3.南アフリカという異色の舞台で、貧民街や土管暮らしなど、
貧しさを描いたストーリーを扱ってはいるものの、
映画を形作っている技巧はきわめて現代的なもので、
そこには南アフリカならではを感じさせる、素朴さ、天然さ、土着感、
意外性に富んだディテール、などのようなものがいまひとつ感じられず、
その点ではかなり期待外れな映画だった。
現地人の手によらない、英国人のフィルターを通した世界を見せられているような気分になった。
これでは場所と人種が変わっただけで、訴えたいものもなく技巧に走るばかりの、
いくらでもあるような人工くさいハリウッドドラマと大差ないのではないか。