【火蛾】さん [映画館(邦画)] 10点(2015-06-07 19:18:55) |
26.わたしは男性の俳優さんが、台詞の無い役でここまで人を泣かせてくれた映画を他にたった1本しか知らないんですけど、この映画で加藤嘉が見せてくれたこの芝居を超えられる人が何人いるか、ああ日本の演劇界って馬鹿にしたものじゃないんだなという気が本当にしました。後半出ずっぱりですがほとんど台詞ないんですよね。74年というとハリウッドは大作ブームで、日本映画はダメだダメだと言われていて、黒澤だけが大作を撮ってたみたいなイメージがありますが、決して天才肌とは言えない野村芳太郎だからこそ、松本清張の言っても言っても言い足りない部分が汲み取れてしまうというのか、このキャストにこのスタッフでなければ出来ない日本人ならではの粘り強い映画になったと思います。泣いて泣いて、加藤嘉という俳優が日本映画に残してくれたものに感謝しましょう。こんな凄い俳優の、こんな凄い演技が見られる映画はたぶん一生のうち何本も無いです。「ショーシャンクの空に」なんかで泣いてる場合ではないと思います。なんかどさくさにまぎれて、森田健作と並べて見て改めて丹波哲郎の凄さもわかりました。そういう意味では、森田健作の起用も無駄ではなかったかも知れません。 【anemone】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-12-28 03:46:52) |
25.いやはや何とも凄い作品です。 時代的にどうしても中居正弘演じた2004年度TV版の和賀英良と比べてしまうのですが 僅か143分の映画という枠の中に収めるには これ以上の構成・脚本と演出・音楽と映像、 そして2度と集める事の出来ない鉄壁の俳優陣という点に於いて 正に日本映画史上に於ける珠玉の一本と言い切っても語弊ではないでしょう。 この映画に於ける3つのキーポイント【東北弁のカメダ】【紙吹雪の女】【宿命の演奏】。 これら点を織り成す全てのシーンが終盤の【宿命の演奏】に於いて 丹波哲郎演じる今西刑事の語りに見事な線となり繋がっていく辺りは圧巻であり 演奏中の和賀の回想シーン(親子のお遍路姿での放浪の旅)が 月並みな言葉ながら見る者の心を惹きつけて止みません。 ラスト吉村刑事が今西刑事に語りかける。 「今西さん、和賀は父親に会いたかったのでしょうね?」 「そんな事は決まっとる!今、彼は父親に会っている。 彼にはもう音楽、音楽の中でしか父親に会えないんだ!」 和賀の迫力ある演奏と映像、そして涙に魅せられながら10点献上。 |
24.点と点が線になり紡がれていく展開の巧みさは「御家芸!本格社会派ミステリ松本清張節」の持ち味じゃん?どうやっても面白くはなるんじゃないのぉ?とか言いつつ斜めに構えて観ていたら、エライ困った。ヤバイ!タダの「火曜サスペンス劇場の延長映画」かと(アホウゆえに!)思ってた!こりゃ遺憾! 演出!ロケ!音楽!トリワケ素晴らしいカメラワークの説得力!アーンド出演陣の見惚れる演技!あれ?丹波哲郎も森田健作も、私、嫌いなのに?ウッカリうっとり!みたいな渋い&アッツい刑事っ振り。業深きピアニストの苦悶を見事に演じた加藤剛、忘れちゃいけない緒形拳、一際凄まじいのは加藤嘉の鬼気迫る怪演! 何でだ?!浜村淳が一から十まで懇切丁寧に、ミッチリ「さて、ミナさん~」と、解説されてしまっている(笑)という呪われた経緯のある本作だったのに、ラストのクダリはシーンからは目が離せん! オーケストラ・捜査会議・回想シーンの絶妙な編集、っつーかコンテ。完璧(にしては長い!という声もあるかと思うが、割愛!)というか(ヒューマニズム!)感動というか、(ミステリファン的にも!)快感というか、もぉ、駄目~涙腺もゆるむし、達成感はモッサリ山盛りだし。完全にのめり込んでしまいました。 ラストのコンサートの終焉を待つ刑事二人~終幕にかけての爽快感も、(本作の長さもあってか)ヒトシオ。ビバ邦画!正しく邦画の至宝だと(今更に)思う。 とりあえず最近TVシリーズに某アイドル主演で焼き直された、らしいが、ソレを見る前に、本作は観ておいてほしいよねぇ。多分、TVドラマ如き等には比べ物にもならないだろう。ついでに本作主演の「霊界の通信塔」に、お願いして原作の松本清張の怒りの雷でも落としてもらうってのは、どうだろう?丹波さん。 【aksweet】さん [DVD(邦画)] 10点(2005-02-02 05:37:02) |
