《改行表示》27.なるほど、『晩春』のセルフパロディのような映画です。私はこっちから先に観てしまいました。 主役の父娘を母娘に変えていますが、娘の結婚の呼び水として親の結婚を絡めるという部分も、いつも二人で暮らしているのに、旅行先が本音を語り合う場になっているのも共通しています。 親の性別以外で大きく違うのは、前作から11年経っていること。戦後から15年も経っていることでしょうか。晩春との比較が多くなってしまいますがご容赦を~。 この15年で日本は大きく発展しました。朝鮮特需と高度経済成長。また若者の結婚に対する考え方も変わったと言えるでしょう。『晩春』の紀子が叔母の紹介でお見合いする相手(熊五郎だっけ?)が一切登場しないのに対し、本作の後藤は、最初こそ間宮の紹介だったけど、結果的には恋愛結婚をしています。心の拠り所だった父自らが、娘を結婚という未知の世界に飛び込ませ、幸せになることを何度も強調していた『晩春』と違い、本作は恋愛の延長としての結婚を描いていて、自然と幸せになれる雰囲気を感じさせます。母親の存在が“自分だけ幸せになる心残り”として描かれているように感じました。幸せを掴み取る時代から、幸せのカタチをを選ぶ時代になった。といったところでしょうか。 本作は母娘以上にオヤジトリオが目立ちます。これがまた、素直に楽しめる方は良いんですが、あの時代だから許された、今の時代にはそぐわない過去の遺物にも思えます。娘の友達にお茶を運んできた周吉の家庭っぽさに対し、外食にゴルフに酒場にと遊び盛りのオヤジたち。家に帰れば服をポンポン脱ぎ捨て、それを妻が拾って片す。このシーンを入れておいて、伊香保の旅館で秋子が「結婚して幸せになるのよ」なんて何度も強調されたら、それこそ茶番です。オヤジトリオも秋子も、古い価値観の結婚像しか描けないんでしょう。 更に、母娘以上に活躍するのが百合子です。友人思いで家族思い。頼まれてもいないのに、単身オヤジトリオを打ち負かす様子はまさに痛快です。 最もオヤジたちも、この映画の悪として描かれている訳ではないので、百合子の破天荒さを温かく見守っている存在。そんな雰囲気も感じられました。 【K&K】さん [DVD(邦画)] 7点(2024-12-26 23:58:15) |
26.端正で全く人工的なこの映画を観ていたらいつの間にか入り込んでいたのには自分でもビックリ。そして岡田茉莉子演じる百合子にかなり共感していた。寿司屋の娘という粋な設定、サバサバしているけど思いやりに溢れた温かい心の持ち主。江戸っ子ってこういう感じを言うのかな?小津の映画はいつもの世界、いつものテーマだけど少しづつ違う。本作だとこの百合子かな。 【amicky】さん [インターネット(邦画)] 8点(2022-12-11 16:13:31) |
《改行表示》25.映画は見た時の状況で感想が大きく変わるなあと思いました。 小津の映画を何本も見直して、以前はまあまあだなと思って5点をつけた「小早川家の秋」が前に見た時より面白く感じ、最初に見た時に違和感を感じた中村鴈治郎が良かった(森繁はだめでしたが)ので、こちらも再見。 最初に見た時印象に残らなかった場面が面白く感じました。 小津らしさは少し影を潜めていますが、「そうよ」「そうでしょ」「そうよそうよ」そんな同じ会話の繰り返しが出てきて、やっぱり小津だ。小津のこういうところが好きなんだと改めて思いました。 原節子はいつみても、それほど美人だとは思えません。目も鼻も大きすぎるし全体に男っぽい。なのに、毎回素敵だなあと思ってしまいます。小津映画独特の、ちょっと見方を変えればホラーにでもなりそうな微笑みながらのセリフのせいなのかなと思ってしまいます。 【omut】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-11-02 16:08:01) |
24.晩春と本作、配役もそうだけど、展開からコトバの言い回しまでそっくりですね。私は小津作品は序盤はどれもつまらないのですが、終盤の核心となるシーンが必ず用意されていて、それを観て、あーこの作品も良かったといつも思わされるんですが、本作もそれに漏れることなく。母の原節子、娘の司葉子の嫁入り前の最後の夜は笠智衆と原節子に似てましたが、これもまた良かったです。あとはおじさん3人衆は相変わらずの冗談と愚痴とお節介で話題に事欠かないですよね(笑) 【SUPISUTA】さん [DVD(邦画)] 7点(2018-05-28 23:42:53) |
