1.アパートに住む主人公、部屋の中で次第に膨らむ妄想、薄気味悪いアパートの住人・・・。
ポランスキー自身の監督作「反撥」「ローズマリーの赤ちゃん」と共通する部分を多く感じるサイコサスペンス。
とあるアパートに転居してきた1人の男。自分の前の住人の女性は自殺している。
実は彼女はこのアパートの隣人達に自殺に追い詰められたか、あるいは彼らに殺されてしまったのではないのか・・・?
そして隣人達は自分のことも自殺に追い込むか殺そうとしているのではないのか・・・?
そんな妄想が彼の中で芽生え膨らんでいく様を、少しずつ小出しにじっくりと彼を苦しめ、追い詰めていくかのごとく描いていく。
1つ1つは些細なことを丁寧に積み上げていき、次第に彼の心を狂わせていく様に次第に目が離せなくなっていきます。
この主人公の男を演じるのはポランスキー自身。
久々に俳優ポランスキーを見ましたが、やはり見る者を引き付ける演技を見せてくれます。
このポランスキー演じる男はポーランド系フランス人であり、これはまさにポランスキー自身と重なります。
これは少年時代から隣人の目や迫害から身を隠し緊張を強いられて生きてきた、彼の生い立ちなどと無関係では無いのでしょう。