2. 実話に基づく再現ドラマで、機長サリーの人間性を描くのが主眼。感動の実話に、ミニ「十二人の怒れる男」的な逆転劇という付加価値をつけた社会派映画だったね。
公開当時、新聞広告で機長に対する世間の風当たりが英雄視から180°変わったかのように宣伝していた。気になって当時の新聞広告を再読してみると、「9.24実話」「隠された真実」として、「厳しく糾弾され追い詰められ」「非難され一瞬にして犯罪者に仕立て上げられ」等の文字が躍っている。事故時の機長の判断が適切だったのかがポイントだが、そもそも事故後にNTSBの厳しい追及があったのか?実際にはそのようなことはなかったとのこと。
実話を描く場合、本質的な部分以外で虚実綯い交ぜはざらにあることであり何とも思わないが、本作ではドラマを盛り上げるため核心の部分が誇張されており素直に評価できない。事故の再発防止・安全のための徹底追及はあって当然であるし、機長判断の正しさと両立させるならば、むしろ実名など使わず実話をモチーフにしたフィクションドラマとした方が良かった。
戦争映画などで「史実と違う」という声をよく聞くが、この作品の「事実と違う」部分に、そういう声はないのかな?