23.DVDにて鑑賞。原作は未読。個人的に日本映画の中ではトップクラスに位置する作品です。緒方拳・加藤嘉の演技が素晴らしく印象に残ります。この作品を観て、初めて『丹波哲郎はいい役者なんだ』と思わせられました。音楽は素晴らしいの一言。テレビドラマ版は映画のイメージが崩れる(腹が立つ)こと必至と思い、観ることができません。 【いわぞー】さん 10点(2004-07-18 19:01:52) |
22.ドラマ化されると聞いて、ビデオで改めて見ました。封切りで、見たときはショックを受けました。特に音楽がすばらしいです。最近、街で見かけることがなくなった映画のたて看が特に印象に残っています。 【ジブラルタの星】さん 10点(2004-01-30 00:10:25) |
21.今まで色々な映画で感動しましたが、この映画を見ると他の映画が薄っぺらいものに思えてしまいます。重厚で深い映画です。交響曲「宿命」は一生忘れません。 【アーリー】さん 10点(2004-01-15 23:03:12) |
20.たぶん最高の日本映画だと思います。特に幼少時代の主人公の回想の場面では泣きまくってしまいました。たしか、初めて泣いた日本映画です。そして、あの音楽。はじめは誰かの有名な曲だと思っていたけど、まさかオリジナルとは・・・将来、音楽の教科書に載ってもよいできだと思います。そして、丹波さんと健作さんの最後の台詞は今でも心に焼き付いています。来年、中居さん出演でドラマ化されるみたいなので、今からとても楽しみです。 【あつお】さん 10点(2003-12-31 11:21:27) |
19.美しいピアノの演奏と回想のシーンが入り混じったシーンが、実に良かったです。この映画を色んな人に見て欲しいなと思いました。ちなみに原作の本より映画の方がゴチャゴチャしてなくて良いです。 【ゆりあっち】さん 10点(2003-12-12 14:57:34) |
18.もう、パブロフの犬です。むか~し彼女にみせたことがありますが、人が涙をこらえている横で寝ていました。別れました。 【PIAZZA!!】さん 10点(2003-12-06 01:03:33) (笑:3票) |
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17.主人公の殺人は、どう考えても勝手な理屈なのに、そこに至ってしまったことを納得させるストーリー。原作の力もあるが、役者たちの演技・迫力ある映像が、共に完成度が高いのだと思う。ほとんどの人が上げている親が子を知らないと言う悲壮な場面もそうだが、親子二人のひたすら歩く姿や、主人公のピアノを弾く姿に込められた野望と孤独も、私には胸が痛かった。善意でしたことが仇になってしまうこと、差別と偏見があってしまうこと。決して大袈裟な演出ではないが、素晴らしいと思う。ラストシーンが秀逸。 |
16.いわゆる「原作もの」だが 脚本がシンプルに洗練されていて よい出来だと思った やはり映画の基礎である脚本に徹頭徹尾こだわるべきだ 日本映画の復興のためにも若い映像作家はこのような映画をもっと研究し見習って欲しい 【ねぎ坊主】さん 10点(2003-06-23 10:33:43) |
15.出だしから物語に引き込まれ、そのまま最後まで観ることができました。特に、「宿命」の調べに乗せて繰り広げられる親子の放浪の場面からは目が釘付け状態でした。加藤嘉のすがるような目と「そんな人、知らねぇ!」のシーンには絶句です・・・。脚本や他の配役もさることながら、ここまで衝撃を受けたのは加藤嘉の演技によるところも大きいかもしれません。 【こまち】さん 10点(2003-05-06 18:44:32) |
