19.予備知識ゼロで、ほとんど期待することなく見たのですが、これは傑作。第二次大戦直前というややこしい時代背景と、主人公の心の葛藤の絡み具合が見事です。「執事」という、少なくとも自分の人生においてまったく接点のない職業でありながら、その言動や表情にはひたすら共感するばかり。誰でも社会的な立場というものがあり、それゆえに忠誠を尽くしたり、屈辱を味わったり、言いたいことをグッと堪えたりするわけで。それによって何か報われるかといえば、けっしてそうではなく、ままならない思いを抱えたまま人生を終えていくのでしょう。 「老いらくの恋」ですらないささやかな再会が「1日のうちでもっとも美しい夕暮れ時」であり、しかもその後でどしゃ降りの雨に見舞われるという皮肉も滲みます。寅さんよりも健さんよりも「男はつらいよ」でした。しかし全体として暗くならないのは、ときどき繰り出されるユーモアのせいでしょうか。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2019-07-27 23:35:04) |
18.20年ぶりぐらいに再鑑賞、全然内容覚えてないが、良かった記憶があって楽しみ。英国卿家に仕える執事の物語。アンソニーのまるで感情を出さない徹底した仕事ぶりが、人間味がなくて最初は怖い程であるが、同僚執事のエマ・トンプソンが入り、徐々に雪解けして感情が垣間見えるようになる。本を見せて欲しいと言い寄られる場面は、まるで名画を観てるような瞬間でドキドキしました。ラストの別れのシーンは期待したけど。。。なるほど、これもありなのかな。ゆっくりと楽しめる作品。 【SUPISUTA】さん [DVD(字幕)] 9点(2018-12-19 23:01:26) |
17.執事という仕事が、使用人と呼ばれる職種の最高峰として誇りをもつことのできた時代。あらゆる感情を押し殺してその職務を全うしようとするバトラー魂と一人の人間として揺れ動く感情との内面の葛藤を、非常に繊細な抑えた演技で見せたホプキンスはさすが。レクター博士よりよほど深く重く複雑な心理描写が求められるこの役こそ、彼の代表作と言っていいのでは。感情のままに突っ走る若い使用人カップルを見送る2人の心の内を思うと大人でいることの切なさにキュンキュンする。観る方も有る程度大人じゃないと良さを味わえない極上の一作。 【lady wolf】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-05-12 14:25:29) (良:1票) |
16.淡々と描かれているから切なさがひしひしと伝わる。 【HRM36】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2009-10-08 15:07:41) (良:1票) |
15.仕事に対して完璧過ぎるほど熱心な執事と女中頭という立場上、何とも付き合いにくいような感じの関係を実に巧く描かれてました。名作です。 【白い男】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-12-19 12:48:32) |
【成田とうこ】さん [地上波(字幕)] 9点(2007-02-12 01:06:39) |
13.執事という仕事を極めすぎてしまったがために、自分の気持ちを押し殺すのが当たり前になってしまった男。様式にこだわる職場にいつつも普通の感性を持つ女性であり続けようとした女。この二人が心の底では惹かれあうものの、愛の告白をするはずもない執事に対して愛の告白を待つ女。このどうしようもなさがたまらなくいい。どちらの気持ちが強いかと言えば、やはり女の方が強かったように見えるので、この映画は女性である自分の立場に対する「待つ」という固定観念に敗北した哀しい女の物語だと思った。 【ラーション】さん 9点(2004-04-23 00:51:57) (良:1票) |
12.これを見たのは2年位前なのですが、場面の一つ一つが今でも良く思い出される映画です。やはりバス停での別れのシーンは今でも鮮明に思い出せるぐらいです。最近原作を読みました。なめらかな文章でやはり映画には描ききれないほどの内容でした。映画よりさらに淡々としたものです。しかし、そうした淡々とした、感情を押し殺した毎日の中にも彼の心中に一点赤く、彼女のことをいつも強く思い抱いている彼の心情はどちらにもよく表現されている作品です。 【ぱんた】さん 9点(2004-01-11 22:42:09) |
