9.昭和14年に作られた約一時間程度の時代劇オペレッタです。ストーリーは簡単な恋愛もので、最初から最後まで、チャンバラシーン以外は全編がほぼ歌です。 軽くて緩い楽しい映画でした。ディック・ミネの陽性のキャラクターが作品の雰囲気とよく合ってます。和楽器でジャズっぽい演奏をするなど遊び心があり、発想が自由で、開放的な印象を受けました。 歌も古臭くありません。どう表現すればいいのか分かりませんが、当時の流行歌よりも、明るさとテンポの良さをワンランクアップさせた感じというか。心地よく耳に入ってきました。 日本にもこんな映画があったんですね。完成度がかなり高いと思いました。背伸びして海外ミュージカルを真似ている感じでは無くて、そこも良かったと思います。 【wayfarer】さん [DVD(邦画)] 8点(2020-06-14 02:41:13) |
8.とかく浮世はままならぬ、日傘さす人、作る人。って、なんのこっちゃですけれども、片や日傘をさしたおとみさん、片や日傘を作るお春さん、千恵蔵演じる浪人を巡って、確かに何かとままならぬ訳です。しかし、作った傘を干しているとそこに通り雨、傘が濡れては大変と、これをキッカケに男女がうまく引き寄せられたりもする。はたまた、お春さんが父親の骨董道楽を嘆いている場面、千恵蔵が「そのうち掘り出しモノでもするかもよ」と言うのに対してお春さんは「そういう夢みたいなこと大っ嫌い」と言い放つんですけど、これがラストの伏線になってる。なってるけど、でもこのラストは、衝撃的です(笑)。いやホント、みんな笑ってていいのか~と思うんですけど、いいいんでしょう、きっと。もはや一種の躁状態。時代劇ミュージカルなんていうハチャメチャな作品ですから、オチもハチャメチャでいいんです。で、音楽はというと、一曲一曲は他愛ないものですが、会話の中に歌がピタッとはまってくるのが気持ちよく、とにかく楽しさ満点です。中でも、ディック・ミネのあまりに気持ちよさそうな歌いっぷりが、何やら悟りに近いものすら感じられて(笑)。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-29 22:47:17) |
7.何が一番驚いたかって、それぞれの歌が、場面や心情の表現にきちんとなっていること(曲調や歌詞も含めて)。そして、役者陣が、きちんと「歌いながら演技をしている」こと。つまり、ミュージカル映画としてはすでに完成しているのだ。それにしても、戦前からこれほどの作品を作っておいて、どうしてその後の日本にはミュージカル映画が存在しないのだろう? 【Olias】さん [映画館(邦画)] 8点(2015-08-30 21:43:19) (良:1票) |
6.これはもうアイデアの勝利ですね。歌や演技が上手・下手なんてどうでも良くなるようなパワーがありました。意外とストーリーも良かったです。 【川本知佳】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-06-08 07:35:17) |
5.花のように明るくて楽しくてかわいい。志ん朝の落語のような話だ。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-02-16 00:03:53) (良:1票) |
4.邦画発のミュージカル映画。しかも時代劇オペレッタ。 もちろん海外同ジャンル作品のハイセンスさとは比べようもないけど、"粋な" ミュージカル映画なんて、生まれて初めて観た。 曲数は異様に多く、片岡千恵蔵や市川春代はもちろん、志村喬までがんばって歌ってます。 愉快、痛快、何も言うことはなし。理屈抜きに楽しむ娯楽映画。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-10-08 12:04:08) |
3.ミュージカル映画観てると、ときに思わぬ人が歌ってるのに出会うことがある。最近では『ヘアスプレー』でのクリストファー・ウォーケンか。かつて『ロシュフォールの恋人たち』では、ミシェル・ピコリが歌ってるのを目撃した。でもやっぱり一番驚いたのは、これの志村喬、片岡千恵蔵の連発だなあ。しかも時代が時代だし。なんかここらへんの映画の軽薄な陽気さって、好き。こういう「軽薄の力」が、中国大陸で無茶やってんのと同時進行で生きていたんだ。日本が、この片岡千恵蔵まで歌わせる軽薄さの側にしがみついて、眼を吊り上げるような馬鹿真面目を排除し、心を入れ替え地道に軽薄し続けていたら、日本現代史はあんな陰惨なものにならなかったんじゃないか。別に「時代の不安」の裏返しのヒステリックな笑いじゃないの。ただただ健康な陽気さが満ちている。伴奏が入ってくるあたりのムズムズ感がたまらない。こういう映画が作られていたことをアメリカが知ったらどう思うだろう、とふと考えたものだが、その後、日系人収容所描いた『愛と哀しみの旅路』というすごい邦題のハリウッド映画の中で、デニス・クエイドがこれ観てディック・ミネを真似て歌い踊るシーンを目にした。アメリカに勝ったと思った。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-05-03 12:04:35) (良:1票) |
2.ああこの幸せな感覚。こんな映画が戦時中に作られていたなんて。 ものみな歌で終わる。千恵蔵も歌う。志村喬も歌う。志村喬の歌なんて、『生きる』のあの暗い歌しか知らない自分には何とも新鮮だったよ。 【いのうえ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-07-11 22:41:29) (良:2票) |
1.念願叶いようやくスクリーン大画面で観る事が出来ました、世評高い「鴛鴦歌合戦」!この作品の愉しさは既に皆さんに言い尽くされているようなので、さらに自分ごときが言葉を重ねる必要もないんですが、「時代劇オペレッタ」という生まれて初めて観るジャンルの映画で楽しかったです。70年近く前のモノクロ映画にもかかわらず、昨日の東京京橋フィルムセンターは上映前老若男女長蛇の列、ほぼ満席の会場で昔の日本映画が大好きな方たちに囲まれ、これ以上ないと思われる環境で映画を観る事が出来たのは幸せでした。当時の暗い世相を考えたら、突然変異的に生まれた娯楽作品には違いないと思います。でも閉塞的な時代だったからこそ、意図したしないにかかわらず、この映画の作者たちの裏の思惑が自分にはなんとなく伝わってきましたね。国家権力への自己犠牲が当たり前と思われていた時期にもかかわらず、ヒロインお春さん(市川春代)の一見ノーテンキ、実は複雑なこのキャラクター設定はどうでしょう?骨董掘り出し物収集家の父(志村喬)の為、五十両のカタに陽気なバカ殿(ディック・ミネ←いちおう権力)の側女に無理やり召されかけるシーンが後半にあります。私はここでてっきり「おとっつぁんのためならしょうがない、私が殿様のお妾に上がるしかないわね・・・」と決意し、父親とのメソメソした愁嘆場が始まるかと思ってました。ところが彼女は終始甘ったれた声で「いやよ、いやよ、絶対や~よ!」とあくまで「拒絶」という自己主張を貫き、最終的な獲物である若きヒーロー千恵蔵氏の腕の中に飛び込んでいくのである。権力に対する個人意思の見事な勝利ではないか!(←そこまで考えてないっつーのw)いやはや私は参りました、この愛嬌たっぷりのお春さんには諸手を上げて降参です。伊達に「チェ♪」と音に出して発音するだけの事はある。ちびまるこちゃんもびっくり。怒涛のごとく大円団へと流れ込む音楽の処理もお見事!二回目を観たらもっと点数上がるかもしれません。 【放浪紳士チャーリー】さん [映画館(邦画)] 8点(2007-01-24 16:31:59) (良:4票) |