1.もしも当時見ていたら自分も予科練に志願したかもしれない。おそらく当時見た少年達の多くはスクリーンに映える白い軍服を見て、海兵への憧れを増幅させたことだろう。予科練の興味深い日常はもちろんのこと、当時の軍歌、「本物」のゼロ戦や赤城などを使った映像、GHQが特撮だと信じなかったハワイ・マレー沖海戦の映像まで、負け行く戦の最中であったとは思えないほどストーリーから特撮までパーフェクトに出来た戦意高揚プロパガンダ映画。気丈に息子を称える母親や姉達に時代の悲しさが見える。特撮も含めトラトラトラよりよほど面白く、トップガンの原型とすら思える。 ブッシュが悪い、共和党が悪い、ナチスは悪、ユダヤは悪、プロパガンダというものは「悪」を一方的に仕立て上げそれを叩くというスタイルが基本だが、この映画は「鬼畜米英」ではない。天皇のために、同輩のために、相手に勝つために、いかに自分を磨くのかということからスタートしている。プロパガンダもここまで優秀に出来ていると逆に感嘆する。