1.《ネタバレ》 昼間からタクシーに乗れる様な(+乗り回さなければならない様な)身分ではないので、タクシーに乗るとしたら深夜だけ、それも基本、仕事の所為です。まあでも、思えばあの家までの時間って意外と心地好かったりするのですわコレが。仕事の方が大わらわだからこそ、その中で自分が何もしてないのに(物事が)前に進むとゆーのが最早ちょっと喜ばしいとゆーか、会話も全く無いワケではない様な(=喋りたければ喋れる)ごく適度な情報のインプットの中、帰って寝るだけの前に逆に少し落ち着けるとでもゆーか、私あの時間て実はかなり好きなのでして。今作、こんな私みたいな(深夜)タクシー好きにはこれまたうってつけの映画だったかも知れません(とは言え、作中のタクシー・シーンは必ずしも「心地好い」というモノばかりではなかった気もしますケド)。
1年おきに1日ずつ、しかも時を遡ってゆくという仕掛けですが、アイデアそのものは最近でもワリとよく見かける方の細工かも知れないですかね(『ラスト5イヤーズ』とか『弥生、三月 君を愛した30年』とかにも似通ったモノは見て取れる)。ただ、まずはその話の運び方・遡り方とゆーのは諸々の小物の使い方がワリと巧みでまま分かり易かったですし(ココには今般のコロナ状況も反映されているのですが、ソコで「マスク」がかなり有効なアイテムに見えていました)またサブキャラの小エピソード・小ネタの数々も十二分に面白みがあり、かつメインの筋に対して出しゃばり過ぎないトコロがとても適切だったと思いました(この部分、地味に俳優も豪華でそれも好かったですね)。
ただメインストーリーは、率直に比較的「ライト」なモノに感じられましたね。それこそ「ちょっと」思い出す様なモノであるダケ、とでも言いますか。でもその分、全体の雰囲気自体はごくまろやかで淡い(これまた)心地好いモノでしたし、それこそソレは主題歌の雰囲気そのものでもあったのかと思います(つまりはこの空気感・「世界観」こそが今作のコンセプトなのだ、とでもゆーか)。結論、普遍的恋愛事象としての共感のし易さも含め、恋愛映画としてはごく手堅い仕上りかと。