22.原作は門田隆将の『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』。当時の経緯を詳しく知りたいのであれば原作を読んだ方がいいだろうし(読みやすく書かれてるしね)、より冷静かつ俯瞰的に知りたければ、船橋洋一の『カウントダウン・メルトダウン』を読むのもよいでしょうし、NHKスペシャル『メルトダウン』取材班の『福島第一原発1号機冷却「失敗の本質」』などは、誰が良いの悪いのというのとは別として、事故の経緯に対する印象を一変させるかもしれません。あるいは別角度の視点として、高嶋哲夫の『福島第二原発の奇蹟』とか。 とは言っても、この『Fukushima 50』という映画は、原作本の内容をただ映像に置き換えて再現してみました、という訳ではなく、やはり、映画ならではの訴えるパワーをもった新たな作品として、しかしあくまで実話に沿ったノンフィクションとして、作られたものなんでしょう。 であれば、ウソを織り交ぜろとは言わないけれども、何かもう少し、「事実の再現」以外に、映画らしい演出があってもバチは当たらない気がするんですけどね。悲惨で絶望的な光景ばかりではなく、そういった光景に囲まれる中でふと目を上げれば、そこにはかつての美しい空があったり、自由に宙を舞う鳥がいたり。ってのはさすがにベタかもしれませんけれど、要は、対比、ですよね。 主人公の描き方も実にストレート。原作通りっちゃあ、原作通り。確かに、本店なり首相なりの(やや誇張された)愚かしい姿との対比はあるかもしれないけれど、ここには想定内の、我々の期待に完全に応えてくれるヒーローらしいヒーロー像しかない。同じ渡辺謙がかつて『硫黄島からの手紙』で演じた栗林中将が、我々の期待をはぐらかすようにいまいちヒーローらしからぬ人物、しかし(あるいは、だからこそ)印象的な人物として描かれていたことを、ふと思い出します。 この題材を、このタイミングで映画化して、それだけでも何かと難しい面が多々あるだろうけれど、その結果、こういう作品として仕上がって、ご苦労様なのですが、つい、「無難な冒険」、と呼びたくなってしまうのです。 【鱗歌】さん [地上波(邦画)] 4点(2022-10-23 18:08:29) (良:2票) |
21.最初から最後まで全体のトーンが同じで、抑揚もクライマックスもなく、最後は「この責任は自然の脅威」でまとめてしまっています。出演者たちもどこかで見た様な人ばかりで新鮮味がありませんでした。それに、ところどころ挿入される米軍のシーンは本当に必要だったのでしょうか?そもそも「Fukushima50」という単語は普段の生活の中で耳にしたことがありません。映画としてはつまらなかったです。。。 【みるちゃん】さん [インターネット(邦画)] 3点(2022-05-05 08:42:57) (良:1票) |
20.原発事故対応で日本中が凍りついたが、その時の様子をよく描けてると思う。映画でドキュメンタリーみたいだが。東日本大震災の悲劇を日本人として忘れてはならない、こんな悲劇があったよと後世に受け継がなければならない思う。津波被害は甚大だったが東電原発の問題は未来永劫日本の大問題である。日本人が忘れない様にこのような作品を作ったことは大いに評価出来るし、いいことだと思う。 【SUPISUTA】さん [インターネット(邦画)] 7点(2021-08-07 08:10:08) (良:1票) |
19.ある種のドキュメンタリーとして堪能させてもらいました。その後の報道などを見聞きするかぎり、おそらく本当にこんな感じだったのでしょう。その意味で、家族だの回想だののシーンは邪魔でした。急に弛緩するというか、エンストされた気分になるというか。全部カットしてほしかった。 それにしても、見ているとだんだん暗澹たる気分になります。10年前の話ではなく、リアルタイムのコロナ対応やオリパラ対応とあまりにも重なるので。さすがに怒鳴り散らすしか能がないトップは今はいないと思いますが、責任をたらい回しにしたり、現場を知らなかったり、なかなか方針を打ち出せなかったりする上層部がいる一方、現場では常に危険な作業を強いられるあたりは瓜二つな感じ。 つまり、日本の組織の問題は10年前、もっと言えば太平洋戦争後から可視化されていたのに、結局何一つ改善されないまま今日に至っているわけで。それも平時なら適当にごまかせますが、有事になると一気に顕在化します。 さらに言えば、今の〝国難〟の現場に「吉田所長」はいるのだろうかと。傍から見ているかぎりは不在のようで、ますます不安になります。 ただ、ちょっとだけ登場した自衛隊員のセリフ「民間人ががんばっているのに、我々が撤収するわけには行かない」には、ベタと知りつつグッと来てしまいました。 【眉山】さん [インターネット(邦画)] 7点(2021-07-23 02:08:06) (良:1票) |
