38.高峰秀子と森雅之が一緒に歩くシーンが何度も出てくるんですけど、その際、高峰秀子が言う「私たち何処にも行くところがないのよね。」ってのが2人の関係を象徴しているように思いました。2人一緒の未来ってのをお互い想像できないんですよね。終戦と同時に終わってしまったと、2人共分かっているのに新たな人生のビジョンを描けない。恋愛だけでなく敗戦で人生全てに於いて抜け殻になってしまった2人と言うのを感じました。↓【大河内伝次郎ノ介】様ご指摘のように森こそが人生の目的と思い定めてしまっている高峰が哀れで・・。今なら女が一人で生きて行く、或いはシングルマザーと言う選択肢も十分アリなのになぁって。なんで子供堕胎するよー?私なら大喜びで絶対産む。そんで男なんか捨てる!一方で私もこれくらい一途に全身を投げ出すべきだったのか?とか自らを反省してみたり。まぁとにかく映画に凄く引き込まれちゃって、2人と一緒にこっちも悩だりで、その濃密さに映画が終わっても暫くはボーゼンでした。ホント、スゴイ映画です。 【黒猫クロマティ】さん 9点(2005-03-08 12:14:03) (良:2票) |
37.『アデルの恋の物語』でも書きましたが、ダメな男をひたすら愛し続ける女の悲劇を描いた傑作がここにもありました!灼熱の太陽がふり注ぐインドシナから始まって、冷たい雨の降り注ぐ屋久島までの道程を「やるせなさ」の名匠・成瀬巳喜男があの小津安二郎もため息をつくほど見事な演出で描いています。 【なるせたろう】さん 10点(2003-01-11 14:44:54) (良:2票) |
36.ベチャッとした声で喋る疲れ果てた女と、どこに魅力があるのかわからないのにもてまくり浮気しまくりおじさんとの長年に渡る泥沼ロマンスをウダウダ見せられても眠いだけなんです。同時期の「二十四の瞳」とまるで別人な高峰さんが凄い。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 5点(2009-02-10 10:39:38) (良:1票) |
35.成瀬巳喜男の最高傑作らしいという前知識をもって鑑賞したのですが、その最高傑作という言葉にかなりの違和感を持ったことをよく覚えています。これ観たとき、『夫婦』とか『妻』、その他いろいろをいっしょに観たのですが、この『浮雲』よりもその他の映画のほうが良かったと思ったし、他の作品に感じた成瀬的なものをこの作品に見出すことが出来なかった。私が当時思っていた成瀬映画(現代劇)の世界観というのはもっと些細な出来事を、あるいは物語とは別のところで見せる小さなやりとりをこそ映し出す、その繊細な感覚というのがまずひとつあるのですが、『浮雲』は「出来事」が作品を支配し、男女の大河ドラマ風になっている。でもね、時がたつとともにおかしな現象が私を襲いました。成瀬映画を思い出そうとすると、まず一番に出てくるのがこの作品の高峰秀子のアンニュイで愚痴っぽい語り口。そして旅先での歩き姿だったり、男の部屋に立っている姿だったり、病床に伏せっている姿だったり、、。他の作品を押しのけて頭に浮かぶのはこの作品の風景ばかり。実のところまだ一回しか観ていないのですが、頭の中では何十回と上映されております。そしていつのまにか傑作だと思うに至ってしまったという稀な映画となりました。 【R&A】さん [映画館(邦画)] 8点(2007-04-25 13:08:03) (良:1票) |
34.場面と場面の間の、登場人物の移動を表すもの、そしてそれに伴う時間の経過を表すものが、省略されており、各場面が、断片として積み重ねられている、この落ち着かない感覚(その中で、ラスト近くの汽車&船のシーンが、明確に移動を表現していて、とても印象的で、かつヤな予感もするのだけど)。そう、この断片感覚はまるで、男女2人のショートコント集を観てるような----とか言っちゃうと身もフタもないので-----あるいは、主人公2人をメロディとした変奏曲が展開されているような。このナルセとか言う監督はどーも油断のならない監督で(映画観ながら油断するヤツが悪いってか?)、どーも観てて疲れる、挑戦しがいのある強敵だ。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-07-30 22:36:11) (良:1票) |
