1.生まれ変わったオッサン武蔵。ストーリー的には成長物語にはなっているようだが、三船敏郎が貫禄ありすぎて既に完成されてしまっているので修行中に見えない。一本調子の演技の問題か。そして又八がまさかのキャスト変更。驚いたのが研ぎ師本阿弥光悦との親交。これは史実のようで、全く知らなかった。後年発揮される芸術的才能はこの辺で開花したのだろうか。吉岡一門はチンピラ以下のお笑い扱いになっており、これもどうなのかと。一乗寺の決斗も錦之助バージョンに比べると迫力なく、武蔵の葛藤も伝わってこない。三船敏郎は荒々しい反面、大味で雑な所があるので、繊細な心理を演じるのは不向きなのか。鶴田小次郎は高倉小次郎よりはイメージに近いかな。