13.子供たちの歌声と、瀬戸内海の美しい戦前日本の景色をバックに紡がれる物語は、誰もが決して忘れてはならない、この国のひとつの「時代」そのものである。これは、全国民が観るべき映画だと思っている。 【Yuki2Invy】さん [DVD(邦画)] 10点(2019-11-17 00:19:51) |
12.古臭い映画、という印象はどうしても拭えません。たびたび流れる唱歌が、余計にそう感じさせます。今の小学生には、ほとんど馴染みのない曲ばかりなのではないでしょうか。教科書的な印象も受け、それらを欠点として、5点以下の低評価を下している人が少なからずいるのもうなずけます。それでも、この映画は紛れもなく名作だと思います。例え古臭く、教科書的な内容であってもです。この映画が描く頃の日本は、今とは比較にならないほど厳しい時代でした。小学生の修学旅行に、自分で稼いだ金を出して行くなんて、今の子供たちに想像できるでしょうか。若い時に見てピンと来なくても、ある程度年齢を重ねてこの映画を見れば、今の時代の素晴らしさが必ず分かると思います。尺は2時間半と長めですが、山場(泣き所)が全体に散りばめられていたのも好印象です。単に他人に見て欲しいというレベルを超えて、後世に残すべき映画だと強く確信したことから、10点とさせていただくことにしました。 【川本知佳】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-03-15 21:14:27) (良:2票) |
11.○映画による日本童謡・唱歌集。 ○日本人に共通する記憶があるとしたら、それは童謡と唱歌にしか残っていない。その歌詞とメロディは、自然の美しさ、人間の優しさを謳いあげるが、死への憧憬(コノ美シイ景色ノ中デ死ニタイ)という一面も持っている。この映画では、出征兵士を見送る場面の軍歌4曲以外は、切ない切ない童謡・唱歌が連綿と流れ続ける。木下(弟)の恐るべき演出である。 ○私がこの映画をはじめて観たのは化石時代、小学生のときだ。炭住(炭鉱住宅)の講堂に、アッパッパの女たちと子どもたちが座布団持参で集まった(鉱夫たちはアクション映画しか観ないので敬遠)。大石先生の分教場勤務時代まで、女たちはアハハハとアケスケに笑っていたが、それから後はラストまで嗚咽の大合唱。中にはヒイヒイ声を出して泣く女もいた。「深く泣ける人でなければ本当の笑いを笑うことができない」とは五木寛之の言葉だ。泣いて泣いて大泣きして、それでスッキリするのである。 ○後年、名画座で再鑑賞したとき、やはり、観客を泣かせることを目的として作った映画だと確信した。いわゆるお涙頂戴映画である。しかし、お涙頂戴イコール低級とは限らない。低級にさせない2つの凄みがこの映画にはある。1つは高峰秀子の恐るべき演技。もう1つは木下(兄)の恐るべき演出である。 ○私の邦画オールタイムベスト10の1本。 【火蛾】さん [映画館(邦画)] 10点(2014-08-16 16:08:01) (良:3票) |
10.すばらしい小説がすばらしい脚本と演出によって、すばらしい映画に生まれ変わった。「二十四の瞳」は日本の映画史に永遠に残る名作だろうと思う。 名誉の戦死が尊ばれていた時代に、死なないでと言うことが非国民だアカだと言われていた時代、一人の女教師と12人の教え子たちの心のつながりを暖かく静かに描いた映画だ。数々の名場面が心に残る。 小説を初めて読んだ時の感動と映画を初めて見たときの感動がまったく同じものだった。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 10点(2012-06-27 22:55:42) (良:2票) |
9.映画の中盤以降、主人公である大石先生はことある毎に泣いている。最後には、子供たちからも「泣きみそ先生」とあだ名される始末だ。でも、大石先生の流すその涙にこそ、昭和という歴史への、つまりは「戦争」というものへの“異議申し立て”があることを、この映画の作り手たちはまちがいなく自覚的である。それはただ悲しいからでも、つらいからでもない、「くやしい」からこそ流された涙だ。時代に翻弄され、押し流されながらなすすべもない時、人はそういう状況に追い込んだものたちに怒り、しかしそ気持ちの持って行き場がないから、泣く。そこには単なる「被害者意識」ではなく、もっと烈しい告発の意志がある。だからこそそれは、時代を超えて見る者の心を揺さぶり続けるのだと思う。 ・・・以上、ずっと以前に録画してあったビデオで、先日久しぶりに再見した感想。昔は単なる感傷と、いかにも日本人的な諦観にいろどられたもの、という印象を抱いていたのだけれど、今回見てコロリと考えがかわりました。やっぱり映画は、何回も見直すべきだなという反省と自戒をこめて、ここに記す次第です。木下恵介監督、ゴメンナサイ。 そして素晴らしい映画をありがとうございます。 【やましんの巻】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2009-02-03 20:06:26) (良:1票) |
8.同時代の海外の名作とも肩を張れる、日本を代表する作品だと感じました。 特に教師は見ておいて損はないと思います。 【貧弱室伏】さん [レーザーディスク(字幕)] 10点(2008-07-28 21:25:56) |
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7.あの集合写真が映る度にとても切なくなりました。確かに映像は古いかもしれません、音声も聞き取りづらいと思います、典型的なお涙頂戴作品かもしれません、ただそんな事が霞んで見えるほどの作品の完成度です。中盤から終盤にかけては物語がとても悲しくなります・・・。ですがその運命を受け入れていきながら強く生きていく大石先生やその教え子達のがんばりに見ているこっちが支えられていきます。 【一番星☆桃太郎】さん [DVD(邦画)] 10点(2006-06-30 22:41:23) (良:1票) |
