38.これほど男の悪い面を厳しく描いた作品は初めて見た。登場する男たちは、その脆弱な精神から妄想や酒に逃げている。原因は何の根拠も無い虚しいプライド。そんなろくでもない男たちに、それでも愛されたいと願い従う子供たちが哀れで仕方ない。他にも同じ酒飲みやうだつのあがらない亭主たちも何人か出てくるけれど、働いている点でろくでなしとは一線を画していて、実際家庭内の雰囲気も決して悪くはない。人を不幸にするのはプライドが高く理屈ばかりこねるくせに何もしない男。そのくせ現実に直面するとガクガクと震えて逃げ出す男。高すぎるプライドは人を妄想へ逃げ込ませ、行動は狂人のそれと類似してくる。しかし決定的に違うのは無垢な精神か否か。冒頭とラストで幸福そうに一日の仕事を終える無垢な狂人でんしゃばかが輝いている。 【ラーション】さん 9点(2004-03-08 17:35:14) (良:2票)(笑:1票) |
37.内容はかなりグロテスクなものだ。 出てくる人間達、それぞれの関係、それぞれの言葉。 どれもがグロテスク。 見たくないものを無理やり見せ付けられるかのようだった。 人間の生臭さ、それすら通り越して腐臭のようなものを始終感じた。 途中、何度か観賞をやめようかと思ったが、この作品以前の黒澤作品への敬意からなんとか観た。 黒澤映画を何本か観させてもらったが、この作品の出来には当惑するしかない。 どうしてこんな作品に仕上がったのか。 カラーなだけに、その衝撃も鮮明だ。 微笑ましさ、感動、高揚感なんてものはまったく無い。 あるのはただただ嫌悪のみ。 一種のトラウマです。 【タックスマン4】さん [DVD(邦画)] 4点(2009-06-17 17:12:07) (良:2票) |
36.特にこれといったストーリーがあるわけではなく、スラムに住む人々の日常の中のそれぞれの小さなドラマが淡々と描写されていく。決して「貧乏だけど心は美しい」とか「貧しい人にこそ美しさがある」といった類の類型的なおしつけがましさではなく、あえていうなら「貧富と人生の幸せ不幸せは関係がない」ということがテーマだろうか。映画にストーリーを求める向きには評判が悪いのもうなづける。ただしその一つ一つの小さなドラマがとてもとても趣が深い。様々なトラブルで傷つき人生の転換期であっただろう黒澤監督の当時の心情と重ね合わせるとその趣も更に深くなる筈。ですからこの映画は黒澤監督の作品をある程度観て、当時の黒澤監督の状況などもある程度知った上で観た方が絶対にいいと思う。映像も総天然色の奥行きの深い綺麗なもので、なるべくならハイビジョン放送か劇場での鑑賞を薦めたい。ストーリーを楽しむのではなく一つ一つのシーンのつながりに身をまかせれば必ず心に届くものがある。その類の傑作。 【Sean】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-08-10 17:38:14) (良:2票) |
35.都会の目まぐるしい生活に追われ、疲れて、ふと遠出をしたその先々で日々の暮らしを営む人々がいるというあたりまえの事実に直面する。その人たちが笑っていたり、汗水流し一生懸命何かにうちこんでいたりすると何故か目頭が熱くなってしまう。部活帰りの女子高生がとてもいい子に見えてしまう。わんぱく坊主たちが将来の博士や大臣に思えてしまう・・・・。公開当時、中学生だった私には抽象画のような色彩映像と乞食の親子、頭師佳孝の電車のシーンくらいしか印象に残りませんでした。あれから30年以上経ち、時代が「物の無いことの豊かさ(心の豊かさ)」を取り上げ始めました。そのときふとこの映画を思い出しました。電車は目に見え「ない」のですが、確かに「ある」のです。昔から言われるように「本当に大切なものは目には見えない」のでしょう。映画の主題とは異なるかもしれませんが、私の記憶にはそのように残っていたようです。人間の成長とは清濁併せ呑むこと、とも言われます。映画の印象として残っていた色彩の美しさと現実シーンの汚さは、今の時代に求められる「物(の豊かさ)から心(の豊かさ)へ」をすでに暗示していたようにも思えます。(これより以下、冒頭の文章の続きです)~思えてしまう・・・・。そういえば、30年以上昔に行った場所に素敵な電車に乗った少年がいた。瞳の輝く乞食の親子がいた。みんな笑っていた。みんな一生懸命だった。あのときも私は大切なお土産をいただいた。 【天地 司】さん 8点(2003-06-10 14:52:37) (良:2票) |
34.私の好きだった黒澤明はどこへ行ってしまったんだ。彼は壊れてしまったのではないだろうか。観賞後そう思った。 【ジャッカルの目】さん [映画館(邦画)] 3点(2007-05-06 10:36:48) (良:1票) |
【ベン】さん 10点(2002-12-03 19:00:41) (良:1票) |
