1.10分ちょっとの短篇映画が18本集まってできたオムニバス映画。
合計上映時間なんと206分!
邦画の短篇映画が好物の私にとって、これはまたとないご馳走となった。
どれも個性的な作品ばかりでかなりの満足。
その中でも特に気に入った作品をピックアップしてみよう。
まずは18篇中、一番良かった作品を選出してみる。
それは、 緒方明監督の『その山を崩せ』だ。
青山真治監督作品の常連俳優である斉藤陽一郎がメインキャストの傑作。
斉藤陽一郎という俳優は、今まであまり好きでなかった。
いや、正確には苦手な俳優だった。
だけど、本作でその印象は180度回転した。
個性が強いが、それがうまくハマれば好きになれる。
そんな俳優だ。
そして本作の監督である緒方明。
恥ずかしながら、今回初めて知った監督だ。
顔はいかつい監督だけど、繊細で幸せになれる素晴らしい映画を作る人だなぁ。
この機会に同監督の長編作品も観てみようかな。
さて、その次に良かった作品が、村松正浩監督の『橘くんのバカ。』と長澤雅彦監督の『birthday girl』。
両方とも映像が素晴らしい!
とっても綺麗なのだ。
『橘くんのバカ。』の方は、主演女優をとにかく美しく撮っていた。
しかし、脚を執拗に撮っているのは、監督の個人的好みによるものだろうか?
そして『birthday girl』も負けず劣らず映像が綺麗で、18作品のトップを飾った作品。
ストーリー自体も面白かったし、東京を美しく映像化しているところも良かった。
他の短篇と比べて、「映像の美しさ」という点で、頭一つ出たレベルの作品を披露してくれたこの二人の監督。
これまたこれらの監督の長編が観たくなった。
さて18作品中3作品を上に挙げてみた。
良かった作品を追加するなら、矢崎仁司監督の『大安吉日』かな。
矢崎監督は『ストロベリーショートケイクス』を観たけど、かなり素晴らしかった。
今回の短篇も、さすが矢崎監督といった卒のない出来栄え。
安心して楽しむことができた。
18作品の全てについてレビューを書くはわけにはいかないので、ここまで。
つまらないなぁ、と感じたのは二つか三つほどで、ほぼ全部良かった。
意外とレベルの高いオムニバス邦画なので、“自分だけのお気に入り監督”を見つけたい貪欲な映画好きの方に、是非オススメしたい作品である。