8.まずやはり目を引くのがタイトル。
僕は「3マイナス4掛ける10月」だと思っていた。
鑑賞後もタイトルの意味だけがさっぱり分からず調べてみたところ、そんなに深い意味は無いのね(笑)
単なる野球のスコアで少しストーリーに引っ掛けてあるぐらい。
北野監督2作目となる本作は、前作のソリッドさからは大きく離れ、後の北野作品の土台となる出来となっている。
死、枯れた笑い、皮肉、沖縄・・・
など「ソナチネ」にかなり通じるものがあるが、個人的には本作の方が好み。
しかしなんなのだろう この初期北野映画の妙な中毒性は。
作品自体の映画としての完成度は一般的に見れば低い部類だろう。
しかしそれ故の「満たされない」独特の雰囲気が、上手く言葉に出来ない感情を僕らに抱かせ、
もう一度観たくなってしまう。
支離滅裂な展開で初めは戸惑いを覚えずにはいられないが、オチで収束される。
この手のオチは個人的にはあまり好きでないやり方なのだが、本作に関してはこの落としかたがベストに思える。
興行収入に恵まれなかったのはむしろ当然と思ってしまう掴み所の無い本作だが、
この感覚を他の映画で味わえるかというと・・。
好き嫌いハッキリ分かれると思う。
好きな人はきっと僕と同じように中毒になってしまっているはず。
前作のファンのことなんか全く考えていないようなぶっ飛び方。
でも色調はやっぱり北野映画。う~ん凄い。