32.「赤ひげ」の様に露骨なサービスの為のアクション・シーンが無い為か、やや中盤が冗漫に感じられなくもない様な気が・・・まあ、無い方が良いとは思うんだけど。しかし、間違い無く黒澤明の最高傑作。 【よなよな】さん 9点(2002-09-25 03:18:03) (良:1票) |
31.やってはいけないと分かっていながらやってしまう人間の愚かさと、一般的に世の中で常識といわれている価値観というものが、どれだけ意味の無いモノであるか。ということ。そして、人間は愚かだからこそ愛おしい。という人間全体に対する憐れみと同情を感じました。・・あまりに痛いけれど、人間のダメな部分を本当に上手く描いている作品だと思う。 【さわきゃ】さん 8点(2002-03-17 16:57:27) (良:1票) |
30.黒澤明の最高傑作。恐妻家の伴淳三郎と乞食の親子のエピソードは何度観ても泣ける。 【クチイシ】さん 10点(2002-01-18 21:54:53) (良:1票) |
29.自分は黒澤映画とはこのようなものだと、決めつけて観ていたんだなと思った。今までの映画を先入観でみない方が良いな。なんか、観たくないものを延々見続けたような気がするが、なんか反芻すると自分の中にもなにか観たくないものが詰まってるな。 【min】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-06-28 22:01:20) |
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28.どギツい色彩をぶちまけたような混沌とした町並みの中、人間の様々な醜さ、愚かさが描かれている。とことん救いのない点では「どん底」と通じるものを感じた。 カラーの黒澤映画は、どの作品も非常に絵画的で、映像の放つ力は凄いものがある。 本作は、当時の監督の心情風景をそのまま吐き出したものなのではないだろうか。 それ故、共感できる部分、出来ない部分が出るのは必然で、個人的には映像には終始感動出来たが、ストーリーには少し置いてけぼりを喰らった感があったのでこの点数。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-02-10 19:19:05) |
27.個性的な人々が出てきておもしろい。田中邦衛もいい演技してます。乞食の親子のシーンはほほえましい。 【ホットチョコレート】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2009-05-31 09:41:29) |
【とと】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-03-07 17:50:29) |
25.ある意味『どん底』の現代版というかなんというか…。これが当時の社会の一断片だったのかどうかは知りませんが、少なくとも流行りの「古き良き昭和」の匂いなど微塵も感じさせない圧倒的な説得力があります。でもやはりお話としてはちょっとまとまりに欠ける。もっと尺を短くし、乞食の親子の話一本だけにしてもよかったんでは? 【とかげ12号】さん [DVD(邦画)] 6点(2007-10-07 15:08:27) |
24.いつものように勤務を終え、ガラス戸越しに帽子を置く六ちゃんが一番まともに思えた。 【カリプソ】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-02-27 02:13:53) |
23.日常を淡々と描いているだけで本当に退屈な作品でした。意味不明のありがちな芸術映画にしか思えません。この平均点はさすがに黒澤びいきでは? 【maemae】さん [ビデオ(吹替)] 4点(2005-11-08 03:26:00) |
22.全然黒澤映画っぽくない。野暮ったくて、無名な監督がとったみたいに見えた。黒澤スタイルを貫いて欲しかった。 |
【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 7点(2005-05-18 17:13:34) |
20.頑なに白黒映画を撮り続けた黒澤監督の初のカラー映画。黒澤映画とは思えないほどに地味であり、東宝作品だが、どちらかと言えばATG映画のような雰囲気。面白くなくはないが、あまり印象にも残らない。当初の予定どおりに「どら平太」が撮られていたら、どんな風な映画になっただろうか。 【イニシャルK】さん [ビデオ(邦画)] 5点(2005-03-30 22:26:17) |
19.これは日常?何とも救われない。それぞれの電車、時代が合わなかっただけだよ…。 ところで、主人公は誰? 【T橋.COM】さん 8点(2004-08-31 00:03:57) |