8.映画製作当時、アメリカは世界大戦への参戦の是非を巡る論議が沸騰してはいましたが、まだ参戦はしていませんでした。ナチスによる空襲を受けるロンドンの様子が対岸の火事(と言っては製作者に失礼でしょうが)か、でなければ今のSFもののタッチで描かれていたのが印象的でした。「だから戦争なんかやめようよ。」という厭戦気分いっぱいの内容は敗戦後の日本人の気持ちに通じるものです。ルーズベルト大統領が阻止しようと思ったらいくらでも阻止できたはずの日本軍の真珠湾攻撃をわざと見逃すことによってでしか参戦の世論を獲得できなかったのも、この作品に濃厚に描かれているような戦争のもたらす悲劇を想定し、回避したいと思っていたアメリカ人が大勢いたからですし、また、言論の自由が保障されていたアメリカで反戦の主張や心情を肯定するこの映画のような芸術作品を作ることが自由にできたからなのです。ロイの死の知らせという悲劇は悲劇として、なぜヴィヴィアン・リーが演じるマイラは戦争が終わった時点で頭を切り替えなかったのかと思うのですが、日本と同様にイギリスでも本当の戦禍は復員兵が戻ってきてからだったのでしょうか。作品の中ではっきりとは描かれてはいませんが、復員兵が乗った列車を出迎えたマイラが意図していたこと、そして欧米では化粧室以外の場所で鏡を見たり化粧を直すのはどんな女性かなどということを考えれば、監督が画面には出さなかったマイラの生活のどろどろした実態を容易に推測することができます。 【かわまり】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-09-13 06:43:18) |
7.なんつーかもうヴィヴィアン・リーが可愛すぎというか華麗すぎというか。悲劇的な話でも彼女の眼力はすごかった。彼女のラストショットの顔と眼力ときたらもう・・、、無理です、悲しくて耐えれません。全編にわたって美しい風景とロバート・テイラーのカッコよさ、これもたまらん。モノクロ映画らしさがすんごい伝わってきて久しぶりに映画の素晴らしさを実感したように思えます。まさに「哀愁」という邦題がハマった映画でした。 |
6.ロマンティックなラブストーリーでありますが、戦時下における一般市民の暮らしぶりも、少しですが、伺うことが出来ます。悲恋の代名詞のような映画でした。V・リーを見たのは「風と…」よりもこちらが先でした。きれいで、うまい女優だと思いました。 【shoukan】さん [地上波(吹替)] 8点(2007-03-25 19:04:08) |
5.これは泣ける。あまりにも悲しすぎる。蛍の光がやばい。この映画を見た後に卒業式を迎えていたら絶対号泣してました。ビビアンリーは風と共に去りぬよりこっちのほうが好きですね。まぁビビアンリーの演技がどうこうではなく役柄の好き嫌いですけど。この映画見た後にパールハーバー見たらあの映画の尻軽女が憎たらしく思えるかも。 【ジャザガダ~ン】さん [インターネット(字幕)] 8点(2005-12-09 23:49:52) |
4.昔の映画って、やはりセットや照明などの技術面がしっかりしているから、例えばこんなくだらない・安っぽい・ご都合主義的なストーリーでも一応「名作」っぽく見せてしまうんですなあ。確かにヴィヴィアン・リーは美しいけど、彼女が出ていなきゃ、とっくに風と共に忘れ去ってしまわれていたでしょうね。この映画を翻案したとおぼしい溝口健二の映画もあったけど何だっけ? あれも溝口にしちゃ正直ヒドイ出来だったなあ… 《追記》うわあぁああっ! 何だこのヒドイ文章は!! 自分で書いたなんて、未だしんじられましぇ~ん(泣)。たぶんあれだな、カミさんとケンカしたか、仕事でトラブッたか、ひそかに好意を寄せていたコが結婚しちゃったか…いずれにしろ、“八つ当たり”以外の何物でもありません。もう、見てから20年近くたってるはずだけど、その時は特に前半のヴィヴィアン・リーの完璧な美しさにア然ボー膳としていたっけ。それだけでも、高評価に値するでありましょう。もうひとつ、溝口の『夜の女たち』も今見直せば、きっと自分の不明を恥じ入って、自殺したくなるに違いない…。削除も考えましたが、点数だけ変更しておのれのスットコドッコイさ加減をさらしておくことにします。この映画を正当に評価されておられる皆さん、本当に申し訳ありませんでしたっ! 【やましんの巻】さん 8点(2003-10-07 11:14:07) |
3.ビビアン・リーはほんとうにため息ものの美しさ。ロバート・ティラーは甘いマスクのハンサムだし。キャンドルライトのシーンは音楽効果(別れのワルツ)もあってとっても切なくロマンティック。すれ違いのメロドラマでクサイ話と思いつつこれだけ役者・背景・お話などがそろうと素直にボロ泣きです。 【キリコ】さん 8点(2003-02-06 14:19:34) |
2.「風と共に去りぬ」とともに数少ないビビアン・リーの出演作ですね。60年前のロンドンのクラシックな雰囲気がたまりません。それにビビアンの美しさがぴったりとフィットしている感じで,わたしにとってはわりとお気に入りの作品です。↓【☆】さんのおっしゃるように,私も原題に忠実な訳が良かったと思います。蛇足ですが,Waterloo Bridge駅は,今もテームズ川の右岸にあります。偶然私が見たときは,周辺の雰囲気は勿論当時と様変わりをしていましたが,やはり独特の感慨がありました。 【koshi】さん 8点(2001-12-29 21:03:47) |
1.ヴィヴィアン・リーが落ちぶれて行く中で、ロバート・テイラーが呑気だと良く聞きますが、そこは映画、「プリティ・ウーマン」のように行かないところが昔の映画だなって思う。これがヴィヴィアン・リーだから良い映画に仕上がってるし、病気がちのため代表作が少ないと言うことが、尚更本作についても貴重に思えてくる・・・で、ずっと気になってたんだけど、ビビアン・リーって右の眉だけ釣り上がってたんだね。 【イマジン】さん 8点(2001-03-06 13:01:20) |