1.映画は暗闇の中に響く機械音で始まる。
視界の制限された舞台で、人物達がオフからの音を聞きつけることを契機に
場の状況が変化していくシーンが多い。
彼らは塀の奥から聞こえてくる音響に恐怖し、
発信音のテンポの変化を頼りに脱出口を探す。
ここでは音響が映画のサスペンスを高める要素となるわけだから、
その演出にはもっとデリカシーが欲しい。
前半に少なくとも二箇所、SEに余計なBGMを重ねて
却って音のサスペンスを損ねているところがある。
画面的には、開閉装置の映画であるから迷路のシーンにはそれだけで
ある程度の奥行きと立体性は保証されるだろう。
もっとアクションの見せ方には工夫が欲しいが。