14.ネタバレ:子供は親を選べない、という科白に尽きます。原作よりだいぶ簡潔にしてあるようですが、十分よくできています。ただ血のついたハンカチをちぎって車窓から捨てたりしますかネ。偶然の積み重ねで事件が解決するのはあまり好きではありません。勿論映画が悪い訳ではありません。 |
13.邦画としては何十年たった今でも屈指の名作。貧しい親子の放浪の旅を美しい日本の四季とバックの音楽で見せるところ、ハンセン氏病の父が子供のことを「知らない!」と叫ぶところは涙なしには見られない。加藤嘉、一世一代の名演技を見せた。美しい風景をとらえたカメラ、親子の絆をテーマにした脚本、盛り上がる音楽、そしてこの加藤嘉に感動させられた。 【キリコ】さん 10点(2003-03-28 20:49:26) |
12.映像と音楽と演出に感動しっぱなしです。が、ここでみなさんのレビューを読んだら考え方が変わりました。殺人の動機が「差別」だと思い込んでたんです、、、今ごろ判りました「宿命」の意味。きっと私は殺される側だなぁ。 【のーまん】さん 10点(2003-03-15 03:50:17) |
【セクシー】さん 10点(2003-02-09 04:56:46) |
10.作曲家が逮捕されるラスト、親子の過酷な過去がよみがえり、音楽が感動を呼んだ。本当にすばらしい映画。 【四次元大介】さん 10点(2002-12-29 11:03:17) |
9.素晴らしいの一言につきます。原作を読んでからここのレビューを見て、ビデオを借りて来ました。原作を超えてますね。親子二人の旅シーンでは本当にぼろ泣きでした。どんな状態であれ、少年にとって父との生活は何にも変えがたいものだったのでしょう。しかし、駐在所から家出したときの少年の涙は、「よくしてくれたのに申し訳ない」という気持ちからだったようにも思えます。怨恨殺人というよりは、病気に対する間違った社会通念を根底にした「どうしようもない犯罪」のような気がしました。 【いかみみ】さん 10点(2002-11-30 10:11:45) |
8.この映画には「悲しい」、「泣けた」というコメントが多いですが、私は一滴の涙もこぼれませんでした。代わりにこみ上げてきたのは主人公の元巡査に対する「激しい怒り」に対する「激しい共感」でした。それは私の特殊な生い立ちのせいでしょう。この映画で思い出したのは私自身の幼少時、貧困と暴力の家を夜中にそっと抜け出して母と二人で海に向かって歌を歌った思い出でした。周囲が辛いほど親子の絆は固く、何にも変えがたいものです。巡査が「善意」で行った事は当時の時点で病気に対する社会通念と子供の将来を考慮した場合、この親子以外の人々が客観的(=傍観者的)に合意する「良識」であり、「最善の判断」だったのかもしれません。しかしこの親子にはこの親子にしかわからない、この親子だけのかけがえのない世界(絆)があるのです。この親子にとってそれこそが全て(特に世間の人々の「良識」)にはるかに超越する「宿命的な」価値なのです。この映画は「善意」の人の「良識」がいかに残酷にかけがえの無い親子の絆を切り裂くかということを暴いた映画でした。テーマである「宿命」はハンセン病そのものではなく、むしろ苦境にある親子の絆の「宿命的強さ」を当時の「良識」がそれを残酷に切り裂く様を描くことで却って浮かび上がらせたものだと思います。最後に元巡査が「会ってやってくれ」といいますが、安易にその言葉を口にすることに激しい怒りを感じます。歳月が取り戻せますか?父といた時の自分に戻れますか?切り離された時点で全ての家族、人間に対する信頼を失ってしまったのですから。この主人公の場合、音楽だけが父と共にいた子供の自分に戻る唯一の手段だったのでしょう。私と主人公が違うのはただ、「私なら殺さないでしょう」、「二度と元巡査には会わないでしょう」そして「最後に一度だけ(変わってしまった自分を隠しつつ)無言のまま父親を抱擁しよう」と思うであろうことだけです。 【もこたりん】さん 10点(2002-05-10 01:59:37) (良:5票) |