6.以前勤めていた会社に小豆島出身のとんでもない性悪な女性がいて、以来小豆島と聞くだけで反射的な嫌悪感に捉われていた私を見事に解放してくれたのがこの映画。“1リットルの涙”はこの作品にこそ捧げたい。大石先生が初めて教壇で名前を呼び上げた時の子どもたち一人ひとりのクローズアップ、射抜くようなまっすぐで純な瞳が後々の画面を最後まで射抜いているようで、記念写真の子どもたちを一人ずつカメラが移動していくその瞳と重なり、タイトルに相応しい映画へと昇華しています。盲目となってしまうも、心の瞳で記念写真が見える。二十四の瞳はいつまでも大石先生の、そして子どもたちの人生に輝き続けているんですね~。また演じる役者が変わっても、本当にその子が成長したかのようなキャスティングにも驚かされます。日本シリーズのロッテに合わせたわけではありませんが、ど~んと10点。 【彦馬】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2005-10-26 13:06:03) (良:2票) |
5.笠智衆のおとこ先生が、夜中に奥さんと必死でオルガン練習してた「しーししーふ、みーみみー、いいいのいー」っていう唄がやけに耳に残ってます。(実は七つの子より好き)あれってなんていう曲なのかなあ・・・。唱歌の挿入が多すぎて、ちょっと感傷過多という些細な点以外文句のつけようがない素晴らしい映画。僕の中での美人の基準は、原節子でも吉永小百合でも、ましてや鈴木京香でもなく、三十年来この大石先生、高峰秀子さんって決まってます。 【放浪紳士チャーリー】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-06-04 16:27:27) (良:1票) |
4.タイトルロールに流れる「仰げば尊し」を筆頭に、「故郷」「七つの子」「浜辺の歌」などなど数多くの唱歌が作品全体を包み込み、これが抜群の効果を収める。音楽担当は監督木下恵介の実弟に当たる木下忠司。この人、兄恵介と毎回息がピッタリだが今作ではそれを極めている。場面、場面に流れる馴染みの唱歌を彩りのあるメロディーで微妙にアレンジしており、この作品にかける意気込みが充分過ぎるほど伝わってくる。また、小豆島の美しい風景と島民の生活模様が楠田浩之のカメラに余すところなく収まっており、これもまた監督と息がピッタリ。忍び寄る軍国主義に召集令状、貧苦に喘ぐ島民の生活、敗戦という新たな時代への出発…切々と暦をめくるように綴っており木下調の演出が冴えに冴え渡る。戦時の戦意高揚作「陸軍」の製作がよほど悔しかったのか、今作では平和へのメッセージがビシビシと伝わってくる。そして言うまでもなく、主人公の大石先生を演じた高峰秀子が文句なしに素晴らしい。純朴な子供たちに向ける優しい眼差しに、情感のこもった台詞回し。洋服の似合う新人の先生から人生の辛酸を体験し尽くした初老の先生までごく自然体で演じており、女性教師として一人の母親としての弱さと強さ、哀しさと美しさを見事表現しきっている。情感に訴える見事な反戦映画としてはクレマン作「禁じられた遊び」と双璧をなしており、日本映画史上、燦然と輝く名画。文句なしに10点満点。 【光りやまねこ】さん 10点(2004-11-01 17:57:37) (良:2票) |
3.人口少ない海辺の村、まるで自分の小学校時代(すでにこの母校は過疎で消滅、当時も同級生の瞳の数は24より少なかったですけどね)。この映画をはじめて見たのはたしか小学校の授業かなんかでビデオ見せられたとき。そのときは戦争って嫌だなあ程度の感想。中学に入って原作読んだら本を読んで泣いた初めての経験を味わう。風景がほとんど実体験のように目に浮かぶし(時代が違うけどね)、滅茶苦茶思い入れが深い作品となる。そして、テレビで再び映画を見てこれまた感動。使用される歌がいいなぁ。後年、再びこの映画を見たのは長距離バスのビデオで。すごいぞ○○バス!と思っていたら、上映終わってビデオデッキに差し込まれた次の作品は「マネキン2」・・。自分の中では原作は世界一の反戦小説(反戦小説なんてろくに読んでないけど)であり、この映画も文句なし10点。/(追加)ちょっと前にデジタルリマスター版を映画館に観に行きましたし、DVDも買っちゃいました。正直、ちんたら間延びした感じはするんですけど、監督が意図してるか否かはともかく、それも一つの表現じゃないでしょうか?。この映画がテンポ良かったり、理知的だったらヘンです。この作品に対するあらゆる偽悪もシニカルな批評も生半可な内容では太刀打ちできないでしょう。これはそんなほとんど危ういほどの自然さを持った映画です。私のレビューと正反対です。 【しったか偽善者】さん [映画館(邦画)] 10点(2003-12-03 23:08:49) |
2.物語冒頭はモガ丸出しの先進的教師だった女教師が、ラストでは貧乏臭い和服に身を包んで、一台の自転車に涙する……。時の流れを描かせたら天下一品の木下恵介監督の真骨頂。この人の映画はいつでも「どこにでもありそうな人生」を丹念に描いてくれて好感が持てる。 【柿木坂 護】さん 10点(2003-10-02 02:36:09) (良:1票) |
1.リメイクもあるけど高峰秀子の大石先生が一番!木下監督作品でも一番好きな作品。小学校でのエピソード、教え子たちの戦争とその後の話などいつ見ても一番泣ける映画です。小さな学校での教師と教え子たちとの暖かいお話は、実は戦争場面のない反戦映画でもあります。 【キリコ】さん 10点(2003-04-05 00:11:07) |