これらを観た時「ハハ~、なっるほどな~! こりゃ神様も我々のことをほったらかしにするわけだわ!」と思ってしまったんです…。もちろん、だからといって黒澤さんが「ね、わかるでしょ? 神様は人間のことを善か悪かで判断してるんじゃないの。美しいか否かで判断してるんだよ」というメッセージを込めたという証拠などはありません。単なる私の個人的な感じ方です。でも私には、一般に言われている「黒澤さんが言いたかったのは、人間社会の愚かさ、因果応報、憎しみの連鎖、その他もろもろがなんたらかんたら…」という類の意見は割とどうでもよくって(←何様)、要するに「神の視点で見れば、こんな醜い争いもこんなに美しく見えてしまうんだよ」という、ある意味では「因果応報うんぬん」どころでは済まないスーパー絶望レベルのとんでも残酷メッセージが込められてるんじゃないかなーと思うんでありますが、どうでしょうか。 あ、それから最後に一言。私、だいぶ前に何がしかのレビューで「この映画におけるスローモーションシーンは大変に美しい」とかなんとか書いた記憶があるんですが、今回久しぶりにテレビでやってたのを観たところ、スローモーションなんぞ一ミリも出てこないことが判明しましたw あっれ~、おかしいな~^^(←バッキャロ~!)
バーグマンの瞳さん [地上波(邦画)] 9点(2014-05-01 23:18:52)
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【点数情報】

Review人数 102人
平均点数 6.68点
021.96%
110.98%
210.98%
310.98%
487.84%
51312.75%
61514.71%
72423.53%
81918.63%
91211.76%
1065.88%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.60点 Review10人
2 ストーリー評価 7.45点 Review11人
3 鑑賞後の後味 7.27点 Review11人
4 音楽評価 8.00点 Review9人
5 感泣評価 6.10点 Review10人
chart

【アカデミー賞 情報】

1985年 58回
監督賞黒澤明候補(ノミネート) 
撮影賞中井朝一候補(ノミネート) 
撮影賞上田正治候補(ノミネート) 
撮影賞斎藤孝雄候補(ノミネート) 
美術賞村木与四郎候補(ノミネート) 
美術賞村木忍候補(ノミネート) 
衣装デザイン賞ワダエミ受賞 

【ゴールデングローブ賞 情報】

1985年 43回
外国語映画賞 候補(ノミネート) 

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