23.親子に見えない原&司、コミカルなセリフだけどぎごちない会話、原節子と佐分利信の感じ悪い微笑み、違和感を感じつつも結構癒されます。岡田茉莉子がいい感じです。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-01-22 23:57:03) |
22.「世の中なんてキレイなものじゃない!」男女の恋愛だの、結婚なんてのはドロドロしたものでありかつ面倒なものでもあり、決してキレイなものじゃありません。幸せになれるとも限りません。という、生涯独身監督の揶揄や諦観も感じられるのだが、3人オヤジのパロディー色が強くなってしまい、肝心の母娘関係の描き方が中途半端になってしまったような。 |
21.岩下志麻、ちょい役でしたが、ダントツで一番可愛かったです。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-03-13 15:46:09) |
《改行表示》20.相変わらずキャラ描写やセリフ回しが面白い小津作品。 美しい未亡人と一人娘との親子の絆を描いた本作は、「晩春」にそっくりで、 父と娘が母と娘に、おせっかいな叔母さんがオジさん三人に変わっただけ。 キャスティングは「晩春」より充実しているけど、ストーリー展開がここまで同じだと、 どう評価したらいいのか難しい。もちろん作品自体の出来は悪くないので、 「晩春」未見の人なら十分楽しめると思うが、個人的にはあまりいい印象は受けない作品だった。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 5点(2012-01-18 08:42:58) |
19.これもまあ、映画の歴史において再三現れる「三人の○○」モノの一本、ですね。三人の天使というか、東方の三博士というか、いや実際は脂ぎった三人のオヤジなんですけども(仮にこの三人の名前を、チョビヒゲ、メガネ、オールバックとしよう)、この三オヤジの超おせっかい(今の目で見たらセクハラ指数満点)のオハナシ。亡き友人の未亡人とその娘、どっちもイイねえジュルジュル、なんてことを言いつつ、結婚こそが人生の幸せにキマっとるとばかり、娘を何とか結婚させようと奔走する。しかし娘の方は例によって「ワタシ結婚しないわ」と母の原節子を困らせる、このゴネっぷりはかつての原節子の姿、因果は巡るとでも言いますか。映画の基調はユーモラスな雰囲気で、三人のオヤジの調子良さとか、誤解から生じるドタバタとか、コメディらしく楽しめるのですが、それらの顛末の中で、娘の友人などもからんできて物語を重層的に広げ(何度か登場する屋上のシーンが印象に残ります)、さすが、ドラマとしても充実しています。そもそも、結婚こそが幸せ、という価値観に裏打ちされている一方で、メガネこと中村伸郎が(必要以上に)服を脱ぎ散らかしそれを奥さんが片付ける理不尽な「家庭」シーンを入れるあたり、一筋縄では行かず、なかなか皮肉。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2011-04-01 03:46:34) |
《改行表示》18.小津安二郎の中期から晩期にかけてのワンパターン化したストーリー展開は正直飽きがくるものの、小津ならではの様式美と色使い、そしてシーンとシーンの合間に挿入される音楽は、軽妙でいて完成度が高い。 小津が長い間かけて自らの様式美を完成させ、それはあまりの完成度の高さに見惚れるほどだが、むしろストーリーにかけてはワンパターンという欠点が同時に存在する。 小津が好きな人なら、小津様式美としてどんどん進化して深くなっていく後年の作品群にのめりこむことだろうが、親子の離別を主軸に描いた後期小津の作品群は、私のような者には、少々飽きがきてしまうのだ。 原節子は限界。 もはや美しくはない。 いや正確に言うと、小津作品の原節子には、かなり前の頃から、その作り笑いに私は違和感を感じていた。 小津の原節子に対するラブコールとは裏腹に、小津と原節子との相性はそんなに良くはない気がする。 この頃の司葉子は、まさに美しさという点において絶頂期である。 若さと大人の気品を兼ね備え、この作品に花を添えている。 オヤジ三人衆の洒脱さは、本作でも健在。 オヤジたちのやり取りの面白さ、背景にあるオヤジたちの豊富な人生経験を垣間見れる深さなんかは、さすが小津である。 このようなオヤジ達の面白いやりとりを撮らせたら、小津安二郎は間違いなく最強である。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-08-01 02:12:46) |
