9.本作のベースにあるのは脱獄モノなのですが、脱獄後に味わう自由や爽快感といったものはほぼありません。
脱獄モノとしては脱獄する囚人に感情移入できるところが無く、最終盤まで追手(本作では所長)との接近戦も無い。
パニックものとしての緊張感も物足りなく、(特に頻繁に挿入される管制センターのやりとり)
掴みどころがない部分もあるのですが、極寒の中、極限状態の人間模様を見せる映画としてはなかなか面白かった。
ラストのシェイクスピア作品の一節「どんな野獣にも憐みの心がある・・・」
これはジョン・ヴォイト演じる男のことを言っているのか。
この一節と、脱獄の相棒と途中から加わった女の命を助け、自らは生きようとしないラストが印象的。