3.《ネタバレ》 普段無意識のうちに、人は自分の「欲」に関する部分にはストッパーをかけるものです。それは自分の社会的地位であったり、長年の経験で培われてきた良識やモラルだったり、さまざまな心理的制限がそこに働くからでしょう。
ましてや本作の牧師夫婦なんてものは、普通の人以上に倫理感とモラルを求められる存在。その二人が、今までの人生でおそらく関わることのなかった、倫理感やモラルとはかけ離れた芸術家一家としばらく一緒に過ごすわけです。当然、何か起こりそうな予感は最初からしていまして、そして当然何かが起こるのです。
ただそれは、著しく常識を逸脱したものではありません。確かに不倫のような行動もあっちゃうわけですが、どちらかというと精神的抑圧からの解放というほうが本作のテーマに近いと思います。
そういうわけで、決して画的にもストーリー的にも派手な展開にはなりません。かと言ってリアルかと言えばそうでもなく、むしろ後半は精神世界の解放を夢の描写を交えながら幻想的に描きます。
したがいまして、観る人によっては、退屈極まりない映画になってしまうかもしれませんね。僕はそれなりに楽しんで観る事ができました。なんかちょいちょいイギリスジョークみたいなのが入ってくるせいか、みんながぽんぽん脱ぐせいか、出てくる人達がみんな個性的な割に、他者に対して愛情とか思いやりみたいなのを持っているせいか理由はよくわかりませんが、なんか最後まで飽きることなく観られました。
ちなみに最後に一瞬だけ、ちょっとしたサプライズ演出があります。多分そーじゃないかなーとは思っていましたけどね。