18.東日本大震災と、福島第一原発事故。 日本人が忘れてはならない、語り継ぐべき内容。 映画というよりは、映像作品(記録)かな。 教科書的な価値があると思います。 飾り言葉ではなく、本当に「命懸け」の現場の人たち。 これで感動しなかったら、日本人に非ずと言ってもいいのでは。 と、個人的に思います。自分も現場寄りの人間だからですかね。 怖いくらいの渡辺謙の熱さは流石でした。 「事故は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」 会社の上層部や、時の政権などの風刺も垣間見えるけど、 現場が主役としての内容だけに仕方ないかなと。 幹部や政府なんてのは、あくまで脇役です。 【愛野弾丸】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2021-04-28 20:35:32) (良:1票) |
17.何年位前だったか。NHKで放送された当時の再現ドラマを見たことがありました。 吉田所長役は亡くなられた大杉漣さんだった。 両作品ともに切迫した状況の福島第一原発内部で様々な専門用語や数値が飛び交う。 それらに説明の字幕があったNHKのドラマの方が、事実を捉えるという意味では分かりやすかったと言える。 一方本作は最悪の場合東日本壊滅という危機に命懸けで立ち向かった人々の人間ドラマにある程度絞った構成になっており、 改めて彼らの命がけの戦いに感謝の気持ちでいっぱいになった。それだけでも見て良かったと思える映画でした。 【とらや】さん [DVD(邦画)] 7点(2021-01-07 21:11:33) (良:1票) |
16.序盤から最後まで、だれることなく緊張した状態で楽しめました。 避難所にて、作業服を脱ぐように促しているシーンは、心が痛くなりました・・・。 最後まで現場で任務を遂行していた人たちがいたことを忘れてはいけないと思います。。 【へまち】さん [インターネット(字幕)] 8点(2020-11-24 17:43:16) (良:1票) |
15.人物描写がとてもシンプル。激情にまかせて怒鳴ってばかりですし、政府や本社を悪役一辺倒に、イチエフの現場の人たちを英雄として美化して描き過ぎに思いました。事故の描写も断片的で何が起こってるのか分かりづらい。この作品は、歴史上も類を見ない大事故を正しく伝えようという客観的な視点が不足していて、原発事故や「フクシマ50」と呼ばれた人たちを後世に伝える映画には成り得ないと私は思います。残念な気持ちが残りました。 追記; 当時、私は関東にいて、テレビ画面越しに津波やイチエフの状況を見ていましたが、度重なる余震や、頻繁に鳴る緊急地震速報に心が乱される中、「ただちに影響は無い」と繰り返す政府の発表に安心など出来ず、極度の不安の中でネットで情報を漁ったことを覚えています。イチエフの現場にいた方々が直面していた現実は想像を絶しますし、自分と同じただの会社員に過ぎない彼らが、国のために自らを犠牲にせざるを得ない(かもしれない)状況に置かれた理不尽さを思うと申し訳なさで言葉もありません。それだけに美談として単純化して描いているこの作品には違和感を覚えます。 【wayfarer】さん [映画館(邦画)] 5点(2020-06-14 02:22:45) (良:1票) |
14.公開初日に鑑賞したのはずいぶん久しぶりです。原発事故の事は一般常識レベルで知っていたものの、この映画に関する一切の予備知識なく、観終わってからネットで情報をみました。この手の映画にありがちな「事実と違う」「総理の描き方が極端」「英雄視されている吉田所長がかつて防潮堤の高さを10mを容認していた」「家族を描くのは余計」と、感動に水を差すものばかり。正直言うとそれらは周辺の事だし、映画は完全なノンフィクションではない。ノンフィクションが見たければ、NHKスペシャルかドキュメンタリーを見ればよい。この映画は、予期せぬ混乱を前に、現場で頑張った人がいたことを描いているだけ。愛する土地、愛する家族を守る為に戦うというのはどういう事か。上位者に忖度し、ご機嫌を取る事じゃない。勿論そういう”政治”ができる人が出世をするのが世の常ですが、それでも本当に生きるという事はどういうことか、守るという事はどういう事かを観客に訴えかけてきます。