11.大人の恋愛映画ですね。そしてアンソニー・ホプキンスの演技を堪能しました。イギリスの風景も素晴らしい。決して自分の気持ちを口に出さず、職務に徹するストイックなスティーヴンス。こういう自分の仕事に対して誇りを持ち、プロに徹する男性は魅力的です。貴族たちの品がよく、友好的なのはいいけど少々浮世離れした姿も興味深い。こういうところも、当時ヒトラー率いるナチスをヨーロッパでのさばらせてしまった原因のひとつなのかな、と思った。雨の降るバス停で別れるホプキンスとエマ・トンプソンにボロボロ泣きました。この二人の名演がこの作品を支えたのだと思う。 【envy】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2003-11-21 21:49:29) (良:1票) |
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10.映画のたのしみの一つに、自分がまったく知らない世界を、疑似体験出来る、ということがある。この映画はまさにそれ。アイボリー監督独特の、奇をてらうでもなく、衝撃を与えるでもなく、重厚かつ眈々とした作り込みは、小さな住宅すらまともに管理出来ないグウタラな私を、二時間十分の間、イギリス貴族の有能な執事の世界に浸らせてくれるのである。映画という性質上、たしかに原作と比べて、スティーブンスの微妙で繊細な心理描写は描ききれていないが、この音楽と背景と効果音(この映画の効果音はなかなか素晴らしいと思う!)と役者の上手さは、総合芸術として、見て損はない、美しさだと思う。 【ともとも】さん 9点(2003-11-09 11:47:09) (良:2票) |
9.最近、この映画のことをよく考えます。あのラスト。空高く飛び去る鳩と、ホプキンスの見事な対比。同年の「ギルバート・グレイプ」と合わせて考えてみると、非常に興味深い。英国と米国。島国と、大陸。他人に仕えることでしか生きていけない哀しみや喜びを体現する、ホプキンスの名演。深い。個人的に、ヒュー・グラントとのやりとりも気に入ってます。 【トスカーナ】さん 9点(2003-03-19 11:52:44) |
8.作者のカズオ・イシグロと、この作品をしっとりした大人の映画に仕立ててくれたアイヴォリー監督に感謝。アンソニー・ホプキンスは実にいい。 【ブタ子】さん 9点(2003-03-11 13:38:17) |
7.大人が充分に堪能できる綺麗な映画でした。原作、映画とも素晴らしい。英国マナーハウスの厳格さ、執事とは何かという哲学、その矜持を揺らす淡い恋愛感情。アンソニーポプキンズが完璧に演じてます。彼の右に出る性格俳優はいないのでは。 【ヒロポン】さん 9点(2003-02-06 12:41:07) |
6.味わい深いという言葉がよく似合う映画。私情を捨ててとことんプロフェッショナリズムに徹する姿、それでいて汗臭さや野暮ったさを微塵も感じさせない。アンソニー・ホプキンス、いい俳優だよ。(だからこそ「ハンニバル」は止めて欲しかったのだが)「タイタニック」が甘ったるいお子様向けジュースだとすれば、本作は熟成した高級ワイン。 |
5.「海の上のピアニスト」に通じる所がある、というかこれを参考にしたんじゃないのか?徹底的に「私」を捨てて主人に仕えることしか知らない男。父親が死のうと、密かに好意を寄せる女性が泣いていようと、仕事があればそちらが優先。哀しい。だけど格好良い。屋敷の外では生きていけず、屋敷の中で死んでいくであろう男。この映画を観てやっとアンソニー・ホプキンス=ハンニバル・レクターじゃなくなった。 【C-14219】さん 9点(2002-10-23 22:48:20) |
4.執事とは何か。自らを律し最高のものを求め、振り返って大切なものを失ったのではないかと思う。しかしまたもとの場所に戻っていく。きっと後悔はしたと思うが、人生に不満はないのではないか。いい映画です。 【rain】さん 9点(2001-12-24 11:14:47) |
3.大好きな作品のひとつ。エマ・トンプソンもアンソニー・ホプキンスも素晴らしいし,特にホプキンス演じる執事は決して感情を表に出すことのない古いタイプの男で,だけど詩を読んだりする実はロマンチックな男。お互いに好きなことをはっきりと言えないままになってしまい,年月が経って再会を果たすんだけど。あぁ,恋の淡い切ない思い出は日の名残と同じように,太陽を惜しむように少しずつゆっくりと消えてゆくんだね。 【pacini】さん 9点(2001-07-09 14:58:10) |
2.静かな恋だけど、ぐっとくるものがあった。すばらしい作品だ。日本人にはよく理解できるんじゃないかな。 【まき】さん 9点(2001-07-06 22:18:23) |
1.日本人が書いたとは思えないほど素晴らしい原作をなんてすばらしい人が演じてくれたのでしょう。でも、やっばり最後は「日本文学らしいや」と思う結末でしたが。じれったいぐらい何にも言わないアンソニーもまたかっこいい!! 【natchun】さん 9点(2001-05-14 13:17:09) |