5.チャン・イーモウ監督が若い頃からファンだった高倉健を主演に迎えて手がけたロードムービー。イーモウ監督は「あの子を探して」でも演技未経験の素人を俳優として起用し、名作に仕上げていたが、この映画でも中国の部分に登場する俳優は健さん以外はオール素人で、やはり素人ならではの素朴な演技がいい味出しているし、健さんも実に自然に溶け込んでいて、きっと撮影以外でもこんな雰囲気だったんだろうなあと感じられ、映画自体もとても心温まるもので、イーモウ監督の持ち味がじゅうぶん発揮されている映画だと思う。中国に到着したばかりの健さんが言葉が通じない異国で孤独感に苛まれるシーンなどは思わず感情移入してしまった。しかし、そんな健さんが中国の田舎で携帯電話やデジカメを使っているのを見ると、なにかそこだけ浮いて見えるし、中国到着後も息子(中井貴一)の妻(寺島しのぶ)と携帯電話で話をするシーンが多く、画面に寺島しのぶが登場するととたんに違和感を感じてしまうのは残念。日本のシーンはイーモウ監督の希望で降旗康男監督以下日本人スタッフによるもので、外国映画特有の日本描写ではないので安心感があるが、中国に舞台が移ってからの日本のシーンも浮いて見え、物語に対する観客の集中力をそいでいるのではないか。とくに、ラスト近くで電話越しに手紙を読むくだりなどは感動を狙っているのだろうけど、やりすぎかな。はっきり言ってもっと日本のシーンは短くても良かったような気がする。最初に書いたようにとても心温まる映画ではある。けれど、やはり健さんが中国に行ってからはその後の日本のシーンが邪魔に思えて全体的に見ると正直そこまで入り込めなかったなあ。あと、通訳を介してのやりとりのシーンで、これから通訳が訳す中国人キャストのセリフに日本語字幕がつくシーンがいくつかあるが、少々くどい気がする。 【イニシャルK】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-09-15 19:45:37) |
4.余命幾許も無い息子の意思を引き継ぎ、その願いを叶えるべく、単身異国に地を踏む父親の姿を通して、子に対する親の深い情愛と絆を描いた、いかにも張藝謀らしい心温まる感動のヒューマンドラマである。中国の伝統舞台のひとつ「単騎、千里を走る。」をそのまま題材にした本作は、そのほとんどが現地でスカウトされた出演者たちによるドキュメンタリーな肌触りと、純朴で嘘が無いと感じさせる張監督独自の語り口による演出法によって、まさしく「良心作」と呼ぶに相応しい映画だと言え、決して悪くは言ってはいけない類の作品である。とは言うものの、いかにも作為的で不満に感じたシーンがないではない。高倉健と子供との別れのシーンなどがそれで、素朴な疑問として、たった一昼夜共にしただけで、果たして子供と心を通わせられるのかという部分に対しては、余り説得力が感じられない。子供の純真さを過剰に強調することで、返って話が嘘っぽくなってしまい、如何にも“ここで感動させてやろう”とする製作者側の意図を感じてしまうのだ。張藝謀の“押し付けがましさ”という悪い面がモロに出たようだ。全体的にソツなく纏まりが良い反面、ただただ真面目主義を画に書いたようで、面白味に欠けるのと、とても今どきの映画と思えない古臭さを感じてしまうのは、不遜というものだろうか。高倉健の初の中国主演映画として早くから話題となっていた割には、興行的にも話題性に於いても、大きくなってこなかったのも、宜なる哉。 【ドラえもん】さん [映画館(字幕)] 6点(2007-02-18 18:15:37) |
【ケンジ】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-01-12 20:33:54) |
2.チャン・イーモウさんは自分の映画には必ずといっていいほど素人さんを起用するらしいですけど、この作品は出てくる人がほとんど素人さんで占めているらしく、リアリティを追求した結果なんでしょう、それがうまくいってると思います。ガイドの人も、ヤンヤンも素人さんということですけど、本当に適役ですね。父と息子の普遍的テーマに、健さんの涙と雄大にそびえ立つ山々、人々のやさしいおもてなしそしてヤンヤンの笑顔をトッピングすれば、ほんのりあったかい映画が出来上がりました。ただ、息子の嫁はんが、いかにも台詞が台詞的という感じでちょっと違和感ありましたね。 【あろえりーな】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-09-10 22:53:54) |
1.高倉健の大ファンであるというチャン・イーモウ監督が彼を主演に迎えて撮った、正に健さんのための作品。ファンだけあって、さすがはよく健さん映画を研究し尽くしてて、よく健さんの良さを引き出しているなと思いました。ストーリーは実にシンプルかつストレートなものだが、やっぱりチャン・イーモウはアクション時代劇よりも、こういう人情味溢れるドラマの方がいいですね。一人で中国に渡り、言葉も通じずほとほと困り果てる健さんの図というのも新鮮で面白い。もっと困っても良かったのに、健さんが携帯やデジカメをバリバリに使いこなして困難を乗り切っていくというのには驚きました(笑) それと、ピンチになったら必ず助けてくれる通訳のお姉さんがとてもかわいかったですね。さすがはチャン監督、ヒロイン(?)選びにも抜かりはないのねぇ^^ 【ヴレア】さん [映画館(字幕)] 6点(2006-02-10 22:29:27) |