1.“女の警察”を小林旭が演じています。でも女の警察って、一体何でしょう。なんとなく、敵から女性を守る正義の味方、みたいなものを想像してしまうのですが(多少はそういう役割も果たしているようですが)、基本的にはむしろ真逆。キャバレー経営会社の保安部長として、夜の街の女性たちを見張り、支配する、どっちかというと女性を食い物にする側の人間です。それを我らがアキラが、クールに演じる。この女性への容赦なさは、さしずめ現代版・眠狂四郎、ってなところか。でも狂四郎を演じると雷蔵は何だかミョーなことになってしまっていたけれど、さすがはアキラ、どんな役でもアキラ色に染めてしまう。無色透明に近い色だけど・・・。
しかしまあ、この1969年の作品、ロマンポルノ前夜という雰囲気が漂っていて、日活もだいぶヤキが回ったけど、まだフンギリがついていない、ってな感じでしょうか。明らかに「ここからはそのテのシーンです」と言わんばかりに、唐突に濡れ場に突入したりして、エロそうな雰囲気が休息に立ち込める。でもそれが雰囲気先行で、観てる側が恥ずかしくなる割に、実際には大したコトやってるでもなし。でもソッチ方面に期待せずに見れば、ちょっとしたご褒美があるかも???
それはいいとしても、このクールでダークな主人公をせっかく小林旭が演じているのだから、もう少しアクションを見せて欲しいところ。多少の乱闘はあれど、全体的にアクション少なめで、これは寂しい。
まるで売れっ子の作家が締め切りに追われて無理やり短編ミステリを書き飛ばしたようなストーリー、見せ場も少なく、しかし考えようによっては、「迷走している映画会社」でなければなかなか作れないタイプの作品、とは言えるかも知れませんが。