1.「悪魔のいけにえ」が予想外にヒットしたことで一躍注目を浴びたトビー・フーパーがハリウッドで骨抜きにされた、と極めて評判の悪い本作。確かにハリウッド資本が投下されただけあって配役はB(C?)級ホラーにしては破格に豪華。主役の殺人鬼に万年悪役アクターのネビル・ブランド、他にもメル・ファーラー、スチュアート・ホイットマン、キャロリン・ジョーンズらが出演。ヒロインは前作に続きマリリン・バーンズなのに加え、脇役に後のフレディ・クルーガーことロバート・イングランドまで出ているのだからマニア垂涎の作品となっていても不思議ではなかったハズ。が、そうは問屋が卸さなかったのは何故か?考えられるのはロケではなくスタジオ撮影という閉塞感だ。また、殺人鬼がモーテル経営という点でモロ「サイコ」パクリっぽい点も見逃せない。しかし、最大の原因は矢張り殺人鬼ブランドに”凄み”が不足していたコトだろう。いやいや確かに彼は特殊メイク無しのすっぴんでも充分凄みのある悪役ヅラではある。しかし、表情があり過ぎるのだ。そう、前作レザーフェイスが異様な迄の迫力を備えていたのは断じてチェーンソーが目新しかったから、とかだけではなく、正に”レザーフェイス”そのものが有する無表情(デッドパン)ぶりにあったのである。如何にもな強面で嚇す怖さよりも、何を考えているのか全く読めない不気味さの方が遥かに想像力を刺激し恐怖もより深くなる。フーパーが前作を制作した時点でそこまで読んでいたのかどうか知らないが、本作を見比べることで前作が意外にホラーとしてはオーソドックスかつ想像力を喚起するパワーに満ちた作品であったコトを再認識させられた。「悪魔のいけにえ」の再評価も含め色々と示唆に富む本作には3点。ハリウッド資本で有名俳優を起用すりゃイイってもんじゃないジャンルもある訳なんだな、コレが。