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17.昔は人の結婚にここまでお節介だったのかと呆れて見てました。おっさん3人とも立派なセクハラです。司葉子も岡田茉莉子も輝いてるね。特に岡田が当時の現代っ子を演じていて、おっさん3人に抗議するシーンは気持ちよかったです。司葉子に惚れてしまいました。 【marsplay】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-06-26 17:05:30) |
《改行表示》16.原節子好きじゃないんです。 なのに、すごい感動しちゃった。母娘のそれぞれの想いが優しくて。それにしても、あの男3人組はなんなんだ(苦笑)自分らのせいで母娘がけんかしたというのに、どーんと腰を据えた態度、素敵すぎる(笑)ユーモアたっぷりで、日本の古き良き風景に出会えました。たくさん笑わせてもらいました。そしてピリリとからく、ほろりと泣けました。ありがとう、小津さん。 【kaneko】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-02-08 17:19:10) |
《改行表示》15.単純に笑える。日本人らしい笑い。 岡田茉莉子が素晴らしく良い。いやー面白かった。小津節は相変わらず。安心して見れる傑作。個人的には東京物語よりこっちのほうが良かった。 【Balrog】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-12-25 23:33:44) |
14.何が良いんだか、本気で悩んだ。自分が歳を重ねたから小津作品を魅力的に感じるようになったのかと思っていた。しかしそれだけでは無いことに気付かされた。確かなことは、その時代背景に被る自分らの親を、ある面意識して観ていることだけは間違いない。 |
13.果たして監督は、後家さんを撮りたいのか、原節子を撮りたいのか。両方だな。 【michell】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-12-01 22:36:02) |
12.小津監督によるこれはパロディ映画と言える作品!「晩春」の父と娘の関係を母と娘に設定を変え、「晩春」に比べるとコミカルではあるけど、出来としては「晩春」の方が断然、上です。小津監督らしいフレーズの面白さ、構図の素晴らしさ、味わい深さも見られるけど、母と娘ではやはり父と娘に比べるとどうしても盛り上がりに欠ける。原節子と司葉子の人間としての美しさ、感情的な心を上手く表現しているのともう一人、何と言っても岡田茉莉子が良かった。それとこの作品の中でも佐分利信が男達の中でも一際、目立ってる。 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2006-10-22 18:42:59) |
《改行表示》11.この映画は、司葉子がきれいという一言に尽きる。原節子、司葉子親子なんて、犯罪である。しかもアパートが小津映画では毎度おなじみのところだし。よくよく振り返ってみると、小津映画では役柄の名前もかなり使いまわしている。「節子」「綾子」「のりこ」が女性の名前では一番出てくる。男では、なんと言っても「勇ちゃん」か! |
10.原節子さんは非常に印象的な女優だ。つくり笑いを前面に押し出して、何かを隠すどころか、わけわかんなくしてる。 |
《改行表示》9.小津作品は世界的にも評価が高いが、あくまで娯楽性より芸術性が主と理解している。 その意味で、今まで落ち着いて観る気になれず、敬遠していた。 今回初めて小津作品を鑑賞。世評通り、しっとり落ち着いた演出で良い作品でした。 丁度会社に入社したばかりの時代で、このような会社で、また家、部屋で、鍵もかけずにいた記憶が蘇える。 若い人のレビューにセクハラ、女性隷属化等のコメントもあるが時代の変化を感じる。 私には良き時代で、世の中は善人ばかりで、悪い人は一部と感じていた。 しかし今は・・・ 【ご自由さん】さん 7点(2005-01-06 16:25:40) |
《改行表示》8.端から見たらいらんお節介しまくりの中年男三人組に「余計なお世話、人の事よりテメエの事心配しろ!」と、いつ岡田茉莉子が威勢良く啖呵切ってくれるのかなって待ってたんだが・・・。 |