1.平成版秋日和。親子も似せてある。不愉快な人物を登場させず、淡々とゴールインまでを描いていくんだけど、なんなんだろう、このうつろな感じ。『家族ゲーム』ではそこに焦点が当たっていたんだけど、もしかすると監督の作品で感じるうつろさは、意識的なものじゃなくて体質的なものだったのかも。現代のそういううつろさ・手応えのなさを、そのまま反映できるってのも才能の一種ではあろうが。都会の白いオフィスや原色の家具だけでなく、ラストの緑の野にもうつろさがある。南美江のおばあさんが弱かった。あれが重しになれたのかもしれない。おかしかったのは夫を送り出すときに異様に躁状態になる入江若葉。階段を一段ずつ上がりながらの会話。あるいは鍋を囲んでの会話。うまく合わない楽しさ。テーブルの配置も不思議。あとは、競技場での顔合わせのときのせりふの入れ方。