1.■ファムファタールの登場。踊る彼女をアップでフォローするショットと、それを見つめるバート・ランカスターとの切り返し。■イボンヌ・デ・カルロの結婚話を聞いた後、ふと見かける、再会する、恋に落ちるという3つのシーン。その絶妙な省略と、それぞれのシーンに登場する、画面手前にバート・ランカスター、奥にイボンヌ・デ・カルロという縦構図の素晴らしさ。あるいは階段。斜め構図。■シオドマク的サスペンス。回想形式は定められた運命を示唆し、あたりが全く見えない白煙の中でアクションシーンは展開し、鏡の中の殺し屋は身動きの取れない主人公を銃で狙う。あらかじめサスペンスの解決なり消失を予期したものではないこと。サスペンスを醸成する状況、それ自体がまるで悪夢のように主人公に取りつき離れない、逃げ場のないサスペンス。ヒッチコック的なカタルシスをシオドマクは用意しないのだ。■つまり、これぞフィルムノワール。■ほんとは「DVD(字幕なし)」です。だからいまひとつ話が分からん。それもまた五里霧中の面白さ。