33.モノクロの画がとても綺麗。今まで観たモノクロ作品は「これはカラーで観たかったなぁ」と思う映画ばかりだったのに、これはもう絶対モノクロが良い。モノクロだからこそ引き立つ墨色のバランスや光の明暗に惚れ惚れした。そして高峯秀子が凄い。美しくて嫌味で、皮膚に粘っこいものが浮き上がってくるようなあの感じ。時折パパパッと移っていく視線なども、女の情念が充ち満ちていた。ストーリーは、もうどうしようもない男と女の道行き。二人で酒を飲んでは管を巻き、そぞろ歩きしては反発しあう。それでもお互いの心にこびりつく想いをたどってまた会ってしまう。華々しくて爽やかなだけが恋愛ではない。泥の中を歩んでいくようなこんな二人の関係もまた愛なんだろうな。 【のはら】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-07-29 13:22:25) (良:1票) |
32.親から聞かされていた“お人形さんのように可愛いでこちゃん”のあの汚れっぷり。あの時代にあの美貌、あのスタイル。コケティッシュで美しすぎるのにねっとりとまとわりついてくるような湿度感、悲壮感。重い、重すぎる。富岡の気持ちもよく分かる。しかし富岡という男もひどい、ひどすぎる。ゆき子のあのみすぼらしいバラックで彼女の気持ちと今の生活を知っていながら「幸せそうだなぁ」(うろ覚えですが)「女はのん気でいいなぁ」と平気で言う。びっくりだ。そういうシーンが何度もある。ラストでは「女なんてどこにでもいるからな」なんて病床のゆき子に向かって言う。なんていう男だ。そんな風にあしらわれてもゆき子は心の底から怒っているように思えない。本当にびっくりした。ワタシはゆき子のような恋愛はしないなと確実に思う反面、二人がそういう成り行きになってしまう気持ちが痛いようにわかってしまう自分に、またびっくりした。これが成瀬巳喜男の技なのか?あまりの退廃的なムードに鑑賞後「・・・・・・」という気持ちになりながら“カルマ=業・・・行為は必ずその結果をもたらし、また現在の事態は必ずそれを生む行為を過去に持っている”という言葉を思い出す。誰のせいでもなく、そういう時代だったからというだけでなく、なるべくしてこうなった、と。そうか、これがどうすることもできない「やるせなさ」なのか。すごいな、成瀬巳喜男。 【宝月】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-11-24 17:10:47) (良:1票) |
31.夢のような過去と退廃した現在の対比が素晴らしいです。どうしようもない富岡を愛してしまったゆき子の運命って悲しすぎる。富岡を愛すことに自分の生きる意味を見出していたのかと思うとつらい。そんな二人を森雅之と高峰秀子がとてつもない演技でみせています。 特に森雅之には独特の官能性があり、現代の俳優には決して見出せないものではないでしょうか。私の最も好きな俳優の一人なのです。 やるせなさを描かせたら右に出るものはいない成瀬巳喜男の伝説の作品といえます。ほんとにつらい、つらすぎる話です。 屋久島のイメージが変わってしまいます。あのぼろい家がなんとも印象的です。 【たましろ】さん 10点(2003-11-26 23:23:18) (良:1票) |
30.優柔不断、仕事出来ないどうしようも無いダメ男の癖に女にだけはやたらモテる。 こんな男確かにいてるが、いつも哀愁を帯びた森雅之はよく似合う。こんな経験が無い小生には羨ましいとしか言いようが無い。 又はこんな男に惚れた弱みで離れられずズルズル人生落ちていく女を高峰秀子が好演。清楚な顔なのにこんな汚れ役でも簡単に出来るのが凄い。 戦後10年この時代によくこんな退廃的な映画撮れたもんだ。それだけでも成瀬監督凄いわ! 作中ずっと同じ調子で流れている音楽も印象的である。 【とれびやん】さん [インターネット(邦画)] 8点(2020-05-16 23:57:49) |
29.ダメ男につくす高峰秀子の強さに隠れたいじらしさもいいけど、森雅之のダメな男は不思議な魅力があります。ダメな浮気男を演じさせたら、さりげなさすぎて本当に上手です。 そんな男に惹かれる他の女たちもとてもわかりやすく古さを感じさせない映画でした。 風采のあがらないダメな男になんで女性たちが引き寄せられるのかという質問に脚本の水木洋子が「アレが良いんでしょう」と答えていたのがリアルでした。 【omut】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-10-20 05:47:50) |
|
28.のらりくらりと特にこれというメッセージもシナリオもないのだが。退屈せずに観れるのは何故だろう。ラストはなんとも悲しい話だったが、この2人にはこんな最後が待っていたのは至極やむおえない様に思った。 このダメ男の話は後向きな話が多いのだが、女も退屈してるものたちが周りにたくさんいて、とにかくよくモテる。しかも美人だかりにだ。次々と家に女が現れて奥さんはどう思ってるのだろう?こういうダメだけどマメな男はいつの時代も放っておかないのだろうか?高峰秀子は私の好みなので、映画ながら羨ましい限りだ。ようやくこの男も覚悟を決めたのだが、時すでに遅くで病で弱っていく彼女は本当に健気で観ていたら心が沈んでいくのが自分でもわかった。結果面白かったがもう一度観たいとは思わない作品。 【SUPISUTA】さん [DVD(邦画)] 8点(2019-09-23 19:13:17) |
