1.邦題が『悪魔の墓場』なんていうベタなタイトルで、ちょっと「恐怖の味噌汁」とか「悪の十字架」とかに通じるものがありますが(悪魔の人形。あ、クマの人形。ってのもありましたね)。だいたい、悪魔の“墓場”ってんだから、すでに悪魔が退治された後のような。それはともかく、ロメロのあの名作(タイトル略。笑)をパクッて、青い顔のゾンビに人間を襲わせて食べさせてみました、ってな趣向の作品ですが。ロメロ作品の、ただただゾンビが人間を襲うという身も蓋もない感じ(だからこそ画期的なんだけれど)と比べれば、本作はそこにオカルト色を加えていて(ゾンビが変な儀式してたりするし)、いかにも「恐怖映画らしい映画」というか、まあ折衷的な作品になっております。要するに日和ってるんじゃないか、と言われそうですが、そういう中途半端なところがまた面白かったりするわけです(ロメロならこういうのは作らない、作れない)。しかもそこに「害虫駆除の超音波が、死人の蘇る原因なのだ」みたいな無意味な合理性を持ち込んでみようとする、思い切りの悪さ。つまり、オカルト映画とパニック映画を両方やってみました、という訳ですね。スバラシイ。主演の男優のヒゲ面がまた、私にとってはいかにも“これぞ70年代映画のヒーロー”ってな感じで(ごく一部の映画のような気がするけど)、ものすごーくカッチョよい。不自然なほど警察と対立するのも良いし、とりあえず「立て篭もり」をやってみせてくれるのもサービス満点。ただ終わりの方は、何もそこまでロメロ作品(タイトル略)を踏襲せんでもいいでしょうに、とは思いますけど・・・。亜流作品だ、こういうのこそ映画の墓場みたいな作品だ、という批判も当然あるでしょうが(まあ当然ですよね)、わたしゃ結構好きです。