事故からまだ10年に満たない現在、「まだ被災者(被害者)がいるのに時期尚早ではないか」という意見もありました。でもこんなに頑張った人がいたということをどれくらいの人が知っているんだろうか。それを知ってもらう事だけでもこの映画の作られた意味があると思います。勿論、東電や官邸、政府の不手際はありますが、それをことさら声高に非難するというのはこの映画のあるべき姿ではないと思います。また、頑張った人がいたからといって東電の罪が軽くなるものでもない。そこら辺をしっかりと踏まえて、ただ画面に映る”頑張った人たち”に涙するのは決していけないことではないのではないかと思います。 【hee】さん [映画館(邦画)] 8点(2020-03-08 10:45:30) (良:1票) |
13.東電や政府への批判は当然有って然るべきだが、この映画を評価する上ではあまり関係無い事だと思う。 この映画が伝えたかったのは最前線で恐怖と戦った現場の人間の勇気だと思うから。 とにかくあの日、現場の人々はどのように対処していたのか、どういう流れで作業が行われていたのかがとても詳しく描かれていたのでとても興味深かったし、緊迫感が伝わって来たので観て良かったなと思えた。 【ヴレア】さん [映画館(邦画)] 7点(2020-03-06 21:49:42) (良:1票) |
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12.政府・本店・現場、それぞれの立場でどのように行動していたのかよくわかった。 もし、……なんてことはあまり考えたくないものだが、あり得ることだったのだなと、改めて考えることができた。 こういう例えがよいのかわからないが、過去の大戦でどんな将軍も味わったことのない重責を吉田氏は感じたのではないか。 【海牛大夫】さん [インターネット(邦画)] 7点(2023-06-20 21:16:41) |
11.序盤、地震が起こってから、想定外のことが重なり被災レベルが深刻になっていくまでは、当時の状況が臨場感、緊迫感をもって再現できていて、なかなかの良作なのではないかと思いました。そういうふうに思えたのは、薄っぺらいウェットな演出が入り込む隙がなかったから・・・ということにだんだん気付かされていきます。監督がテレビの演出家出身であることが関係しているのかはわかりませんが、お茶の間向け日本のテレビドラマにありがちな演出で、台詞に頼り過ぎで、演劇空間になっちゃてるんですよね。原発相手に悪戦苦闘しているときは目立たないのですが、落ち着いた場面で、どうにもわざとらしい演劇が垣間見えてしまう。お茶の間向けドラマならそれでもいいのですが(よくはないが)題材が題材だけに悪目立ちしてしまうのですよね。被災状況の再現はよくできていて、見る価値は高いと思いますので、なおさら残念感があります。評判が低いからと言って、それを理由に見ることをやめないで欲しい作品ですね。このような感想を持つ作品は珍しいです。 【camuson】さん [インターネット(字幕)] 5点(2023-02-07 17:53:19) |
10.どうも記憶と違う。 海水注入したタイミングでは、政府は原発事故についてはっきりしたことは何も言っていなかったと記憶している。 政府が原発に事故が起こっていることを認めたのは、一週間も経ってからじゃなかったか。 つまり隠しきれなくなって暴露したに過ぎず、仮に早い段階でおさまっていたとしたら、何事もなかったことにするつもりだったはずだ。 映画として。 二号機の温度が唐突に下がり、米軍が「トモダチ」作戦を始めたあたりから、都合のよさを感じた。 これをわざわざ作ったことに、非常に不純な意図を感じる。 【おら、はじめちゃん】さん [DVD(邦画)] 3点(2022-06-06 03:39:59) |
9.あの福島第一原発事故を描いたというだけで、つまらなくなりようもない作品。 もちろん、ちゃんと金と時間をかけて高いクオリティで作ってくれているからこそでもあるが。 なかなかおもしろかった。 まあ、とってつけたような家族との絆みたいなシーンは、1mmも心が動かなったけども(笑) 洋画も含め、この手の実話系では、ちょくちょくこういうのを入れたがるけど、いるかね? あとは、「俺たち何か間違ってたのかな」の伏線からの、ラストの「間違ってたのは、あんな高い波が来るはずないと思ってたこと」っていう直球ど真ん中で、現実的で無味乾燥で、かつもうそれニュースで100万回は聞いたよ!な結論にはさすがに萎えた。 もちろん、全くその通りなんだけどさ、それで作品を締めたら駄目だろう。 まあ、もっとも、東電は311前に福島で15mを超える波が来る可能性あることを試算していたんだけどもね…。 【椎名みかん】さん [インターネット(邦画)] 7点(2022-03-31 12:10:35) |
