7.物凄くとっ散らかっていて雑で下品な映画である。
しかし、主演俳優のほとばしる「熱量」のみで、無双の娯楽映画に仕上がっている。
諸々の表現やストーリー展開も含めて、決して褒められた映画でないことは明らかだろう。
でも、この映画に当時の多くの観衆が魅了されエネルギーを貰っただろうことも明らかだ。
何をおいても語るべきは、「菅原文太」だろう。
“一番星”という役名の通り、菅原文太という俳優の“映画スター”としてのパワーが凝縮された映画だった。
どんな障壁も、どんな失意も、トラック一つで突っ切って豪快に笑い飛ばす。
その姿はまさに反逆のカリスマであり、役柄を超えて菅原文太という人間そのものの生き様に繋がっているように思えた。
2014年11月、そんな大巨星が墜ちた。世代を超えたすべての映画ファンにとってあまりに悲しい出来事だった。
ただ、僕のような若輩者は、今作もしかりまだまだ観られていない菅原文太映画は数多い。それは映画ファンとして幸福なことだと思うし、死してなお銀幕の世界で生き続けられることこそが、映画スターの価値だとも思う。
この稀代の映画スターは、この先もずっと「一番星」として輝き続けることだろう。