5.精悍なヴァル・キルマーはヤバイくらいにかっこいいし(本作でラジー賞にノミネートとかウソでしょ?)、エキセントリックなハンター役のマイケル・ダグラスもハマっています。アフリカの大自然や橋梁建設場面のスペクタクルを捉えるヴィルモス・ジグモンドによる撮影、ジェリー・ゴールドスミスによる音楽も素晴らしく、この映画なかなか弾は揃っています。しかし、監督の無能によってこれらすべてが台無しに。この企画には並外れた演出力が必要であり、スティーブン・ホプキンスのような凡庸な監督には荷が重すぎました。見せ場における緊張感のなさは異常であり、作品のハイライトであるハントシーンよりも、つなぎのドラマパートの方が面白いというあんまりな状態となっています。技術的な制約によりタイトルロールである「ゴースト」と「ダークネス」の全身像をほとんど写せなかったというハンデは確かにあったのですが、写せないことを逆手にとって動物を動物以上のモンスターとして見せた「ジョーズ」という先例があるのですから、演出にはもっと頑張って欲しいところでした。