1.まだ20代半ばだった木村拓哉が織田信長を演じたスペシャルドラマの記憶がうっすら残っている。あれから四半世紀の時が流れキムタクも晩年の信長がよく似合うおじさまになった。尾張のうつけから第六天魔王へ… その過程で信長自身も深く傷ついていく。そんな魔王最大の支持者として登場する明智光秀。比叡山焼き討ちにおける積極姿勢も近年よく採用されるようになった。その光秀が起こす天正10年の大事件。自分が今まで観てきたどの「本能寺の変」とも異なる動機で、一つの解釈としてなるほど面白かった。信長と並ぶもう一人の主人公濃姫は資料が少ないため高い自由度をもって描かれているが、マシーンのように人を殺しまくったり賛否は分かれるかもしれない。ただし綾瀬はるかの美しさは目の保養である。東映70周年記念の大作として宣伝されているが、実際のところ合戦シーンはかなり控えめ。そこに期待していた分、ガッカリ感もあるにはあるが、信長帰蝶のラブストーリーを重視したと考えれば許容の範囲内か。168分を長いと感じさせなかったことからも悪い出来ではないと思う。なかなか楽しかった。