2.この映画の公開当時、映画館で大震災を目の当たりにした小学生は、部屋の家具が凶器になるということを初めて教えられました。この映画のトラウマがあって、去年の震災前から家具は倒れないようにしており、残念ながら去年の震災でこの教えが正しかったと実感しました。
この映画の描写のいくつかは、その後の震災で現実となってしまった事は決してバカに出来ないことです。
この映画では荒唐無稽とも思える学者の発言があります。
「日本中の道路を倍の広さにしろ」「燃えない車を作る」
あの日、東京で大渋滞を目の当たりにし、この大渋滞の中で火災が起こっていたら東京はどうなっていたか。自分には、全くの正論だと思えます。マスコミはこの点を強調しませんが、帰宅困難以前に、あの震災で東京の火災が微細にすんだことは全くの幸運だったのです。
特撮の完成度や昼メロ的なドラマでこの映画の評価は低く見られがちですが、防災の警鐘としては真理を語っており、子供の頃から自分の心に残って教訓になっているという意味でこの映画に感謝しています。
この映画の公開当時、「高速道路が崩れるわけがない」と言った政治家と学者は阪神・淡路大震災で大恥をかいたと思いますし、特撮で迫力があると思っていたコンビナートの爆発も、フィクションではなく、あの震災で残念ながらありうることが証明されてしまいました。
この映画はいわゆる興味本位のパニック映画ではなく、防災映画だと思います。
マンション火災も地下鉄水害も、橋の落下や、堤防の決壊も フィクションとして誇張されてはいますが、きちんと公開当時にありうるという根拠に沿った表現です。
この映画の先見性を評価することは、不幸なことではあるが、この映画の存在を否定されるような風潮は最もあってはいけないことだと思います。 テレビではこういう映画やドラマはあの震災後は不謹慎で放映も製作もできないという事情はあるかもしれませんが、レンタル店でDVDも見れなくなっているのはどういうわけかと思います。それほどこの映画は迫真性があることの裏返しで封印されてしまったのだと思います。
この映画のバカな科学者のように繰り返し言いたい。防災のために一度は見ておけと。東京に住んでいて切に思います。全ての道路を倍の広さにしろと。