3.序盤のウォーターフォールと終盤のスカイフォール。
幾度も己自身を見つめさせることになる鏡面あるいは水面と、
様々にメタ的な着想を凝らして内面描写というトレンドに倣っている。
公聴会での暗殺阻止からそのままクライマックスのアクションに
なだれ込めばいくらでもテンションを上げられたところを、
内省やら回帰やらの要素を持ち込んで新味を出さねば気が済まないところが
シリーズものの枷というところか。
例によって、本作の「小悪党」も卑小な内面ばかりを語りたがり、
犯罪の動機付けに汲々とする。ゆえに悪役に恐さがない。
高層階のネオンライトを背景とした
シルエット同士の格闘などは実にスタイリッシュであったり、
籠城戦前の夕暮れから夜の闇へと推移する緊迫の描写も良かったり、
日本版予告編で使われたショットの数々も個々にはケレンがあって
様になっているのだが、いずれもが単発止まりである。
一連のアクションの繋がりとして見ると平板で
うねりを欠いてしまうのが勿体ない。
いわゆる人間ドラマに比重が掛った結果だろう。