1.幼い姉弟が、見たこともない父親に執着してどんな苦境にもめげず躍起になって外国まで探しに行くなんて発想、それ自体いかにも映画的でヤラしいし、この旅を通じて姉弟が成長したとも思えない。レイプされたり、カラダ売ろうとしたり、ホモの旅役者で失恋を味わったりせんでも姉はいずれ恋をするやろうし、弟だっていずれ動物の死に対面するし、アルバイトもするやろ。旅役者が、時代背景を象徴するとともにストーリー進行においても必要不可欠なキャラクターであったことは確かだが、取って付けたようなエピソードの羅列にはうんざりしてしまう。・・・・・・けど、けど、映像表現はとにかく素晴らしい。もう、めちゃめちゃ素晴らしい。ロングショットの美しさは勿論のこと、白と黒のあまりに見事な対比によって、吸い込まれるような、家の無機質なテレビが無機質でなくなるような映像を見せてくれる。人差し指の欠けた手の彫刻がヘリで運ばれる画は印象度も絶大で、暗喩としても充分なものであった。 これでもっと人間考察の深みがあれば・・・と思うと残念でならない。希望と言う光を持ち続ければ・・・ってのも気休めとしか思えんのよな。