3.現存する30本余りの溝口作品のうち残すはあと5本。
ついにここまで来てしまった。
とても寂しい気分だ。
さて、本作は『必勝歌』などと同時期、すなわち戦争終結前後に作成されたものである。
制約が多かったのであろう、出来はとても悪い。
少なくとも、溝口らしさは出ていない。
それにどうも話が飲み込みづらい。
文語体でのセリフが多すぎるからだ。
まあ、それは時代劇ではよくあることだ。
しかし、たださえ時代劇と相性悪めな溝口作品で、文語体のセリフ連発となると、ますますもって話を理解し難いものがあった。