27.傑作。恋愛映画、それも腐れ縁映画。引き込まれてしまう。ただ、現実世界では、こんな奴らとは付き合いたくない。でも、映画は映画。何度見ても、見終わった後、ため息。そして、初めの方の白いブラウスの秀子さんに、今回こそ幸せになって欲しいと願ってしまう。森雅之のグダグダ感。惚れてしまうのだろうなあ。二人は、戦時中の幸福感があるもの。勝っている時の戦時中は楽しいということも表現している稀有な映画でもある。良し悪し、正義・不正義と分別している世界とは違う、ある意味グダグダ映画。岡田さんも色っぽい。必見。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 10点(2018-12-22 23:42:40) |
26.テーマが暗いので好きではないが、「男と女の間」にあるという「深くて暗い河」を描ききった作品だと思う。 【ashigara】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-07-09 15:27:16) |
25.この映画は音が支配している。室内のシーンの前には必ず屋外の音を伴うシーンがあり、その音が室内の雰囲気を規定している。拍子木や獅子舞の音楽、雨の音、新興宗教の儀式の音、犬の鳴き声、踏み切りの音等々挙げればキリがない。これらの音が室内の情感を豊かにしている。フラッシュバックや回想が挟まれるなど、少し珍しいような気がしたが、唯一の明るい日差しがインドシナであったことが象徴的であった。 【Balrog】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-06-20 15:32:39) |
24.何度も観ている、好きなラブ(?)ストーリーの1本。たった一人でも腐れ縁の女性がいるってことは素敵な人生だと思う。 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-06-12 17:38:02) |
23.あんな男がどうしてモテるのか、僕には全く理解が出来ん。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-03-17 21:28:10) |
22.切りたくても切れない腐れ縁とは、こういうものですかね。女心とは、こうも可愛く、いじらしい複雑なのを高峰さんが見事に演じてくれました。 【白い男】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-11 11:10:23) |
21.男って、馬鹿だなあと、つくづく思い知らされる作品。 【Yoshi】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-12-22 16:49:04) |
20.戦時下の仏印というニセモノの極楽で出会ってしまった二人が、戦後の現実と折り合いをつけられないまま日本中を漂い流れ、また南へと下っていく、と要約できる話だ。ずっと不貞腐れていた高峰秀子が、屋久島へ連れていって下さいと、泣いて哀願する迫力が見事で、あの渡航のシーンで終わってもいいんじゃないか、と思ってしまう。不貞腐れる、ってのは、とても非建設的な行動で、現状への不満は表明するが何ら積極的な働きかけはしない、ってこと。戦後の映画はもっぱら建設的なアピールをしていたが、ひとり成瀬は、不貞腐れる高峰を信念を持って撮り続けた。みんな一緒にスローガンのもとで調子に乗るのに比べれば、不貞腐れるって行為は、個人が取れる精一杯の批評だったんじゃないだろうか。彼女はいい加減に不貞腐れていたのではなく、一生懸命に不貞腐れていた、必死で不貞腐れていた。そしてついに不貞腐れるのをやめたのは、建設の側に回るためではなく、全否定の側に回るためだった。すごい映画である。ただ成瀬の本領は、いろいろあっても市井に留まり続ける普通の人たちを描いた作品のほうで、より発揮されてるんじゃないかなあ。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-11-21 12:11:58) |
19.富岡かっけえ!!! 成瀬監督作品はラストがいいですね。余韻を残すのがうまし 【norainu】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-07-15 05:04:41) |