2.爆笑モノでは決してなく、むしろ、最後のほうにかけては泣けて泣けて仕方がなかった。笑いの作り手の心意気をストレートに見せた脚本に感じ入ってしまった。チャップリンを意識したかのような直球勝負の脚本であり科白である。役所演じる検閲官の向坂が、今までの自分の真面目一方の人生では全く知らなかった世界を知り、そこにどうしようもない魅力を感じていく。なんか既視感がある映像だと思っていたら 「Shall we ダンス?」 に思い当たった。なかなかニクイ配役であった。劇場前での帽子をかぶった役所と、取調室の中での三つ揃いでキマッている役所は、とても同一人物に思えない。その変わりっぷりもなかなか面白かった。稲垣の最後まで様にならない最敬礼のカタチもかえっておかしさを誘ったのではないかと思う。