13.「ポリスアカデミー」は個人的に大好きなコメディー映画だったので、その主人公役のスティーヴ・グッテンバーグは思い入れの強い俳優であり、スターである。
ただし、彼の他の出演作は?聞かれても、僕は「コクーン」としか答えられない。
そういうわけで、「コクーン」という映画は、アカデミー賞監督の名匠ロン・ハワードの初期のSF作品というよりも、スティーヴ・グッテンバーグが準主役で出演している映画という印象の方が強い。
そして、その続編である今作は、スティーヴ・グッテンバーグの準主役映画パート2ということになる。
長々と作品自体には、概ね関係のない個人的印象を述べてしまったが、結論から言うと今作は「駄作」である。
前作がオリジナル性のあるSF映画の佳作に仕上がっていたのに対して、今作は、ダラダラと無駄の多い滑稽な映画であると言ってしまっても間違いではない。
前作で、異星人たちに連れられて遥か遠い不老不死の世界へ旅立っていった老人たちが、ひょこっと帰ってくる。前作のラストで、母なる地球との永遠の別れを覚悟して旅立っていったはずなので、その導入部だけで一気に萎える。
そして、異星での5年間の生活により、少しも老けてないことはもちろん、過剰なまでに若々しい老人たちのはしゃぎっぷりや、いちゃつきっぷりには、愉快さを超えて段々気色の悪さを感じてくる。
無駄に長々しい展開に対して、何度早送りをしてやろうかと思ったかわからない。
だが、この映画の質が悪い最たる点は、“時々、良いシーンがある”ということだ。
老人たちが、ふと現実に立ち返り、自分たちが選んだ道が正しかったのかと葛藤してみたり、長い年月を生きてきた故の人生観を垣間見せたりする。
そして、ラストではそれぞれの老人たちが、それぞれの思いを持って別々の道を歩んでいく。
「くだらない続編だなー」とずうっと思っていたのに、観賞後は意外に心地よい感情が残っている。
それは、前作において、実は暗に秘められていたハッピーエンドに対する“疑問符”を解消する役割を今作が担い、「駄作」なりにもそれを果たしてくれた証拠なのかもしれない。