8.当時、ニュースで見てた通りの展開だったので、驚きはなかった。 リアルタイムで知らない世代に伝える為の記録映画としては価値があるのかも知れない。 建屋内で何が起きてたのかを映像化したことで、事の重大さは伝わってきた。 あれだけ頑張ってもどうしようもなかったのなら、あそこに作ったのが間違いだったとしか言い様がない。 どこに作れば安全なのかもよくわからないけど。 【もとや】さん [地上波(邦画)] 6点(2021-06-25 17:27:45) |
7.平常時はきっちと機能するシステムや組織も非常時は機能不全になるということですね。 現場は工夫しながらやれることをやっているのですが、ヘッドクォーターとのやり取りがちぐはぐで空回りしてしまうのは、コロナ禍でも全く変わっていないようですが・・・ (じゃ、どうすれば良いのかは答えが出ませんが) ついでに言えば、演技過剰なんじゃないの。 【あきぴー@武蔵国】さん [DVD(邦画)] 5点(2021-05-11 09:39:16) |
6.原発が核爆発を起こすことはなく、福島の原発が東京銀座に死の灰を降らせることもありえない。日本を壊滅させる能力を、日本の原発はまったく持っていない。平成23年3月11日は、40年前の日本の技術力がマグニチュード9の地震と15メートルの津波に打ち勝った、日本の栄光の日だった。原作者の門田隆将氏はネットでは有名なぱよちんホイホイさんだが、福島事故の誤ったイメージに彼が乗っかった理由は、ただ菅直人の醜態を映像化して残したかった、それだけだろう。 日本人はこの十年で、原発報道に疲れ果てた。それは東日本大震災が起きたその日から、そうだった。日本が大変な時に、なんなんだ原発って?全国民が、1日目からそう感じてきた。今も連日視界に入ってくる最新ニュースや特集番組を、今は誰もが話半分で聞き流している。なんやかんやマスコミは言うが、あの津波被災と避難暮らしよりも惨めななにかを原発が連れてきたことなど一度もなかった、それを国民は少しずつ覚えたのである。 節目の2020年に公開されたこの映画も、私たちは「いいよもう」とウンザリしながら宣伝を眺めた。モチベの上がらなさは逆に考察に値した。映画の中身も、だいたい知ってることだけだった。この映画の4年前に、『シン・ゴジラ』が、旧来通りの日本政府だったらあの時こうだったという意欲的なシミュレーションを完璧に作り上げ、『君の名は』は、あの時なにもできなかった我々の代償行為の役目を果たし、どちらも歴史的な支持を集めた。そして、この映画の後に、あの『鬼滅の刃』が興収1位更新へと走り出した年だった。 【watson】さん [地上波(邦画)] 1点(2021-03-14 04:05:47) |
5.当時の福島原発の話ですから誰でも予備知識はあると思います。 みんなそれぞれ必死だったという事もよくわかりますし、危険な任務を遂行した彼らは英雄だとも思います。 ただ、映画として面白いか?インパクトがあった?印象的だった?感動した?そういう部分では微妙ですね。 【東京ロッキー】さん [地上波(邦画)] 5点(2021-03-13 15:22:10) |
4.あくまで「映画的に」だが、あの総理大臣はなかなかいいキャラだ。フィクションなら最後には痛い目に遭って観客スッキリな展開が待っているはずなんだけど、実話ものだからそうもいかず…。しかしその政府や本店と戦う吉田所長の激しい言葉が一つの見所にはなっていたかなと。実際にあんな感じだったらしいし。一方、さらに最前線で戦った伊崎とその部下たちの物語は言うなれば紋切り型で、どこかで見たようなドラマが繰り返されていた。CGの質や一部の役者の芝居なども多少気になってしまい残念だが「あの日、イチエフで起きたことを後世に語り継ぐ」という立派な志を前にしてはやや甘めに採点せざるを得ずか。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2021-02-02 18:32:49) |
3.う~~ん 凡作..申し訳ないが 物語がざっくりし過ぎて物足りない..切迫感が伝わってこないし みんな演技してるのが みえみえ..もっと科学的 技術的な細かい部分も描いてほしかった..残念... 【コナンが一番】さん [DVD(邦画)] 6点(2021-01-31 12:13:00) |