46.まだ結婚したてだった叔父と叔母に映画館に連れていってもらったことがあった。
あのとき、きっと私は6才。一緒に行った二人の弟は3才と4才。
加古川の映画館に行って、そのときそこで上映していたアニメ映画は2本。
「ドラえもん のび太の宇宙開拓史」とディズニー映画の「白鳥の湖」。
叔父と叔母はドラえもんを観せるつもりだったようだが、私は「白鳥の湖」が観たいと言い張った。
それで、叔父が弟達を連れて、叔母が私を連れて、それぞれ別の映画を観ることになった。
なぜ私が「白鳥の湖」を観たかったかというと、テレビの予告CMで、王子様が短剣を胸に突き刺すシーンがあって、その続きがどうしても知りたかったから。
でも、結果的に、私の選択は失敗だった。
CMの衝撃的なシーンの続きはほんの3分くらいしかなくて、ものすごく落胆したのをよく憶えている。
短い映画で、あっという間に終わってしまって、弟達の「ドラえもん」が終わるのを叔母と二人で退屈しながら待ったなあ。
弟がいかに自分達が観た映画がおもしろかったかを話すにつけ、悔しくて、私の観た方が面白かったと強く主張したのに、叔母が「ドラえもんにしとけばよかったのに」と実も蓋もないことを言って、落ち込んだ。
その後、テレビで放送した「ドラえもん のび太の宇宙開拓史」を観て、確かに面白かったので、もうそのことは弟と話題にするのはやめにした。