15.溝口健二初体験でござんす。いやあ、JTNEWSにお邪魔して以来、それまでだったら絶対に手を出さないような作品を沢山紹介して頂いて来たのですが、溝口作品はずっと手を出さずじまいでした。だって、何か「日本の様式美」だとか「幽玄の世界」とか「秀逸なカメラワーク」とか、オッカナイ言葉で語られてるんですもの。おまけに「溝口見ぬ者は人にあらず!」みたいな事を言うオッカナイおぢさまもいらっしゃるし(ニガ笑)。ということで今回勇気を振り絞ってレンタルしたのですが(ちなみにこの作品を選んだのは一番時間が短かったから・・・あ、そんな怖いカオしないでぇ)、なんつーか、腹にズンとくる作品でした。むっつかしい事はよく分からんけど、映像も音楽も緊張感があったし、かと言って重苦しいだけの「お芸術」作品ではなかったし。ここで描かれている戦国時代の荒廃と虚無は、少し前に日本が経験していた戦争の影響も大きかったんだろうなあ。偶然だけど少し前にTVでアフリカの紛争についての報告を見ていたので、ちょっとそれと重なっているように感じました。やっぱし戦争は社会の狂気の産物で、尚且つ個人に狂気をもたらすのだ、と改めて思った。 【ぐるぐる】さん 8点(2004-09-28 18:52:54) (良:2票) |
14.恐ろしい・・・欲望を抱き過ぎて本当に大切なものを見失ってしまう、その単純な人間の心が死ぬ程恐ろしい・・・ 【ボビー】さん 8点(2004-09-21 20:34:48) |
13.この時代の日本映画は音声が聞き取りにくいゆえに、時代劇だったんで全然話の内容を理解できなかった。字幕があったらちょっとは入っていけたと思う。 【夏目】さん 3点(2004-06-11 12:48:47) |
12.不条理な死が連なる戦乱の世。女が死しても欲するのはささやかな条理。日常をつつましく生きる平凡。男が欲するのは条理からの脱出。日常をつややかに生きる野心。幻想幽玄なモノクロームの濃淡が、不条理と条理をきわやかに浮かび上げる秀作。 【彦馬】さん 8点(2004-04-07 18:30:26) (良:1票) |
11.金や出世に取り付かれた男には魔物が取り付いている。一家揃って無事に暮らしてゆく、そんなささやかな幸せが最も大切であり、最も難しいものである。 【亜流派 十五郎】さん 4点(2004-03-04 00:16:02) |
10.前に舞台で見た雨月物語。舞台のは現代版の雨月物語でしたが。 欲・邪・・・その部分を自分がどう捉えるか。 快楽主義ならば、幻想の中から出られない方が幸せとも思える。 自分の望むものがそこにあるのなら、何故それから醒める必要があるのだろうか。 映画の内容とは少し違うかもしれませんが。 戒めと気休め。今の自分はどう生きているのかを考えた作品でした。 【風太郎】さん 7点(2004-01-14 00:06:54) |
9.時代は戦国の世。いうなれば武器を持てる侍のみが、地位と富を手に入れることが出来る狂乱の時代。男なら夢捨てきれず、妻子を捨ててまで出世欲や色欲にとりつかれるというのは分からなくはない。ところが世間はそんなに甘かろうはずはなく、分相応元のさやに収まる …と、なにやら教訓めいた大人の寓話。男なら耳がイタいのでは…。もちろん本作はストーリーよりも、東洋的な神秘性に包まれた溝口健二の世界観を堪能すべき作品でしょう。幻想的で幽玄な映像美、長廻しを多用した鮮麗なカメラワーク、京マチ子の妖艶溢れる演技、和楽器を取り入れた不気味な音楽 …等々。ベネチア映画祭銀獅子賞獲得も大いに納得の名画です。 【光りやまねこ】さん 9点(2004-01-05 11:39:45) (良:1票) |
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8.「日出づる国」の幻想物語。息を呑むその美しさに、映画というものが芸術作品であるということを認識させられる。人の心の影に、欲に、そして小さな望みに「物の怪」は潜む。気付いたときに残るのは虚しさだけ。そしてもちろん、我々の心の中にも・・。 【紅蓮天国】さん 8点(2003-12-29 14:16:35) (良:2票) |
【STYX21】さん 4点(2003-11-19 02:23:38) |
6. 最初にみたのは高校生のころ。夢や希望も多くあったから,立身出世を夢見る主人公たちの気持ちとリンクしながらワクワクしながら見て阿浜や高貴な屋敷の亡霊話にゾッとした,と言う感じで見ていた。時がたち,それなりに家庭を持つようになると,男の理不尽さ,妻や子を放っておいた事,妻だった女性に対しての気持ちなど感じ入るところが多数ある。また40代過ぎてみると違った感じをもつのだろうか。 【蝉丸】さん 8点(2003-11-17 21:41:45) (良:1票) |
5.期待して見たのですが、残念ながら私には面白くありませんでした。映像だけならもっと(もちろん主観ですが、)良いものもあるように思いますし、話に至ってはさっぱりでした。この時代にこの映画が撮られたという事実には感心しますが。 【コーラL】さん 5点(2003-11-16 20:13:49) |
4.溝口健二はフェミニストか。男の欲望に振り回された田中絹代がかわいそうですな。田中絹代、森雅之、京マチ子の役者陣が素晴らしすぎる!最後、田中絹代が亡霊となって登場するシーンは死んだ後ですら男を心配する女の哀れさのようなものを感じ泣けてきました。アー、男は馬鹿だー。 【たましろ】さん 10点(2003-09-26 22:45:17) |
3.京マチ子、田中絹代のふたりが幽玄と現実の対比のようですごかった。フィルムが古いのか画質がわからない部分が多々あって残念だった。 【omut】さん 7点(2003-08-06 01:38:30) (良:1票) |
2.日本的幽玄さと、怪奇物語の東洋的神秘が西洋人にはことさら神秘的に見えたのだろうか、ベネチア映画祭で高い評価を受けた。兄弟二組の夫婦のいずれも妻が哀れな最後をとげ、残された男達は寂しく生きていく・・戦国の世の習いとはいえ、骨となり生き霊となって残る人の心の哀れさ、はかなさ。昔の邦画の悲しさで画質が悪いのが本当に残念!きれいに残っていたらもっと素晴らしかっただろう。 【キリコ】さん 8点(2003-05-17 15:06:57) |
1. ベネチア映画祭・銀獅子賞に輝く溝口健二の傑作。原作は上田秋成の同名小説だが、その中から「蛇性の淫」「浅茅ケ宿」をモチーフに、モーパッサンの「勲章」を組み合わせた脚本は川口松太郎の労作。原作の持つ”幽玄華麗”さが映像としてフィルムに込められており、ここでも宮川一夫のソフトフォーカスを駆使したカメラワークが絶大な効果を上げている。このセンスを今の邦画界に求めるのは余りに酷というものだろう。欲を言えば、「吉備津の釜」も同スタッフで映像化して欲しかった…!! 【へちょちょ】さん 9点(2003-01-16 16:46:44) |