2.《ネタバレ》 基本はドタバタコメディの群像劇ですが、ツアー客やツアコンのキャラを作り過ぎていて、笑うというよりはヒクわ、って感じ。
キャラ一人一人に与えられた設定やファッションにあまり必然性が感じられないのですよね。平行するように描かれる小説世界と綿密にシンクロするようなキャラやエピソードがあるというのならば判りますが、それがあるのかどうか、と言われると殆どあるようには思えない状態で。
オーバーアクションが笑いに繋がる、みたいな単細胞的な演出で、ウソくさいキャラがドタバタと混乱しているばかり。
登場人物を整理して描くのがあまり上手くないなぁ、と。
それでも田中麗奈、吹石一恵、安達祐実と女優はみんな魅力的に撮れていて、一方男優の方は何やらいい加減なビジュアルって感じがして、なんか監督に意識の差があるのかいな、みたいな感じがしないでもなく。
映画としてのまとまりに欠いていて、何をとっかかりにして映画を見進めてゆけばいいのかを掴み兼ねる状態で、相当キビシい出来の作品。
と、ここまでは映画そのものの話。ここからは個人的な趣味の話で。
最近、宝塚が好きで、去年はフランス絡みの舞台だと星組の『太陽王』や宙組『ベルサイユのばら』を見まして。今年の雪組『ルパン三世』もマリー・アントワネットネタでしたし、来月には月組の『1789 バスティーユの恋人たち』もあって。
で、そんな私ですから、この映画に出てくるキーワード「太陽王」「ブルボン朝」「ベルサイユ宮殿」に反応しない訳もなく、右京と共にその世界に想いを馳せ、深く気持ちが入っていって。小説のエピソード自体はフィクションですが、ルイ14世の人物像を考えると、いかにもありそうな切ない話で。
小説部分でのフランス人を全員日本人が演じている事も宝塚を見慣れていれば、ねぇ。
更にシネスコ画面に広がるベルサイユ宮殿やパリの街並に心囚われ、デキの悪い映画なのに、随分と堪能してしまったっていうのが正直なところ。困った作品ではありました。