7.タイトルロールに流れる「仰げば尊し」を筆頭に、「故郷」「七つの子」「浜辺の歌」などなど数多くの唱歌が作品全体を包み込み、これが抜群の効果を収める。音楽担当は監督木下恵介の実弟に当たる木下忠司。この人、兄恵介と毎回息がピッタリだが今作ではそれを極めている。場面、場面に流れる馴染みの唱歌を彩りのあるメロディーで微妙にアレンジしており、この作品にかける意気込みが充分過ぎるほど伝わってくる。また、小豆島の美しい風景と島民の生活模様が楠田浩之のカメラに余すところなく収まっており、これもまた監督と息がピッタリ。忍び寄る軍国主義に召集令状、貧苦に喘ぐ島民の生活、敗戦という新たな時代への出発…切々と暦をめくるように綴っており木下調の演出が冴えに冴え渡る。戦時の戦意高揚作「陸軍」の製作がよほど悔しかったのか、今作では平和へのメッセージがビシビシと伝わってくる。そして言うまでもなく、主人公の大石先生を演じた高峰秀子が文句なしに素晴らしい。純朴な子供たちに向ける優しい眼差しに、情感のこもった台詞回し。洋服の似合う新人の先生から人生の辛酸を体験し尽くした初老の先生までごく自然体で演じており、女性教師として一人の母親としての弱さと強さ、哀しさと美しさを見事表現しきっている。情感に訴える見事な反戦映画としてはクレマン作「禁じられた遊び」と双璧をなしており、日本映画史上、燦然と輝く名画。文句なしに10点満点。 【光りやまねこ】さん 10点(2004-11-01 18:12:29) (良:2票) |
6.リメイクもあるけど高峰秀子の大石先生が一番!木下監督作品でも一番好きな作品。小学校でのエピソード、教え子たちの戦争とその後の話などいつ見ても一番泣ける映画です。小さな学校での教師と教え子たちとの暖かいお話は、実は戦争場面のない反戦映画でもあります。 【キリコ】さん 10点(2003-12-25 16:13:58) |
5.高峰秀子が清楚で活発な先生を好演していますね。もちろん皆さんご存じの原作があるわけですが、かなり忠実に再現していると私は思います。戦争の悲劇を、教え子の死というフィルタを通して描いた傑作だと思います。 【オオカミ】さん 8点(2003-12-02 10:34:27) |
4.今の若い人が観るとお涙頂戴な映画だと言われるかもしれないが、これは泣けます。特に、高峰秀子が自転車に乗ってる姿を延々と横移動で追ったカメラワークが、はっきり言って、私は大好きだあ。 【なるせたろう】さん 9点(2003-10-15 20:40:18) |
3.物語冒頭はモガ丸出しの先進的教師だった女教師が、ラストでは貧乏臭い和服に身を包んで、一台の自転車に涙する……。時の流れを描かせたら天下一品の木下恵介監督の真骨頂。この人の映画はいつでも「どこにでもありそうな人生」を丹念に描いてくれて好感が持てる。 【柿木坂 護】さん 10点(2003-10-02 02:36:09) (良:1票) |
2.いい先生だなー、、、、。童謡がてんこ盛りです。 【あろえりーな】さん 6点(2003-04-21 23:23:59) |
1. 原作は余りにも有名な壺井栄の同名小説。木下恵介監督の「泣かせる」反戦映画の代表作であるが、小豆島へのロケが楠田浩之のカメラワークも相俟って抜群の効果。加えて生徒役12人に年齢差を出すために各々の兄弟姉妹を振り分ける芸の細かさは昨今の邦画には到底及びもつかぬ素晴らしさ!全編に鏤められた文部省唱歌も木下忠司の木目細かな配慮でグッと活きている。しかし、何と言っても本作最大の功労者は20~40代の大石先生を生き生きと演じた高峰秀子であろう。余談だが、大石先生の若き夫に扮するは”死神博士”天本英世。個人的には木下監督のベストは戦時中に反戦を訴えた「陸軍」(田中絹代、魂の名演技!)だと思っているので、原作付きの此方に最高点を与える訳にも行かず…8点! 【へちょちょ】さん 8点(2003-01-19 02:38:42) |