1.コロンバイン高校の銃乱射事件は、「フィクションを超えた現実」だった。この映画がこの形で観客の前に現れたことが、私はすごく嬉しい。「ボーリング・フォー・コロンバイン」のような、べっとりとプロパガンダが塗りたくられた映画はもううんざりだったからだ。「エレファント」は静かに、しかし激しく私たちに問いかける。この迫力に説明はいらない。 説明のない衝撃は、気持ちの矛先をどこに向ければいいか困らせるだろう。しかしそれこそが、この映画の唯一のメッセージ。私たちは答えに導かれることに慣れてしまっていて、「エレファント」の前ではただオロオロするばかりだ。