3.『マシンガン・プリーチャー』…直訳すると機関銃牧師。この直球勝負のタイトルに加え、『300』で古代筋肉バカを熱演したジェラルド・バトラー主演と来れば「どんなクソ映画が飛び出すんだ」とワクワクしてしまいますが、内容は実に中途半端でガッカリしました。。。
女房にストリッパーをやらせて一家を養わせ、自分はバイクと麻薬に夢中というホワイトトラッシュの鑑のような男が本作の主人公。この男がキリスト教の力でエクストリーム改心するのですが、改心した途端に建設業で一発当てます。ほんの数年で一財産築いた彼は「この幸せをみなさんにもお裾分けしなきゃ」とボランティア精神に目覚め、内線が続くスーダンの子供達を救おうと奮闘します。しばしば虐殺が起こり、銃弾も飛び交う危険な地でありながら、彼にはまったく弾が当たらない!従軍経験のないただのガンマニアでありながら、地元民兵との戦闘では常に勝利を収める!神に守られているとしか思えない彼は、いつしか子供達の守護神となるのでした。。。
一応は実話という触れ込みの本作ですが、ワンマン経営者特有の「どうも話を盛ってるっぽい感」がプンプンしてきます。当の監督自身もこのインチキ臭い話に乗り切れていない様子で、そのことが映画の出来を中途半端なものにしています。監督を担当したマーク・フォースターは医師の父と建築家の母を持ち、身内にはドイツ赤軍メンバーもいるという、いわゆる進歩的な一家に生まれた文化人です。この来歴から察するにこの人は宗教というものを信じておらず、そのため物語の要となる「信仰」という部分を完全に茶化して撮っています。主人公が教会で熱弁を振るう様などは完全にカルト宗教の扱いでした。おまけに、ヨーロッパ人である監督は、どこにでもズカズカと入り込んで「俺が俺が」と出しゃばるアメリカ人を冷ややかに見ており、主人公の活躍をかっこよく撮ろうという意思がまったく感じられません。そのため本作はドラマの面でもアクションの面でも成功しておらず、かといってバカに徹しているわけでもなく、妙に気合の入ったジェラルド・バトラーの雄姿のみが空回りするという結果に終わっています。