3.タイムスリップもの、母親がいない本当の理由、この2点を軸としてキッチリしっかり造り込んでいった感じ。演出、見せ方みたいな部分も、オリジナリティは感じないけど、良いお手本通りでケチをつける点が見当たらない。脚本は共同のようですが、原作、監督と劇団ひとりの才能は認めざるを得ないところではないでしょうか。また、彼のこれまでの経験から想像される「良い映画」を作るために、細部まで相当な執念をつぎ込んだのではないかと想像します。
そして、その彼が主役に抜擢した大泉洋も十二分に期待に応えていたのではないかと思います。
良い映画であることは間違いないと思うのですが、あえて言うと、綺麗で無難な方向に整えすぎている感じもします。でも初監督としてのアプローチの仕方としては、間違っていない、むしろ正しいし、完成度としても観る側の予想を確実に超えているのではないかと思います。
彼に次回作への意欲があるようなら、同じようなエネルギーと執念をつぎ込みつつ、彼らしいメッセージみたいなものが伝わってくる作品を期待したいと思います。