13.マシニストって「機械工」って意味でしたか。「機械工」である事が、ストーリーとどれだけリンクしてるのか。してないじゃないか。
そもそも一年間も不眠なのにそれを解決しようとしていない時点で、ああこの男は何か問題から逃げてるな、と観る側にわかってしまう。それがネック。
そんだけ寝てなきゃ、そりゃー仕事もミスするし、頭おかしくなるし、幻覚も見るよな。なのに主役、意外と元気。仕事はもちろん、なじみの娼婦とする事はしてるし、暇があれば掃除してるし。いくら無意識に封じ込めた問題から目を逸らすためとはいえ、現実には体力が続かないって。
それと、痩せた体を見せびらかしてましたが、あんだけ痩せたら普通は恥ずかしくて隠すのでは?恐ろしいほど痩せた肢体が売りなのはわかるのですが、「見せびらかしてる」とこちらが感じるという事は、不自然な撮り方なのだと思う。あまりよろしくない。
それでも、悪くない映画でした。ヒットを狙わず、誠実に作り上げた作品という感じ。
私は、遊園地で少年と入った地獄行きの乗り物のシーンが一番怖かったです。抑圧した罪の意識があんな世界を見せるのなら、現実を直視した方がマシでしょう。主役の激痩せは、地獄へ堕ちた証明なのか…。
鑑賞後の後味は、ずっと前に「ジェイコブス・ラダー」を観た時と同じ。苦い、やるせない、けれど何故か少しの救われた感がある。
ロスが舞台の映画をスペインで苦労して撮ったらしいのですが、なぜそんな苦労を選んだのかだけが、唯一の謎でした(笑)